南インドの伝統医学 の商品レビュー
先日読んだ『アジアの伝統医学』に収録されたものと内容はほぼ同じ(臨床編が多少詳しく書かれています)。結果的に2度読んだことになって、頭によく入りました。 日本語で読めるシッダ医学についての本は、本書と『アジアの伝統医学』(内容は本書と大体同じ)、『ババジと18人のシッダ』(数ペー...
先日読んだ『アジアの伝統医学』に収録されたものと内容はほぼ同じ(臨床編が多少詳しく書かれています)。結果的に2度読んだことになって、頭によく入りました。 日本語で読めるシッダ医学についての本は、本書と『アジアの伝統医学』(内容は本書と大体同じ)、『ババジと18人のシッダ』(数ページの解説)のみですので、大変貴重な資料です。 アーユルヴェーダが北インドのヴェーダ文化に由来するものであるのに対して、このシッダ医学は南インドで口承で伝えられて発展したもので、錬金術による鉱物薬の多用が特徴的であり、またシッダと呼ばれるヨーガ覚者たちによって発展した医学だという点にも非常に興味を唆られます。 言い伝えによると、シッダ医学の始祖はなんとシヴァ神!で、そこから受け継いだのがヨーガに詳しい人ならご存知の、あの聖者ババジと18人のシッダ(覚者)たち。彼ら解脱した聖者であるシッダたちによって発展したシッダ医学の目的は、もちろんのこと不老不死であり、瞑想(ヨーガ)と医薬によって解脱することでありました。身体とは歩く神殿であり、神と合一するために必要な神聖な魂の乗り物としての身体の健康が重要視された訳です。 それにしても、診断の際には中医学のようにまず脈診が重要視されることや、尿診では油を垂らしてその動きや形状を観るという”紅茶占い”的な方法を取ること、薬を摂る日時を占星術で割り出すというのが面白いです。シッダ医学での鉱物薬精製の技術は「現代の最先端技術であるナノテクノロジーを彷彿とさせる」という、あとがきの一文の裏に潜む詳細も気になるところ。インドの錬金術にも俄然興味が湧いてきましたが、こちらも参考になる日本語の書籍がほとんどないという壊滅的な状況。とりあえず数少ない文献を漁るしかなさそう。
Posted by
- 1