隠れたがる自然 の商品レビュー
量子力学が突きつけた自然科学に対する問題提起のひとつが「観測者問題」だ。原子や分子といったナノレベルの事象を扱うとき、観測者は観測対象に影響を与えずに観測することができない。 ふだん、我々が物事をみるとき、なにもしなければ対象に直接の影響(動かす、熱する、等)を与えることはない...
量子力学が突きつけた自然科学に対する問題提起のひとつが「観測者問題」だ。原子や分子といったナノレベルの事象を扱うとき、観測者は観測対象に影響を与えずに観測することができない。 ふだん、我々が物事をみるとき、なにもしなければ対象に直接の影響(動かす、熱する、等)を与えることはない。だから、その間には観測者である「主体」と観測対象である「客体」という区分が成り立つ。 しかし、対象がどんどん小さくなっていくにしたがって、我々は対象になんらかの影響を及ぼさないと、対象を観測することができない。たとえば、電子の運動の軌跡は「霧箱」とよばれる装置を使わないと観測できない。霧箱の中には霧が満たされ、電子がその霧の粒子に衝突すると瞬間的に凝結が起こる。それが間接的に電子運動の軌跡として見ることができる、という仕掛けだ。 けれども、霧の粒子に衝突することで電子の運動は影響を受けているわけだから、霧箱の中で観測される電子の運動はもともとの電子の運動をゆがめたものになる。 観測者である我々が対象に対して影響を及ぼしているとするなら、対象は本当に「客体」なのか? この疑問を突き詰めて、著者は存在論へと展開していく。
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量子力学は、 ない、を、ある、へ変える学問。 論理と想像だけで、 創造を理解することが出来るのか。 科学が完璧なものかどうか、 この学問で全てが決まると感じました。 まだまだ勉強不足で理解が追いつきません。楽しい。
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