南島紀行 の商品レビュー

斎藤たま【著】,杉田徹【写真】

2020/12/15

斎藤たま　さん
ご本人は否定されると思いますが
すばらしい　民俗学の大家だと思っています

日本の各地
それも「田舎」「過疎地」に
焦点を絞られて
その当地の古老にお話を伺う
それも　特別なことではなく
「日常」にある　そのままのことを
そのまんまの様子で聞き取っておられる
そのことが
そこに暮らしている人は
当たり前すぎて
「それが　どうしたの?」
という　ことがらを
丁寧に　記録してこられた

時が経てば経つほど
その「聞き書き」は
貴重なものとなっていく

斎藤たまさんが
その活動をされはしめたのが
1970年ぐらいから、
まだ　半世紀ほどにしかならないのに
すでに　失われてしまったものが
どれほどたくさんなものか
どの著作からもうかがえる

この「南島紀行」も
1980年ごろの「喜界島」「奄美大島」「徳之島」
にもかかわらず
五年ほど前から「奄美」に暮らすようになった
友達からの話によると

そりゃあ　どれだけ変わってしまったか…

との返事が返ってくる

この国に暮らしている
われわれは　何を大事にしてきたのだろう
そして
われわれは　何を大切にしなければならないのだろう
ということを
思わず知らず考えさせられてしまう

そんな一冊です