洪思翊中将の処刑(上) の商品レビュー
たいへん感慨深い本を読んだ。 戦犯裁判、日本と朝鮮民族との関係、日本の曖昧さ、どれも考えさせられるテーマだ。 日本陸軍洪思翊(こうしよく)中将は、朝鮮人であり、かつ、軍隊という官僚組織の中で中将まで上り詰めた。当時、朝鮮人は、日本名を名乗るのが一般的であった時代に、洪思翊は、生...
たいへん感慨深い本を読んだ。 戦犯裁判、日本と朝鮮民族との関係、日本の曖昧さ、どれも考えさせられるテーマだ。 日本陸軍洪思翊(こうしよく)中将は、朝鮮人であり、かつ、軍隊という官僚組織の中で中将まで上り詰めた。当時、朝鮮人は、日本名を名乗るのが一般的であった時代に、洪思翊は、生涯「洪思翊」を名乗り続け、そして洪思翊のまま、戦犯の汚名を着せられ、従容と死を受け入れた。 洪思翊のような人が昭和の時代に生きていたことは、日韓にとってまことに奇貨とすべきことで、洪思翊の研究を通じて、相互に理解が進めばいいと思う。
Posted by
朝鮮が大日本帝国の外地であった時代に陸軍軍人となり 中将として戦後を迎え、そして絞首刑になった方の 話です。 下手な戦後史に関する本より興味深い。 感想は下巻を終了後に。
Posted by
旧帝国陸軍という大官僚機構において、旧李朝の王族以外に朝鮮人の将校がいたとは知らなかった。あまつさえ、その人は中将にまで昇進し、日本人、朝鮮人を問わず敬慕される人格者であったとは。 本書はその洪思翊(こう・しよく)陸軍中将が、 戦犯に問われ処刑されていくまでの顛末を追った作品であ...
旧帝国陸軍という大官僚機構において、旧李朝の王族以外に朝鮮人の将校がいたとは知らなかった。あまつさえ、その人は中将にまで昇進し、日本人、朝鮮人を問わず敬慕される人格者であったとは。 本書はその洪思翊(こう・しよく)陸軍中将が、 戦犯に問われ処刑されていくまでの顛末を追った作品である。印象として全体的に、 「〜と思う」式の、やや主観的な類推による表現が多いが、そこを差し引いても個人的は非常に引き込まれつつ読んだ。著者は洪中将個人の運命を、単に戦争が起こした悲劇として情緒的に描くのではなく日韓両民族における「感覚」の相違の源泉や、日米両国の組織責任論、といった部分にまで言及して考察していく。 それは「戦争の是非」などという陳腐なテーマを、遙かに超えている。
Posted by
- 1