ハンセン病重監房の記録 の商品レビュー
淡々と事実を記載。 また元患者の谺氏の声を冷静に伝える。 ハンセン病の歴史にも言及。 読了40分
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日本のアウシュビッツと呼ぶひともいる、栗生楽泉園の懲罰施設・重監房。もちろん、そこで苦しんだ人の数は、アウシュビッツに比べ、格段に少ない。しかし、数の問題ではない。そこで行われたことの本質が同一だと見える点こそ、知るべきところ。
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ハンセン病の歴史は酷いものですね。パターナリズムの極致がもたらす悲劇。もっとハンセン病については勉強が必要だなと。
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一度でも、ここへ来て、中へ入ってみろ!————国立ハンセン病療養所栗生楽泉園に設けられた特別病室、通称「重監房」。それは全国の「反抗的な」患者を監禁するための過酷きわまりない懲罰施設だった。言葉では語れないがゆえに忘却されてしまう歴史を、どうやって世に伝えていけばいいのか。本書は...
一度でも、ここへ来て、中へ入ってみろ!————国立ハンセン病療養所栗生楽泉園に設けられた特別病室、通称「重監房」。それは全国の「反抗的な」患者を監禁するための過酷きわまりない懲罰施設だった。言葉では語れないがゆえに忘却されてしまう歴史を、どうやって世に伝えていけばいいのか。本書は、近代日本の非道な癩病政策とそれを支える負の構造を暴き出した告発の書であり、十万人署名運動によって「重監房」を復元するまでの闘いの記録である。
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とても簡単な理屈だ。「見た目が悪いのは犯罪」なのだ。 そんな理不尽な理由で犯罪者扱いされていいわけがない。しかし、かつてのハンセン病の患者の隔離政策の考えの根本はこれしか考えられない。 本書を読む前は、ハンセン病に対する医学知識の遅れから、日本は隔離政策を誤って続けて...
とても簡単な理屈だ。「見た目が悪いのは犯罪」なのだ。 そんな理不尽な理由で犯罪者扱いされていいわけがない。しかし、かつてのハンセン病の患者の隔離政策の考えの根本はこれしか考えられない。 本書を読む前は、ハンセン病に対する医学知識の遅れから、日本は隔離政策を誤って続けてきた面もあったのではないかと思っていた。でも事実はそうではなく、あきらかに差別意識がまずあって、とにかくハンセン病の患者を世間から隔離することが初めにありきだった。 20世紀の半ばには特効薬が発見され、先進国では顕著な改善例が報告されていた。感染する可能性も極めて低い病気であるということもわかっていた。日本の行政も、医学界もそれはもちろん理解していた。しかし日本は「だからといって感染の可能性がなくなったわけではないので、隔離政策を続けるのが望ましい」という立場をとった。 なぜそんなことになってしまうのかというと、まず日本の独特の価値観が考えられる。 それは容姿が醜く変形していく患者に対して、その原因を病原菌に求めるのではなく、何か悪いことをやった報いじゃないのか?という仏教の因果応報的に捉える考え方だ。 『ベン・ハー』という映画を観た方は知っているだろうが、作品のなかにハンセン病を患った人たちが出てくる。ハンセン病に対して当てられた日本語の字幕は「業病」だ。 業とは宿業のことで、そこには現世、または過去世で悪い行いをした報いとして、現在の顔が醜く変形したんだ、という思想が込められている。つまり司法では裁けない罪を、仏が裁いたがゆえに「業病」にかかったということだ。だから実際は患者は何の犯罪を犯していないのに、犯罪者のように見られた。 また国家としての「見た目」も考えられた。一刻も早く先進国の仲間入りをしたい日本にとって、途上国並みのハンセン病患者数を抱えていては体裁が悪い。ただそれだけの理由で、「臭いものには蓋をしろ」理論で、隔離政策は続けられた。 重官房という施設は、ハンセン病療養所内に造られた懲罰のための独房だ。 施設内で暴力行為などの本当の意味での犯罪を犯した場合、本来なら警察組織に収容するのが筋だが、刑務所などもハンセン病患者を収容することを嫌悪して、放免するので、仕方なく療養所内に、自治的な刑罰施設として重監房は造られた。 しかし、当然のことながら、警察組織ではないので、そのうちに、ちょっと反抗的な態度を示しただけでも「冷たいところで頭を冷やせ!」と重監房に放り込まれた。監督する者の裁量次第、気分次第で、放り込まれた。 監房内は暗く狭く、もちろん暖房器具はない不衛生な場所だった。そんなところに何カ月も監禁される。食事は1日2回の粥と梅干で栄養状態も劣悪。発狂する者も出た。何より零下10度以下になる冬の寒さの中、厚いコンクリートから伝わる冷気によって凍死する者が相次いだ。 完全に死ぬことがわかりきったうえで、監禁を解かない。明らかな殺人行為だ。トータルで93人が収容されて、そのうち22人が死亡、そのうち18人が凍死だった。 そして、凍死した患者を監房から運び出す作業は、他の患者にさせた。その非道さはナチスと変わらない。 凍死した患者は、体がカチカチに固まっているため独房の狭い間口から引き出すことさえ、かなりの苦労だったという元患者の証言は、痛々しい。 この重監房は土台しか残っていないが、負の遺産として復元され一般公開もされている。。 国家や国民がハンセン病患者へ強いた非人道的な歴史は風化させてはいけないと思う。
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[ 内容 ] 1907年に制定された「らい予防法」によって強制的に療養所に隔離・収容された日本のハンセン病患者たち。 1916年法律が“改正”され、所長には患者の懲戒検束権が与えられ、反抗的とされた患者を監禁所と呼ばれる科刑の場に拘束することができた。 さらに草津・栗生楽泉園には...
[ 内容 ] 1907年に制定された「らい予防法」によって強制的に療養所に隔離・収容された日本のハンセン病患者たち。 1916年法律が“改正”され、所長には患者の懲戒検束権が与えられ、反抗的とされた患者を監禁所と呼ばれる科刑の場に拘束することができた。 さらに草津・栗生楽泉園には「重監房」という事実上の監獄が設けられ、正式な裁判もないまま収監された患者たちは苛烈な懲罰に苦しみ、命を落としていった。 死を意味した「草津送り」に光を当て、封印されたハンセン病患者の受難史を浮き彫りにする。 [ 目次 ] 第1章 無知から始まる旅 第2章 医学の物語 第3章 烙印の物語 第4章 世界最悪のパターナリズム 第5章 重監房であった出来事 終章 この場所を遺せ [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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砂の器読了以来読まねばと思っていたジャンルの作品。言葉を選んで描かれているが、現実はかなりひどかったんだろうな。
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