海に住む少女 の商品レビュー
読後感よかったんだが表題作はあまり印象に残らず ノアの箱舟はこれが原作?? 牛乳のお椀、もまあ好きな気もする
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8月4日購入 9月1日読了 読み切る事がなかなかできない。 その事を本屋のマスターに相談し 選んだもらった2冊のうちの1冊 詩人でもあるJules Supervielleさん 短編集 初めて出逢った書き手 生と死が、どの作品にもそれぞれの輪郭、深度、靄のかけ方で存在し...
8月4日購入 9月1日読了 読み切る事がなかなかできない。 その事を本屋のマスターに相談し 選んだもらった2冊のうちの1冊 詩人でもあるJules Supervielleさん 短編集 初めて出逢った書き手 生と死が、どの作品にもそれぞれの輪郭、深度、靄のかけ方で存在していた。 そうそう 掴めない ところが 妙に気持ちよかった。 そこが僕にとってのこの本!
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清らかな虚しさ、儚さを感じさせる短編集。 様々な生きる者・生きていない者の暮らしを少しずつ切り取ったような、まだ続きがあるような終わり方の作品が多かった。大人向けの童話のような幻想的で苦い余韻の残る作品。
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圧倒的な孤独。そこにあるのは不条理というよりも、ただひたすらに冷徹な条理だと思った。非現実な世界観と、童話のようなやさしげな語りの中で、目をそらしようもなくリアルを突き付けられた感じ。 最後の一篇がシンプルながら余韻が残って好き。
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悪意や強い想念と、生きることにまつわる哀しさが表裏で重なったものとして描き出されていた印象。童話っぽいからこそ、それがいっそう沁みるのは、文体によるところがあるのかも。誰もが(人だけではなく)断片的な世界を生きていて、それが重なりそうで、その瞬間に断絶してしまうからこその哀しさな...
悪意や強い想念と、生きることにまつわる哀しさが表裏で重なったものとして描き出されていた印象。童話っぽいからこそ、それがいっそう沁みるのは、文体によるところがあるのかも。誰もが(人だけではなく)断片的な世界を生きていて、それが重なりそうで、その瞬間に断絶してしまうからこその哀しさなのかもしれない(「ノアの方舟」とか)。
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2022/3/27~2023/3/1 2022/3/27 ・海に住む少女 >海に住む少女は、男のひとも女のひとも見たことがなかったので、このひとたちはいったいなぜこうしているのだろうと、ずっと不思議に思っていました。真夜中にふと、まるで雷に打たれたようにはっとする瞬間でさえ、それが気になっているのでした。 p.14 2022/2/28 ・飼葉桶を囲む牛とロバ イエス誕生のパロディ短篇。イエスを大切にするあまり死んでしまう牛の尊い自己犠牲をどう捉えたらいいのか正直困る 2023/3/1水 一年ぶりに再開して一気にのこりの8編を読んだ。 好きとも嫌いともつかない、なんとも微妙でもどかしい感じだな~~~ どの短篇も、残酷さや寂しさといったものを備えているのだが、そのなかに「優しさ」というか、ピュアさ、善性のようなものも確かにきらめいていて、それが異様に映る。どう受け取っていいのかわからない。自分を恥じる行為がしばしば描かれ、これが前述の純心さに関わってくるのだとは思う。ユーモアもあり、そこは好き。 表題作のほか、「ノアの箱舟」「セーヌ河の名なし娘」「バイオリンの声の少女」「空のふたり」あたりがまぁ好きだけど、とはいえぜんぶ「う~~ん・・・」となる面があることは否めない。 ウルグアイ出身のフランス人(フランス語)作家の幻想小説ということで、ラプラタ幻想文学(ボルヘス、コルタサル、オネッティなど)のイズムを汲んでいるような気がしないでもない。ただ、フランス小説だし、むしろヨーロッパ本流のシュルレアリスム的といったほうがよい気もする。ボリス・ヴィアンとか。そして、シュルレアリスム系譜のラテンアメリカ文学といえばカルペンティエル経由の魔術的リアリズム文学になるが、どうなのだろう。「セーヌ河の名なし娘」「空のふたり」などに顕著だが、総じて、死者の語りや死者の共同体を親近的に描いている節があり、そこらへんはフアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』のような、やはり王道のラテンアメリカ文学っぽさを感じる。まぁ、なににくくられるのでもなく、マージナルな作家ということなのだろう。 >まるで奇跡のようにありえないことでしたが、とくに意味があるとも思えません。そんな珍事にみまわれたことを恥ずかしく思いながら、少女は暗い気分で先生のところにゆきました。片手には吸い取り紙を、もう片方の手にはいつまでも乾こうとしない反抗的なノートを開いたままで。だって、現物を見せる以外に、説明のしようがないんです。絶望した少女は、女教師の目の前で、全身が涙となって消えていってしまいました。 「ノアの箱舟」二段落目 p.148
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評判が良いので読んでみた。 幻想文学短編集ですがなんともとらえどころがないような、キリスト教思想を根本にした寓話的というか。 作者はウルグアイ生まれのフランス人。 『海に住む少女』 誰かを想う気持ちがあまりにも強いとその人間が実体化してしまう。その人間は自分が何者かもわからず...
評判が良いので読んでみた。 幻想文学短編集ですがなんともとらえどころがないような、キリスト教思想を根本にした寓話的というか。 作者はウルグアイ生まれのフランス人。 『海に住む少女』 誰かを想う気持ちがあまりにも強いとその人間が実体化してしまう。その人間は自分が何者かもわからずただ本能で永久に存在し続ける。 『飼い葉桶を囲む牛とロバ』 イエス誕生をその時小屋に居合わせた牛の目線から語る。 動物たちも祝福に訪れたとか、自然界もイエスの誕生を知ったため、牛が口にできるものが少なくなったとか。キリスト教においてイエス生誕は人間だけの祝福ではなく、自然そのものが喜ぶものだったのか(擬人化しているとかかもしれんが) 『セーヌ河の名なし娘』 水死人たちが暮す水の底の世界。 生きている時の記憶を持つ娘は、他の水死人たちに受け入れられない。 娘は本当の死を求めて…。 『空のふたり』 かつて地上で暮らしていた者たちの影が天に集まっています。影たちの交流はそのうち希薄になります。しかしそれでも親しくなった影たちは、新たな命を…。 『ラニ』 インドの部族長を決める断食に残ったラニだが、その後負った大火傷により一族から離れていった。不思議な力を得たラニは、一族の土地を取り戻すが、周りには誰も居ない、完全な孤独の人生だけが残った。 『バイオリンの声の少女』 少女の声がバイオリンの音色になる。少女にとって思考も沈黙も漏れてしまう。だが声が元に戻った時、少女はもう女になっていた。 『競馬の続き』 騎手と競走馬は勢い余って河に飛び込んだ。生き残った騎手はだんだん馬のようになってゆく。 『足跡と沼』 農場主は行商人を殺して死体を沼に沈めたはずなのに。何が見ていたんだ?ああ、犬が居たな。 『ノアの箱舟』 箱舟に乗せるもの、乗せられないもの。 ノアの箱舟を題材にした寓話的な一作、 『牛乳のお椀』 お母さんのために牛乳のお椀を運ぶ青年は、お母さんが死んだ後も牛乳を運びます。運んで排水口に捨てるだけであっても。
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【オンライン読書会開催!】 読書会コミュニティ「猫町倶楽部」の課題作品です ■2022年5月15日(日)17:30 〜 19:30 https://nekomachi-club.com/events/3bd6c3ec81bc
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どの話に出てくる人も、それぞれが影を背負っている、あるいは影そのものであった。翻訳なのか、もとのフランス語の文体なのか、ひとつひとつの文がシンプルで、幻想の世界の情景が目に浮かびやすかったように思う。言葉が儚い短編集でした。
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高校時代から好きな短編集。特に海に住む少女が一番好き。時々何かを朗読したい気分が大きくなる。朗読したい気分のときはいつもこれを朗読しようと決めた。一生かけて朗読練習する。自由訳をやってみたいような気もする。
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