高瀬川 の商品レビュー
読んでみて感じたのが、実験的な小説だなという 印象でした。 表題作の「高瀬川」は、ある男女の一夜を舞台に 繰り広げられる生と性の物語です。 物語の中で森鴎外の「高瀬川」が出てくるのですが、本作との共通点が見られるのか分からないが 気になりました。 「追憶」は言葉がバラバラに散り...
読んでみて感じたのが、実験的な小説だなという 印象でした。 表題作の「高瀬川」は、ある男女の一夜を舞台に 繰り広げられる生と性の物語です。 物語の中で森鴎外の「高瀬川」が出てくるのですが、本作との共通点が見られるのか分からないが 気になりました。 「追憶」は言葉がバラバラに散りばめられいて、最初は意味が分からない印象だったが、ページを進むにつれて、文章がまとまっていくので、最後の ページでスッキリしました。
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とにかく実験精神に溢れた挑戦的な文学。 最初の掌編は記憶と流水のイメージを重ね合わせる。屁理屈っぽさすらあり読むのが少し苦しいが、ここで語られていることが後の3作のモチーフになるため、よく読むと読後感が変わる。 「高瀬川」は性交のための一夜の営みがクールっぽく描かれるも、何度か挟...
とにかく実験精神に溢れた挑戦的な文学。 最初の掌編は記憶と流水のイメージを重ね合わせる。屁理屈っぽさすらあり読むのが少し苦しいが、ここで語られていることが後の3作のモチーフになるため、よく読むと読後感が変わる。 「高瀬川」は性交のための一夜の営みがクールっぽく描かれるも、何度か挟まれるダサい描写が印象的だ。 「追憶」は最後のページを読んで思わず拍手。なお、文庫と単行本で文字組はかわるの?と思って単行本も見てみたが、流石に同じだった。 「氷塊」は上下段の小説が同時間軸で展開され、終盤に交差する。読み応え抜群。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
短編「清水」 中編くらいの表題作「高瀬川」 詩「追憶」 2つの小説が並行して進む実験的な「氷塊」 の4つが入っています。 「高瀬川」と「氷塊」はすごく良かった。 「高瀬川」は、最終的にパンティがペットボトルに入って流れて行っちゃう話。 その情景がすごく印象的なのと、コトに及ぶ男女の会話のぎこちなさが良い。 村上春樹の小説で男女の会話がウィットに富んでいてリズミカルな感じなのと真逆で、すごくぎこちなく恰好悪く描いているのが妙に魅力的。 「氷塊」はページの上半分が少年目線、下半分が30代の女性目線で進んで行って、ときどき真ん中に共通目線の文章が差し込まれる。 どう読むかは読者次第だと思うが、読み進め方によって印象も変わるだろうし、とても面白い。 共通の文章の差し込まれる感覚が、最初は長く、後の方は短くなっていくので、小説にスピード感が出てきてドキドキする。 おもしろかった。
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いずれも実験的な試みを含む短編四編を収録しています。 「清水」は、京都の街を歩きながら、自己の意識が刻々その現実感をうしなって不確かな過去へと流れ去っていくことに対する想念をつづった作品です。 表題作「高瀬川」は、小説家の大野と雑誌の編集者である裕美子が身体をかさねる物語です...
いずれも実験的な試みを含む短編四編を収録しています。 「清水」は、京都の街を歩きながら、自己の意識が刻々その現実感をうしなって不確かな過去へと流れ去っていくことに対する想念をつづった作品です。 表題作「高瀬川」は、小説家の大野と雑誌の編集者である裕美子が身体をかさねる物語です。著者はこれまでにも、現代文学のさまざまな可能性を宣明するような試みをこれまでにもつづけてきており、本作もその一環であるということはいちおう理解できます。大野がラブホテルの汚さに神経質になったり、彼がうっかりひざで裕美子のふとももを踏んでしまったりといったシーンに、多少目をみはることもありましたが、正直なところこの程度の作品であれば神崎京介でも書けるのではないかという感想をいだいてしまいました。 「追憶」は、作品の最後に示される現代詩めいたテクストをズタズタに切り裂いて複数のテクストが錯綜する作品世界をつくりあげた実験的な試みです。 「氷塊」も、自分の本当の母親に出会ったのではないかと考える中学一年生少年と、妻子のある医者と不倫関係にある女性の二人の物語が、並行した二つのテクストとして配置され、それがやがて交錯する帰結をえがいています。ジャック・デリダ『弔鐘』のような思想書での試みなどもありますが、そもそもさまざまな人物の物語をひとつのテクストのうちにえがくことのできる小説でこうした試みをおこなうことに意味があるのか、よくわからないというのが率直な感想です。
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実験的な試みによる短編が収められた短編集。 ある一夜を切り取って細かな行動描写と 心理描写で男女の心のなかを探った高瀬川は、 セクシャルな内容に目が行きがちだけど 描写の模索が感じられて面白かった。 あとは、氷塊。 2人の物語の交錯が見事だった。
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高瀬川、と氷解、が好きでした。 高瀬川は少し官能小説のようでもあるのだけれど、陳腐でなく愛情を感じるまでもないような、表現の仕方で。 でもやっぱり、少し男性目線かなと。 氷解が良かったのは特異な文章構造でときたま2人の人生が交差するところに少しはっとさせられる。 女の人から見...
高瀬川、と氷解、が好きでした。 高瀬川は少し官能小説のようでもあるのだけれど、陳腐でなく愛情を感じるまでもないような、表現の仕方で。 でもやっぱり、少し男性目線かなと。 氷解が良かったのは特異な文章構造でときたま2人の人生が交差するところに少しはっとさせられる。 女の人から見た目線、思考、感情と 男の子が考える構想と現実のあい交える妄想と
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「高瀬川」と「氷塊」は面白かった。「氷塊」のつながりは見事。「清水」と「追憶」はよくわからなかったが、全体を通して構成が芸術だと思った。カバー写真も美しい。
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表題作は、作者と思しき若い作家と女性編集者が京都のラブホテルに入ってから朝方そこを出て別れるまでの一部始終を描写したもの、と言ってしまうと簡単ですが、ありそうでなかった小説だと思いました。 ふつうはあえて細かく書かないで済ますというか、書かずに逃げるようなことを淡々と読ませておい...
表題作は、作者と思しき若い作家と女性編集者が京都のラブホテルに入ってから朝方そこを出て別れるまでの一部始終を描写したもの、と言ってしまうと簡単ですが、ありそうでなかった小説だと思いました。 ふつうはあえて細かく書かないで済ますというか、書かずに逃げるようなことを淡々と読ませておいて「どうでもいいよ、そんなこと」と思わせないのはさすがだと思います。 「氷塊」も構成が面白かったですが、ラストの氷の場面はタイトルとも相まってちょっと計算高い感じがしてしまいました。
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平野啓一郎さんが「葬送」後に著した短編集。 当時平野さんは28歳。ご自身の言葉によると 「作家としての挑戦」であり 「男と女の性的な関係に取り組んだ」作品集。 男女の性行為を細かに描いた「高瀬川」 不倫に悩む女性と 実母を求める少年の妄想が交差する「氷解」 の2作のみならず 難...
平野啓一郎さんが「葬送」後に著した短編集。 当時平野さんは28歳。ご自身の言葉によると 「作家としての挑戦」であり 「男と女の性的な関係に取り組んだ」作品集。 男女の性行為を細かに描いた「高瀬川」 不倫に悩む女性と 実母を求める少年の妄想が交差する「氷解」 の2作のみならず 難解な「清水」と「追憶」にも 確かに、若さが迸るにおいがする。 「高瀬川」には 男女間のズレの 居心地の悪さが見事に描かれている。 セックスという最も密なコミュニケーションを経ても ラブホテルの作為的で冷笑的な空気がそうさせるのか 二人の距離は濃厚になっていく。 そんな一夜を「ペットボトル」に詰め込み 時間という川に流してしまう男の残酷さ。 「氷解」では 喫茶店のガラスを隔てて 女性と少年が視線を交わす。 その瞬間に勘違いが生まれる。 二人の妄想が膨張し破裂する過程がスリリングだ。 不倫に悩む女性の心情も実にリアルに描かれている。 余談だが、女性が思っているように 「好きと言わないのが不倫」、である。 もしも既婚者が「好き」と言えば 新たな意味と時間が生まれてしまい 同時にそれを収束させる責任も生じる。 既婚者の皆さん、 不用意な発言にはご注意ください。 この作品とは関係ないけど(^.^)
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うーん、難解。 難解難解アンド難解。 ラブホ舞台の話(「高瀬川」)は所々、文字になかなか起こしづらいあのもやもや感をこれでもかと繰り出してきて、唸った。 あと最後の「氷塊」は上段と下段とでそれぞれ別人物視点からのタイムラグなしのストーリーが展開されており、斬新で面白かった。 ...
うーん、難解。 難解難解アンド難解。 ラブホ舞台の話(「高瀬川」)は所々、文字になかなか起こしづらいあのもやもや感をこれでもかと繰り出してきて、唸った。 あと最後の「氷塊」は上段と下段とでそれぞれ別人物視点からのタイムラグなしのストーリーが展開されており、斬新で面白かった。 が、随所に難解っぷりが見え隠れして全体の1/5くらいしか理解できなかった自覚あり。
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