BESLAN の商品レビュー

菱田雄介【著】

2009/10/04

2004年9月1日、ロシア北オセチア共和国ベスランの第一中学校で生徒と親が集って始業式が行われていた。
　その日が学校初めての生徒も居ただろう。どの子も親も新学年を迎えることに喜び、楽しい学校生活に期待を馳せていたことだろう。その中で起こった学校占拠事件。武装グループの侵入で、楽しいはずの始業式は一転して悪夢に変わった。1000人以上の人たちは人質となり，体育館にギュウギュウ詰めに閉じ込められ、３日間飲まず食わずの状態を苦しんだあげく、誰からのものか定かではない爆発音で銃撃戦へともつれ込み、350人の命を奪う大惨事となった。
　菱田さんは、事件の１年後の現場を訪れる。大惨事の舞台となった校舎、そしてあの体育館やバスケットゴールがそのままの状態で残されている。生々しい傷跡を残す体育館の壁にはまさか自分がそこに貼られるなんて思っても見なかっただろう犠牲者の遺影が痛々しく飾られ、花が一層痛ましさ、やるせなさを物語っているようです。