バタイユ 消尽 の商品レビュー
面白すぎる。 共同体についての論述は共産主義やファシズムの台頭を横目で見てきたバタイユならでは。 宗教、社会、文化、心理、哲学など、多様なジャンルを交差しながら独特な切り口を開示していく。 禁止には侵犯が含まれている。 絶対的な聖性を帯びし権力は、人間にとっての欲望の一対象であり...
面白すぎる。 共同体についての論述は共産主義やファシズムの台頭を横目で見てきたバタイユならでは。 宗教、社会、文化、心理、哲学など、多様なジャンルを交差しながら独特な切り口を開示していく。 禁止には侵犯が含まれている。 絶対的な聖性を帯びし権力は、人間にとっての欲望の一対象でありながら、その領域からするりと抜きいでる外的な事象としての性質もある。つまり非常にアンビバレンツな存在で、未到達が含まれる。それゆえに何よりも眩しく映る。 湯浅先生の平易かつ論理的な文体のおかげで、バタイユの思想の核心に踏み込んでいけた。 今後の自信に繋がりました。 愛とは対面でもって他者と向き合う営みであり、その相互性、対称性は完了することなく、引き伸ばされ、終わりは一向にやってこない。 ただ理解できるのは、未知という茫漠の野の広がりのみ。 デリダやボードリヤールの著作をすでに当たっていた身としては、バタイユからの思想的な影響力を強く感じた。
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[ 内容 ] 独特な思想家バタイユ。 「消尽」「純粋な贈与」「エロティシズム的欲望」「至高な価値」―彼が提示する概念はすべて彼自身によって深く生きられたことである。 パリ国立図書館に勤務、ニーチェ、ヘーゲルなどを学び、非知という考え、共同性の思想へと練られてゆく道筋はどのようなものなのか。 表象による認識の限界を越えようとする思考の運動に迫る。 [ 目次 ] 序章 バタイユ的領界―内的経験と異質学 第1章 動物性と人間性 第2章 「俗なるもの」の世界の形成 第3章 聖なるもの、宗教性、エロティシズム 第4章 祝祭=供犠の解明に向けて 第5章 原初的宗教性から制度化された宗教へ 第6章 キリスト教の制度化と否定的神学 第7章 欲望論から文学・芸術論へ 第8章 共同性の問いへ [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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