山田風太郎明治小説全集(二) の商品レビュー
明治時代の知識があっ…
明治時代の知識があった方が面白さが倍増すると思う。この人とこの人がこんな所で会っていたというのが面白い。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ずっと読みたかった作品。 最初は久々の明治もので読みにくかったけど、展開の巧みさにどんどん引き込まれてあっという間に読んでしまった。いや、むしろ読み終わるのが惜しくて最後の方はわざと読むペースを落としたほどである。 山田風太郎作品の好きなところは、話のおもしろさ、飛び抜けた発想、読者を飽きさせない巧みな展開などはもちろんだが、何より風太郎独特の清々しくて切ない物語の閉じ方である。読後感をあえて言語化するなら、「卒業式の朝」だろうか。新しいスタートを感じさせる清々しさの中に、二度と手に入らない大切なものを失ってしまったような切なさがある。 本作もやはり、そのような終わり方で、心に残るものがある。そして、明治という、混乱した世の中で必死に生きていく人々の姿が鮮やかに描かれている。 心に残る一冊だった。
Posted by
初代警視総監である川路大警視と、最後の町奉行 駒井相模守という対照的な二人を中心に綴られる明治初期の物語。 川路大警視については、警視庁のポリスミュージアムで警察サイドから見た功績を学んだことがありますが、味方を変えれば目的のためなら手段を選ばない意思と強さと謀略の凄まじさは、あ...
初代警視総監である川路大警視と、最後の町奉行 駒井相模守という対照的な二人を中心に綴られる明治初期の物語。 川路大警視については、警視庁のポリスミュージアムで警察サイドから見た功績を学んだことがありますが、味方を変えれば目的のためなら手段を選ばない意思と強さと謀略の凄まじさは、ある意味ではこの時代だからこそ必要だった人だと改めて思い知りました。 明治が舞台だけあって少し読むのに集中力が必要かなところがありますが、とても中身の濃い作品でした。
Posted by
これを読むとやはり西南の役は起こるべくして起きたし、以降の日本の運命を決したのもまたこの役だったんだなぁ、てなことをしみじみ思う。 で、幕末の官軍賊軍のいがみ合いも西南の役で混ぜご飯のごとくごたまぜに均された感があるなぁ、てなことをつくづく思う。 歴史物語の主役にもならず、幕府や...
これを読むとやはり西南の役は起こるべくして起きたし、以降の日本の運命を決したのもまたこの役だったんだなぁ、てなことをしみじみ思う。 で、幕末の官軍賊軍のいがみ合いも西南の役で混ぜご飯のごとくごたまぜに均された感があるなぁ、てなことをつくづく思う。 歴史物語の主役にもならず、幕府や政府の役人や政治家のすったもんだとは関係なく日々の暮らしを営んでいた庶民もいたんだよなぁ、てなこともひしひし感じる。 兵四郎たちが徒歩で向かっていったのは薩摩ではなく、決して明るいとはいえない日本の未来であったのだよなぁ、と寒々しい読後感(だとはいえ暗い感じはない)。
Posted by
偶然に頼りすぎる展開が玉に瑕だが、これも娯楽小説ならでは。 ラスト近くでは太平洋戦争を予言するような少しシリアスな会話部分もあるのがちょっとしたスパイス。 実在の人物と架空の人物が絡んで物語が展開してゆく面白さは格別で、娯楽小説として満点の星五つ。
Posted by
川路大警視とご隠居様の長い闘いがここで終結。 気球に乗ってしまうのはビックリだが、明治の文物、風土、思想まで全てが登場人物の動きにあわせて動いていく筆致が素晴らしい。
Posted by
所々出て来る有名人が、ホントにそんなことを したような錯覚をしてしまう。 でもやっぱり彼は、変態(?)忍者モノが真骨頂だと思う。
Posted by
警視庁VS江戸町奉行の対決という構図が素晴らしい。開化の時代の人々の心情などがよく描けていて、この時代でしか成立しえないミステリーになっている。
Posted by
- 1