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ねこのなまえ の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2011/08/03

「名前をつけて」いきなりそう頼まれたら、あなたはどういう名前を付けてあげますか?それも、みるからに薄汚れたノラ猫に頼まれたら?? 主人公のさっちゃんも最初は無視、次に戸惑い、そして適当に名前を付けて… 「名前」の意味とその大事さを再確認させられる一冊です。

Posted byブクログ

2010/01/04

暖かな光が町を包む春の日。 さっちゃんが公園に向かって歩いていると、 桜並木の木陰から一匹のねこが現れました。 ねこは、やせっぽちで汚れていて、のらねこのようでした。 それでも精一杯の笑顔を見せて、さっちゃんに話しかけてきました。 「ぼくのおねがい きいてくれませんか」 ...

暖かな光が町を包む春の日。 さっちゃんが公園に向かって歩いていると、 桜並木の木陰から一匹のねこが現れました。 ねこは、やせっぽちで汚れていて、のらねこのようでした。 それでも精一杯の笑顔を見せて、さっちゃんに話しかけてきました。 「ぼくのおねがい きいてくれませんか」 のらねこの相手なんかまっぴらと思った、 さっちゃんはそのまま通り過ぎようとしました。 それでも、ねこは必死に話しかけてきます。   ものごごろついてから ずっと、のらねこのままです。   だから ぼくには、なまえがありません。   ノラとか ネコとか ドロボウとか、   いろんな よばれかたを されますが、   ほんとうの なまえが ないんです。 その言葉は、さっちゃんをどきっとさせるのでした。   なまえがないって どういうことでしょう。   さっちゃんから さっちゃんを とったら、   そのこは だれになるのでしょう。   だれでもない じぶんって、どんなかんじでしょう。   さっちゃんは あしのしたに、   ふかくて くらいあなが    ぽっかり あいたようなきもちに なりました。   いまにも そのあなに ひきずりこまれそうです。   いっしゅん あたたかなひかりが きえて、   ぶるっと からだが ふるえました。 本書は、すべてひらがなの分かち書きで書かれたものですので、 小学校低学年や幼稚園の子が自力で読めるものです。 内容としては深く高度なものを子どもが自然にわかるように表現しています。 ここに書かれているのは、名前というものの本質です。 そして、もしも、自分に名前がなかったらと仮定して、 そのときの感覚を体感に落とすことによって、強い共感を呼ぶのです。 ここでさっちゃんは、のらねこに真剣に向かい合います。 といっても、そう簡単に素敵な名前が思いつくわけでもありません。 ポチと言って、犬の名前でしょうと言われ、 ミケと言って、ぼくはみけねこじゃありませんと言われ、 まるでボケとツッコミなのです。 ねこに、「もうすこし まじめに かんがえてくださいよ。 ぼくの おかあさんに なったつもりで」なんて言われ、 さっちゃんは腹を立ててしまいます。   「あたしは ねこのおかあさんに なるつもりはないわ。   そんなに すききらいばかり いうんなら、   じぶんで なまえをつければ いいじゃない」 そのあとのねこのセリフにまたはっとさせられます。   「そうは いきませんよ。   なまえっていうのは、だれかに つけてもらうもんなんですよ」 さっちゃんは、自分の名前に思いを巡らせます。 どんな意味があって、どんな思いを込めて、 お父さんとお母さんがつけてくれたのか。 そして、名前には願いがこもっているんだということに気づくのです。 名前を決めるべく、ひとつの重要な質問をねこにします。 それをヒントにさっちゃんは、ねこの名前をじっくりと考えます。 ねこの様子もじっくりと観察し、ねこのある特徴に気づくのです。 その名前を思いついたときのさっちゃんはとても楽しい気持ちでした。 とうとう、ねこを命名します。 それは、一見、一般名詞ですが、ちゃんとそこには意味があるのです。 何度もその名を転がし、ねこもすっかり気にいったよう。 でも、さっちゃんは、こんなことに気づいてしまうんです。   「よかったわ、きにいってもらえて。   でもね、ひとつ きになっていることが あるの。   あんた のらねこ なんでしょ。   だれにも そのなまえで   よんでもらえないんじゃないの」 次のねこの答えが、また、深い。 こんな風に言われたら、 名前をつけてもらったほうはもちろん、名前をつけたほうも幸せです。 そして、 そんな風に大事にしてくれる存在についた名前自体も、幸せでしょうね。 さっちゃんとねこの別れ際は、かわいらしくて、 ちょっと、せつない、かな。 イラストは春らしくかわいらしく明るい色で、 本の大きさも手に馴染みます。 主人公は女の子ですが、男の子も楽しめるのではないでしょうか。 共鳴してしまったときは、読み聞かせをする親が泣いちゃうかもしれないですけどね。 実は、私自身も「名付け」が好きです。 子供はいませんので、 人生の一大事のような名付けは経験していませんが、 人もモノも現象も、自分だけの名前をつけるのが好きです。 そんな名づけがますます楽しくなるようなおはなしでした。 そして、自分自身、そして、周りの人たちがみんな、 誰かの願いのこもった名前を持って生きているということが とても素敵なことに思えました。

Posted byブクログ

2009/10/04

大好きな「いとうひろし」さんの絵本です。 (いとうひろしさんは「だいじょうぶだいじょうぶ 」の作者です。) やっぱり、絵がいいですねぇ。 いえ、お話ももちろんよいです。 「なまえ」について考えさせられるお話です。

Posted byブクログ

2009/10/04

やせっぽっちでうすよごれたのらねこに話しかけられた・・・「なまえをつけてください」―なんだか泣けるおはなし。のらねこがいじらしいからかな。いとうひろしはナンセンスものが多いように思ってたけど、こんなお話もかけるのね。すごくいい話☆

Posted byブクログ