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月光 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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現代の社会にも通じる…

現代の社会にも通じる「河西電気出張所」や伊藤博文の日韓併合を扱った「統監」がよかった。

文庫OFF

2022/06/20

「松本清張」の短篇小説集『月光 ―松本清張初文庫化作品集〈4〉』を読みました。 『失踪 ―松本清張初文庫化作品集〈1〉』に続き「松本清張」の初文庫化作品集です。 -----story------------- 電気会社の出張所に勤める男は、将来に不安を持っていた。 しかし上司...

「松本清張」の短篇小説集『月光 ―松本清張初文庫化作品集〈4〉』を読みました。 『失踪 ―松本清張初文庫化作品集〈1〉』に続き「松本清張」の初文庫化作品集です。 -----story------------- 電気会社の出張所に勤める男は、将来に不安を持っていた。 しかし上司はそれを顧みることはしなかった。 やがて会社は傾く。 起死回生を図り社債を発行するが売れずに上司は首を吊る。 その時男は…。 著者の自伝的要素の強い『河西電気出張所』、美貌の俳人「橋本多佳子」を描いた『月光』、日韓併合を「伊藤博文」の愛人の視点で綴った『統監』など傑作4編を収録。 ----------------------- 本書には以下の四篇が収録されています。  ■河西電気出張所  ■月光  ■統監  ■背広服の変死者 『河西電気出張所』は、「文藝春秋」1974年1月号に掲載された作品で、昭和初期の小倉を舞台に16歳で給仕(お茶汲みや掃除、郵便物の仕分け等の雑用係?)として河西電気に雇われた少年の物語。 将来に希望の持てない使い捨ての労働者… 実家では流行らない食堂を営む両親が息子の収入を期待しているが、会社は業績不振で社員になれる見込みはなく不安定な立場、、、、 出張所では経理担当者による横領事件が起きたり、経営不振から社債発行による建て直しを図るが社債が思うように売れない… そんな中、一泊での別府出張を命ぜられた少年は、初めての出張で束縛と憂鬱から開放されのびのびとした時間を過ごすことで、ほんの小さな報復を果たします。 「松本清張」は3年間川北電気企業社小倉出張所に給仕として働いていたそうですので、その経験や私情が色濃く反映された自伝的小説なんでしょうね。 フリーターやニート、契約社員の増加等、非正規社員が増加している現代にも通じるテーマでした。 『月光』は、「別冊文藝春秋」1966年6月号に掲載された作品(原題は『花衣』)で、美貌の女性俳人「橋本多佳子」(作品中では「羽島悠紀女」という名前で登場)をモデルに、彼女に関わりのあった在る人物(「松本清張」本人?)の視点で彼女の生涯が描かれている物語。 人間模様という面では興味のある内容でしたが… 馴染みがなく、興味のない俳句の世界を描いた作品だし、ミステリーでもないので、感情移入できないまま読み終えた感じですね。 『統監』は、「別冊文藝春秋」1966年3月号に掲載された作品で、韓国統監時代の「伊藤博文」と彼により追い詰められている韓国の姿を、「伊藤博文」によって韓国まで連れてこられた芸者「光香」の視点と公式な文書(読み辛いカナ漢字の文書)により描く物語。 「伊藤博文」が、相当な女好きだったという逸話は聞いたことがありましたが… どうやら真実だったようですね。 芸者という庶民の視点から描かれているので、当時の状況を生々しく感じることができたし、強引に韓国の植民地を進めていた事実を知ることができました。 『背広服の変死者』は、「文學界」1956年7月号に掲載された作品で、人生に絶望した男性が自殺をしようとする場面から始まり、そこに至るまでの心理的経緯が回想される物語。 「松本清張」は作家になる前に朝日新聞西部支社広告部に勤務していた経験があるそうで、本書の最初に収録されている『河西電気出張所』と同様に自伝的要素の強い作品のようです。 新聞社の広告校正担当という閉塞した職場での窒息感、その果てに待ち受ける定年後の荒涼とした人生への絶望感、、、 その窒息感に堪えられず脱サラした後輩や、定年後に他社に重役として迎えられた先輩は、その後、いずれも苦境に陥いる… サラリーマンの不安や悲哀が描かれた作品でしたね。 ちょっと暗いけど、現代にも通じるテーマでした。 四篇とも、それなりに愉しめましたが、ミステリーを読みたい気分だったので、その点では期待外れでしたね。 次は長篇ミステリーが読みたいな。

Posted byブクログ

2020/10/18

「 河西電気出張所」「月光」「統監」「背広服の変死者」の4つ短編集。「河西電気出張所」「背広服の変死者」は、『半生の記』を読めば、清張自身の若かりし頃を基にした短編であることは察せられる。「統監」は、日韓併合の伊藤博文を、韓国まで連れて行った芸者の目から綴られている。「月光」は、...

「 河西電気出張所」「月光」「統監」「背広服の変死者」の4つ短編集。「河西電気出張所」「背広服の変死者」は、『半生の記』を読めば、清張自身の若かりし頃を基にした短編であることは察せられる。「統監」は、日韓併合の伊藤博文を、韓国まで連れて行った芸者の目から綴られている。「月光」は、巻末の解説を読んでモデルとなった俳人がいることを知った。確かに、清張も憧れたであろう美しい女性俳人がweb上の写真で確認できる。

Posted byブクログ

2009/10/04

収録されている「統監」(あくまで小説ですが)を読んで、恥ずかしながら伊藤博文元首相がそんなにも好色だったことを初めて知った。

Posted byブクログ