失踪者 の商品レビュー
カフカの作品ってどれも不可思議な世界だなと思うが、これも期待を裏切らない不可思議さだった。延々とアメリカ大陸を彷徨うような悪夢?のような世界観だと思った。 それで思い出したのだが、それはどこかのカフカについての伝記か何かに書いてあった、書くことは引っかき傷を付けること、というよう...
カフカの作品ってどれも不可思議な世界だなと思うが、これも期待を裏切らない不可思議さだった。延々とアメリカ大陸を彷徨うような悪夢?のような世界観だと思った。 それで思い出したのだが、それはどこかのカフカについての伝記か何かに書いてあった、書くことは引っかき傷を付けること、というようなカフカの言葉だった。 そして、カフカが真夜中の書斎で、これをコツコツと書いていたと思うと、なんとも言えない気持ちになった。
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本書は、かつては「アメリカ」という表題で知られていたけれども、カフカ自身が予定した「失踪者」のタイトルで、かつ、ブロート編集時には採られなかった草稿、断片も含めての訳出です。 審判、城とはちょっと雰囲気が違いますね。最終盤で、主人公がふっと異国の地アメリカで消えてしまう〜失踪者に...
本書は、かつては「アメリカ」という表題で知られていたけれども、カフカ自身が予定した「失踪者」のタイトルで、かつ、ブロート編集時には採られなかった草稿、断片も含めての訳出です。 審判、城とはちょっと雰囲気が違いますね。最終盤で、主人公がふっと異国の地アメリカで消えてしまう〜失踪者になる〜のを、追いかける不思議な物語です。
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カフカ三大小説の中で、この小説の主人公は唯一、自分の目的と言うものを持っていない。故にカフカ小説の推進力が、もっとも露骨に感じられる。
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ヨーロッパの故郷から単身アメリカにやられた少年が、子供のまっすぐな目線のまま社会の波に揉まれていくその落差にはらはらしつつ、擦れることなく大人になって欲しいといつの間にか見守る気持ちになっていました。人物の描写が特に面白いです。なかなか安楽に辿りつけないけれど、きっとうまく行くよ...
ヨーロッパの故郷から単身アメリカにやられた少年が、子供のまっすぐな目線のまま社会の波に揉まれていくその落差にはらはらしつつ、擦れることなく大人になって欲しいといつの間にか見守る気持ちになっていました。人物の描写が特に面白いです。なかなか安楽に辿りつけないけれど、きっとうまく行くよねと脳内補完。
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アメリカだか失踪者だか。 冒頭のシーンが有名な未完作。 冒頭以外の記憶が薄い。なんか追いかけっこしてたような。
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カフカの「変身」を古い訳文で読んだのは高校生の頃。いまになってはじめてこの長編作品を読んでみると、面白いじゃないか!不条理なばかりではない若き主人公の物語。村上春樹がカフカ賞を受賞したのがよくわかる。池澤夏樹編集の世界文学全集に、カフカ作品としてはこの池内訳の「失踪者」が収録され...
カフカの「変身」を古い訳文で読んだのは高校生の頃。いまになってはじめてこの長編作品を読んでみると、面白いじゃないか!不条理なばかりではない若き主人公の物語。村上春樹がカフカ賞を受賞したのがよくわかる。池澤夏樹編集の世界文学全集に、カフカ作品としてはこの池内訳の「失踪者」が収録されているのにも納得。未完の作品なので★4にしたけど、未完なのが魅力でもあるのかもしれない。
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[ 内容 ] 『審判』『城』とともに「孤独の三部作」と呼ばれる連作の第一巻。 従来『アメリカ』という表題で知られていた作品だが、本コレクションでは、カフカ自身の命名によるタイトルに戻されている。 主人公カール・ロスマン青年がアメリカ社会を遍歴したあげく、大陸の一点で失踪する。 ...
[ 内容 ] 『審判』『城』とともに「孤独の三部作」と呼ばれる連作の第一巻。 従来『アメリカ』という表題で知られていた作品だが、本コレクションでは、カフカ自身の命名によるタイトルに戻されている。 主人公カール・ロスマン青年がアメリカ社会を遍歴したあげく、大陸の一点で失踪する。 [ 目次 ] [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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“冷気が頬を撫でた”で終わる物語。 この表現がポジティブなようには感じないが、主人公カールが行き着く先は生涯の生きる道となるのだと思いたい。 親から見放され、アメリカについてから苦難ばかりの主人公。甘さから叔父に見放され、それからはアイルランド人のロビンソンとフランス人ドラマルシ...
“冷気が頬を撫でた”で終わる物語。 この表現がポジティブなようには感じないが、主人公カールが行き着く先は生涯の生きる道となるのだと思いたい。 親から見放され、アメリカについてから苦難ばかりの主人公。甘さから叔父に見放され、それからはアイルランド人のロビンソンとフランス人ドラマルシュに騙され続ける。正直読んでると、どうしてここまで不運なのかと思わずにはいられない。 失踪者というのは読者の前からの最後の失踪なのかと思う。孤独の三部作と名づけられたのは、正直、微妙。
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未完成の小説であるが故の、最後の断片部が読書者の欲求をそそる。第一章『火夫』での完成された雰囲気から、分け入るように入っていくアメリカというチェコ人に取って未知の国。様々な異様な仕打ちを受けながらも、それでも僅かな荷物とからだ一つで生きていくカール・ロスマンの姿は、読んでその旅路...
未完成の小説であるが故の、最後の断片部が読書者の欲求をそそる。第一章『火夫』での完成された雰囲気から、分け入るように入っていくアメリカというチェコ人に取って未知の国。様々な異様な仕打ちを受けながらも、それでも僅かな荷物とからだ一つで生きていくカール・ロスマンの姿は、読んでその旅路を傍らで辿る者を打ちふるえさせる。
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