銃 の商品レビュー
西川は銃の自殺をとげ…
西川は銃の自殺をとげた者から銃を拾った。 それからの生活は変わっていく。 何気ない学生だったのだが、銃を手にしたことにより 世界観がかわり、段々と銃を撃つという行為に憧れていく。 ただ銃を愛でるだけではすまなくなり、 銃の魅力にみせられていく。 もし銃を拾ったら どうしたのだろう...
西川は銃の自殺をとげた者から銃を拾った。 それからの生活は変わっていく。 何気ない学生だったのだが、銃を手にしたことにより 世界観がかわり、段々と銃を撃つという行為に憧れていく。 ただ銃を愛でるだけではすまなくなり、 銃の魅力にみせられていく。 もし銃を拾ったら どうしたのだろう? 確かに自分の中には撃ってみたいという思いはあるかも。 日常生活では絶対に触れることがないから。 モデルガンなら撃ったことはあるのだけれど。
文庫OFF
冷静に自分を分析する主人公 銃を拾うことであらゆる可能性を手にしたと確信していた主人公がどんどん不自由へ向かっていく気づいていく姿、どことなく感じられる危うさ、その描写に圧倒された
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
語り手である「私」は、川沿いで自殺したと思われる死体を見つけ、その手に握られていた拳銃を拾った。それ以来、退屈に満ちていた「私」の周囲の中にあっても、「機嫌がよく」なるようになり、「私」自身、自分の中で起きたその変化を自覚する。しかし一方で、拳銃は、心を惹きつけ拳銃を撃ってみたい、人を殺したいという物騒な想像を「私」に掻き立てるようになった。 公園で猫を殺したあと、隣の部屋の女性を撃ち殺すことは思いとどまるものの、電車で隣に座った「汚い男」を衝動的に撃ち殺してしまう結末は、衝撃的であった。物語の途中、取り調べにきた警察官が、「私」に対して、拳銃を捨てるように忠告する。 「猫を撃ったということは、次は人間です。」「あなたは次に、人間を撃ちたいと思っているはずです。」「人間を殺すとね、不思議なことかもしれませんが、普通の理性でいられないそうです。」 物語は、警察官の忠告通りの結末に至ってしまう。 「汚い男」を撃ち殺してしまったとき、「私」が思う「これは、なしだ」『私は打たなくてもよかったのだ』という言葉からは、彼が、本当に衝動的に撃ってしまったこと、自分のやってしまったことを一瞬受け入れられなかったことが伝わる。その後、彼は、自殺を試みるも、手が震え、銃弾を装填することができないところで、物語は終わる。 養父母に育てられ、少し不真面目な大学生の生活を送りながらも、何も問題なく人生過ごしてきた彼が、人を殺してしまった理由は、ただ、手許に拳銃があったから、というだけだったように感じる。意外に、人が人を殺してしまうとき、というのは、そういうものなのではないか、と恐ろしい物語だった。
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銃を持ったことでなんでもできるなんて、自然と洗脳されるその物の威力がストレートに伝わる. 撃ったらどうなるんだろうってもやもや、破裂しそうな一歩前をもっと読みたい.
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初めて読む作家さん。 図書館で見かけて、急に読みたくなって手に取った。 「普通の」青年が、或る日ふとしたことで拳銃を手に入れる。 本当に普通に。 それで何かしようという下心など無く。 彼はただ、そのフォルムの美しさに惚れぼれした。 それを「お守り」のように持っているだけで、毎...
初めて読む作家さん。 図書館で見かけて、急に読みたくなって手に取った。 「普通の」青年が、或る日ふとしたことで拳銃を手に入れる。 本当に普通に。 それで何かしようという下心など無く。 彼はただ、そのフォルムの美しさに惚れぼれした。 それを「お守り」のように持っているだけで、毎日が楽しくなり、前向きな気持ちになった。 家に愛する女が待っているように、いそいそと帰って銃を磨く。 眺める。 撫でる。 そう、彼の銃に対する気持ちは、得難いレベルの愛する女を自分の物にしたような… しかし、彼の心はだんだんと銃に支配されてくる。 銃は自分を主張し始めるのだ。 自分は磨かれるために存在するのではない。 観賞されるために存在するのではない。 早く本来の働きをさせて。 …物がそんな事を考えるはずはないのだけれど… 青年の心はどんどんと囚われて行く。 なるほど芥川賞作家、と思った。 この作品で取ったわけではないけれど、明治~昭和の文豪のような雰囲気を持った文章だ。 内面に深く染み込むような心理描写が、淡々と書かれているようで、無駄が無くすごい。 なんとなく現実感が無い感じがする中、聞きこみに来た警察の男だけが、生きている人間のような気がする。 あとは、夢が醒めた瞬間と言った感じのラスト。 この終わり方も、出来事としては予想の範囲内だけれど、描写がすごい。
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「私」はいつの間にか「自分」に凌駕され、侵される。 「おかしいな、こんなことをするはずじゃなかったんだ」 「自分」がまさに「私」を飲み込んだ瞬間。
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2014/07/06 不安や動揺の描写が鮮明。泥酔した時のような気分になる。 銃という機械が持つ目的に心が乗っ取られていく。携帯電話が無いと外に出られない僕らも同じかもしれない。
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何度読んでも、読み終えてから数分間は体がじーんと痺れるような感覚に陥る。 この小説を自分はこれからの人生において何度も読み返すことになるでしょうね。
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中村さんのデビュー作。 あらすじはともかく読了感として。 不安の中だからこそ感じられる圧倒的存在感。それを感じてしまったからには動かずにはいられない。自らを突き動かす歴史は自分自身に他ならない。 絶望で溢れかえった物語のように感じられるが、書かれているのは本質そのものだ。ただ「私...
中村さんのデビュー作。 あらすじはともかく読了感として。 不安の中だからこそ感じられる圧倒的存在感。それを感じてしまったからには動かずにはいられない。自らを突き動かす歴史は自分自身に他ならない。 絶望で溢れかえった物語のように感じられるが、書かれているのは本質そのものだ。ただ「私」のように気づいているかいないか、違いはそれだけのこと。
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この人の小説を読むと、胸が苦しくなって息苦しくなり、または悪夢も見たりと眠れなくなるのが苦痛だ(笑)。遮光に続いて2作目だが、文体はもちろん、あらゆる面で主人公が似ている。「私」を客観的に見ている「私」も興味深い。やはり、幼い時の生活環境からの影響か、どこか冷めていて、自分を演じ...
この人の小説を読むと、胸が苦しくなって息苦しくなり、または悪夢も見たりと眠れなくなるのが苦痛だ(笑)。遮光に続いて2作目だが、文体はもちろん、あらゆる面で主人公が似ている。「私」を客観的に見ている「私」も興味深い。やはり、幼い時の生活環境からの影響か、どこか冷めていて、自分を演じているような主人公。誰にもある人間性。そして、平凡でつまらない日常に非日常的な銃を拾うことにより、それに依存することで感性に化学変化を起こす。最後は救われそうで救われず、やはり、そうなるのも人間性、不安定さがあると思う。
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