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ヒューマン・ファクター の商品レビュー

4.1

23件のお客様レビュー

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2023/01/19

「ヒューマン・ファクター…人間や組織・機械・設備等で構成されるシステムが、安全かつ経済的に動作・運用できるために考慮しなければならない人間側の要因のこと」(Wikipedia) 舞台は第二次大戦後冷戦時代のイギリス諜報部。 アフリカ情報担当である諜報部員カッスルは、すでに定年を...

「ヒューマン・ファクター…人間や組織・機械・設備等で構成されるシステムが、安全かつ経済的に動作・運用できるために考慮しなければならない人間側の要因のこと」(Wikipedia) 舞台は第二次大戦後冷戦時代のイギリス諜報部。 アフリカ情報担当である諜報部員カッスルは、すでに定年を過ぎても仕事を続けているが、その理由は自分でも解らず、常に「引退」を考えていた。 そこへ、所属する部署に内部調査が入る。 誰かによる情報漏洩の疑いを明らかにするため……。 イギリス諜報部というと「スパイ大作戦」「007」など派手なイメージがあるが、まったくそんな描写はなく、淡々と日常を描きながら疑心暗鬼が高まっていく様子が中心。 それは、主人公カッスルの好物である、J&Bスコッチの喉を通る甘く芳醇な香り、それで いてキリキリと内臓を締め付ける刺激にも似ている……。 「我々はみんな“箱”の中にいる」 「あなたは言う、私は自由ではないと。 しかし私は思いどおりに手を上げて、おろしている。」 終盤に差し掛かった時にカッスルが引退を告げる。 物語は、ここからいよいよクライマックスへ向かっていく。 そして、わたしはこの結末が大好きだ。 どう好きなのかは、未読の人のために言わないでおく。

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2021/07/16

これは翻訳の妙でもあるのだろうけど、文章の隅々まで英国っぽさが溢れる小説。人物の性格造形から気候や街の雰囲気、ウイスキーや料理、菓子等の小道具に至るまで、芯が一本ビシッと通っていて、知らずしらずのうちに世界に引き込まれた。

Posted byブクログ

2020/11/08

スパイ小説ですが、007みたいな感じではなく文学作品という感じ。ヒューマンファクターのタイトル通り、登場人物のもつ異なる性格や背景がストーリーを動かしていきます。 好きなフレーズ “我が国の人たち(my people)なんて話をしないで。わたしにもう同胞はいない。あなたが我が民...

スパイ小説ですが、007みたいな感じではなく文学作品という感じ。ヒューマンファクターのタイトル通り、登場人物のもつ異なる性格や背景がストーリーを動かしていきます。 好きなフレーズ “我が国の人たち(my people)なんて話をしないで。わたしにもう同胞はいない。あなたが我が民(my people)なの”

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2020/04/25

スパイは、いつ何時なってしまうかわからない。愛する家族の為なら、一歩踏み出してしまうのだろう。でも、悲惨の中でも、そこはかと出てくるユーモア。さすが、グリーン。読者を飽きさせずに、一気に読み進ませてしまう。

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2020/03/10

静かな話なんだけど、最後まで一気に読み進めた。 007みたいな華やかさはないけれど、はらはらしました。

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2018/11/05

スパイ小説だが複雑な複線があるわけでないシンプルなプロットだ(最後のカッスルの役割が明かされるところは少しひねった感じだが)。しかし強く引き込まれた。いかにもイギリス人と言うシニカルな視点。愛と怖れをコインの裏表として描いている。 最後のほうになってセイラの視点で描かれる転換は...

スパイ小説だが複雑な複線があるわけでないシンプルなプロットだ(最後のカッスルの役割が明かされるところは少しひねった感じだが)。しかし強く引き込まれた。いかにもイギリス人と言うシニカルな視点。愛と怖れをコインの裏表として描いている。 最後のほうになってセイラの視点で描かれる転換は何か他の本で同じような手法を読んだ気が。そこに限らず後に続くスパイ小説には大きな影響を与えているのだろう。ただひとつうらみがあるとすれば、うますぎてスルスル流れてしまうような感じだろうか。

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2018/10/19

本書の解説には、某小説家による以下のコメントが引用されています。 「スパイを主人公にしているからスパイ小説にちがいないだろうが、そのようなレッテルは無用の傑作である」 まさにその通りです。 スパイ小説の傑作であることは間違いないですが、より大事なことはスパイという存在を描いた...

本書の解説には、某小説家による以下のコメントが引用されています。 「スパイを主人公にしているからスパイ小説にちがいないだろうが、そのようなレッテルは無用の傑作である」 まさにその通りです。 スパイ小説の傑作であることは間違いないですが、より大事なことはスパイという存在を描いた人間小説ということかもしれません。 誰が二重スパイなのかという謎を追いかける愉しみもありますが、それと同時に語り手であり主人公である男にとって何が大事なのかを知っていく愉しみもあります。 500ページ近い作品ですが、久しぶりに睡眠時間を削ってでも読み進めたいと思わせてくれた一冊でした。

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2018/10/09

イギリス情報部からソ連への情報漏洩を巡り内部調査が始まる…スパイ小説ではなくスパイを題材にした人間小説。映画を見ているように読める。堪能しました。

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2015/10/17

派手さの全くないスパイ小説。なのに、確かにぐいぐい引き込まれる。政治状況は変わっているが、今、読んでも古びれないのは、ヒトの生きざまの根幹に触れているから。

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2015/05/25

たいへん渋いスパイ小説。 舞台はイギリスの諜報部なのだが、派手なアクションは無く心理描写が主。全体通して悲哀が漂っている。 静かで地味なラストシーンが重い。 登場人物それぞれに悩みがありそれぞれに人間味があるけれど、パーシヴァルはこわかった。 デイヴィスが主人公だったらもう少...

たいへん渋いスパイ小説。 舞台はイギリスの諜報部なのだが、派手なアクションは無く心理描写が主。全体通して悲哀が漂っている。 静かで地味なラストシーンが重い。 登場人物それぞれに悩みがありそれぞれに人間味があるけれど、パーシヴァルはこわかった。 デイヴィスが主人公だったらもう少し取っ付き易い話になったかも知れない。 とは言えもう一冊くらい読んでみたい作家だな。

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