だまされない“議論力" の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
【要約】 筆者によれば、「議論とは(自分が)正しいと思っていることを言うのであって、正しい答えを言うのとは違う」。むしろ、「正解がないから、意見を聞き、議論をすることが必要とされる」という。 また、議論は基本的に3つの要素で構成されている。すなわち、問題(問題提起、謎の共有)ー解決(意見・主張)ー根拠(理由)が議論の本質である。各要素の評価となるポイントを記述すれば、 問題;独創的、反常識的 解決:明快性(はっきりとした立場)と希少性(他人が言っていないことを述べる) 根拠:実例、データ、現実感(リアリティ) となる。特に、問題と解決を議論のポイントとした場合、根拠はそれをサポートする要素となるため重要となる。 【感想など】 各節ごとにまとめがあり、振り返ってレビューしやすいなど工夫されている。ありがたい。 各章ごとに、普段何気なく聞いていたら騙されやすい議論の例を紹介されており目から鱗が落ちたのだが、特に新鮮だったのが下記の2点。 議論が「勝ち負け」に終わらないのは、双方が「真理の探求」という共通の目標を持っているからであり、よりよい解決を求めるためである。そのため、悔しがるより、自分がより真理に近づいたと満足すべきなのだ。 特に負けず嫌いというわけではない(と思う)けれど、こういうふうに考え、生きられたらいいなあと思ったので目についた。 同じく発想の仕方でいいなと思ったのが次の点。 価値観の対立のように思われがちな議論における対立で、その克服(解決)には、共有(共通)した前提を疑うということ。当たり前と言えばそれまでなのだが、常識や議論の(暗黙に共有された)前提を疑うことから両者の勘違いや譲歩を考えることができることはもしかしたら多いかもしれない。その意味で、筆者が繰り返す、議論とは「反・常識」を狙うものという文言は説得力があった。物事を建設的に問題解決していくための創造力はそこがキーポイントになると思う。
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うーん、個人的にはイマイチ・・・かなぁ。 もうちょっと方法論を期待していたけど、どちらかというと精神論にウエイトがあるような印象。 議論の無効化に関する話は、納得。 みんなちがってみんないいと育てられて来た私は(←ゆとり世代だし)議論が苦手。やっぱり場の空気を壊したくないし、何...
うーん、個人的にはイマイチ・・・かなぁ。 もうちょっと方法論を期待していたけど、どちらかというと精神論にウエイトがあるような印象。 議論の無効化に関する話は、納得。 みんなちがってみんないいと育てられて来た私は(←ゆとり世代だし)議論が苦手。やっぱり場の空気を壊したくないし、何事もそういう考え方もあるんだなぁと受け止めるようにしています。 でも、違う意見ならいいです、ってシャットダウンすることは確かに生産的ではないですね。 ただ、日常生活レベルなら、「みんなちがってみんないい」で構わないとも思います。 「統計データを正確に読み解く」の章は、有用だと思います。学生の小論文対策とか、大学生のレポート対策とかに是非読んでもらいたい。笑 自分も統計データを扱う人間として、統計の表現方法に気をつけなければ・・・と思いました。 全体を通して、思ったことは二つ。 一つめは、日本の教育はもっと議論力に力を入れて欲しいなぁということ。自分で社会人になってから身につければいい話かもしれませんけど、早いうちに習得しておくのに越したことはないと思います。 二つめは、これだけ世の中の議論が間違い(と表現すべきなのか分からないけど)に溢れているのであれば、情報リテラシー能力が半端なくいり、いつも穿った見方をしなければ自分の思う真実に辿り着けないんだなということ。うー、疲れちゃう。うまいこと、情報の取捨選択をしないといけませんね。
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議論をする上で、誤りやすい部分をピックアップして解説している。 マジックワードなど、理解しておいてよい用語や考え方が、たくさんあった。
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「私はこう思うけれど、人それぞれ、いろいろな考えがあると思うし、それでいい」 このようなことを言われると、それは確かにそうなんだろうけど、なんだかなぁ…と思う。なぜそのように感じるのかが書いてあり、とても納得した。 議論をするにあたって何が必要か、そもそも議論とは何を目的...
「私はこう思うけれど、人それぞれ、いろいろな考えがあると思うし、それでいい」 このようなことを言われると、それは確かにそうなんだろうけど、なんだかなぁ…と思う。なぜそのように感じるのかが書いてあり、とても納得した。 議論をするにあたって何が必要か、そもそも議論とは何を目的とするのか、など分かりやすく述べてある。 文学部の入試問題などを題に、どのような筋道で議論を組み立てれば良いのか例示してあるので、とても理解しやすかったし、面白く読み進められた。 批判を素直に受け入れたいと思ってはいるが、実際には余りできていないので、「真理の探求」が目的なのだとしっかり意識しておきたいと思う。
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[ 内容 ] 権威・新聞・数学…もっともらしさの裏側をのぞくとあれっ?? どこかヘンだぞ? ツボさえわかれば、誰でもできる。 世にはびこる「不毛な議論」はこう叩け。 [ 目次 ] 第1部 紋切り型に抗して考える(対立に耐える力-癒すのは誰か? 循環する言葉たち-民主主義と全体主...
[ 内容 ] 権威・新聞・数学…もっともらしさの裏側をのぞくとあれっ?? どこかヘンだぞ? ツボさえわかれば、誰でもできる。 世にはびこる「不毛な議論」はこう叩け。 [ 目次 ] 第1部 紋切り型に抗して考える(対立に耐える力-癒すのは誰か? 循環する言葉たち-民主主義と全体主義 統計データを正確に読み解く-ムカツク理由はどこにある? 仮説とバイアス-子供は危ないか?) 第2部 よくあるロジックの仕組みをみる(相対主義はほんとうにやさしいか-「人それぞれ」の不幸 美を語る方法とは-ヴィジュアルを解釈する 神秘と欲望の構造?対比の向こうに何がある? ややこしい議論を裸にする-要約の方法) 第3部 ささいな議論から根本の問題へ(対立する意見を評価する-なぜ人を殺してはいけないのか? 対立を越えて考える-弁証法を活用する 作業の実態にひそむ限界-歴史記述とは何か? 言語能力とは何か-あとがきにかえて) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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前半3分の1くらい読んだ。 議論にはルールがあり、みんなにそれを教えようというスタンスの本だと思った。予備校の論述問題とその解答などから、ナンセンスな事例を挙げつつ、これはグラフの読み方が甘い、一義的な見方をしすぎ・・・とだめなポイントを次々と指摘。そして、著者の模範解答が示され...
前半3分の1くらい読んだ。 議論にはルールがあり、みんなにそれを教えようというスタンスの本だと思った。予備校の論述問題とその解答などから、ナンセンスな事例を挙げつつ、これはグラフの読み方が甘い、一義的な見方をしすぎ・・・とだめなポイントを次々と指摘。そして、著者の模範解答が示される。けど、あんまり発見はなかったんだな。著者が感激した、すばらしい議論も見たかった。それで、その議論の何が良いのかっていうのを知りたかった。だって、だめな事例と、そこそこ良い事例だけ見ててもつまらないでしょう?最後まで読んだら違ったのかな。たどり着く前に挫折・・・。
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議論のテクニックを期待していたが個人的にはあまりはまらず。 入試問題や新聞の内容を例文にして議論のポイントが書かれていた。議論の本質は問題 解決 根拠である というのは吸収できた。 芸術は 読解 解釈 批評鑑賞という順で語れば、かなり客観的に語れる というのも吸収。いつも美術展...
議論のテクニックを期待していたが個人的にはあまりはまらず。 入試問題や新聞の内容を例文にして議論のポイントが書かれていた。議論の本質は問題 解決 根拠である というのは吸収できた。 芸術は 読解 解釈 批評鑑賞という順で語れば、かなり客観的に語れる というのも吸収。いつも美術展にいっても雰囲気でおしまいになってるんでこれを少し意識してみよう。 というわけで、私としては微妙でした。
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読了後のモヤモヤ感がなかった。 語れないとこは語れない、語れるところはしっかり語る。それらが明確でロジックによって有耶無耶にされることがない。 もちろん、本書はそういったせこい知識人が繰り広げる空虚な議論に警鐘を鳴らしているわけだから、そんな方法をとるわけはないのだが。 日本...
読了後のモヤモヤ感がなかった。 語れないとこは語れない、語れるところはしっかり語る。それらが明確でロジックによって有耶無耶にされることがない。 もちろん、本書はそういったせこい知識人が繰り広げる空虚な議論に警鐘を鳴らしているわけだから、そんな方法をとるわけはないのだが。 日本人は議論が下手だと言われるが(この前提も疑いの余地はあるだろう)それは、こういう議論における一定のルールや真の国語力というのを身につけさせる場面が無いからなんだろうなと思う。 是非、中学一年生くらいから道徳の時間にでも読ませたらいいと思います、はい。
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自分の論理能力、読解能力はまだまだだと感じた。しかし、本書を読んだくらいでは、それが向上するはずがない。でも、いろいろ考えさせられる。ポイントは以下のとおり。 議論に差し障りのない対立軸のない意見は不要。 言葉の正確な意味と限界を知れ。 フレームアップ→データの一部で自分に都合の...
自分の論理能力、読解能力はまだまだだと感じた。しかし、本書を読んだくらいでは、それが向上するはずがない。でも、いろいろ考えさせられる。ポイントは以下のとおり。 議論に差し障りのない対立軸のない意見は不要。 言葉の正確な意味と限界を知れ。 フレームアップ→データの一部で自分に都合の良いところだけを抜き取る。 データは客観的に理解する。 減少の原因や閉経を説明する解釈を考える。 批判、提案はその解釈から出てくる範囲に限るべき。 目盛りの感覚を変え、あえて違った印象のグラフを作ることもある。→だまされるな。 人の主観的なものこそ、調査で調べないとわからない。 ビジュアルも形式に則り語ることが出来る。→読解、解釈→批評 議論するべきは皆が無視していたり、間違っていたりする点についてだ。 議論の中身は「くりかえし」が多い。 示される根拠は、理由、対比、引用、例示、説明に分けて考える。 根拠が一方的な内容でないか、信頼性アルかチェックする。 論点すり替え注意せよ。 議論では対立色を薄めよ。 反対意見言うのではなく、相手の主張を別次元から質問して、相手自らがその問題点をわかるようにせよ。 対立した見方のしたには共通認識があることが多い。 秋に進むには共通した前提を疑え。 現在の反対物として過去を述べる言説は疑うべきだ。
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「人それぞれ」は他者を尊重するようで、コミュニケーション拒否。マジックワードに気をつける。グラフの恣意的な操作に気をつける。社会的発言力を持たないものへの代弁。主観的な意見ほど、客観的に調査する必要性。議論の本質は「問題-解決-根拠」。など。
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