障害・病いと「ふつう」のはざまで の商品レビュー
自身も手に障害を抱え障害者手帳三級を取得している著者が、「軽度障害者」という今まであまり取り上げられる事の無かった人々に焦点をあてて編集した著書。 軽度な身体障害のほかにも知的障害や精神疾患、発達障害を持つ人がかかえる「障害の程度が軽いが故に健常者にも障害者にも属せないもどかし...
自身も手に障害を抱え障害者手帳三級を取得している著者が、「軽度障害者」という今まであまり取り上げられる事の無かった人々に焦点をあてて編集した著書。 軽度な身体障害のほかにも知的障害や精神疾患、発達障害を持つ人がかかえる「障害の程度が軽いが故に健常者にも障害者にも属せないもどかしさ」について、当事者たちの声や研究をまじえて詳しく書かれている。 私がこの本を読もうと思ったのは、twitter上で膠原病の患者さんがこの本の感想を書いていたのを読んで、面白そうだと思ったのがきっかけだった。 自分が感じていた違和感に言葉を与える事が出来たらと期待して読み始めたが、期待以上の内容だった。 小学校の時からリウマチがあるせいで周りの友達がしていることに参加できないなど不利益な事が何度もあったが、自分は病気なのだからそれは仕方が無い事なのだと思っていた。 だがこれを読んで、私が経験してきた違和感と同じ感情を持っていて、更にそれを研究している方がおられるということや同じように感じている軽度障害者の方が他にもおられるということがわかり、とても安心した。 どこにも所属できず宙ぶらりんになったままの感覚に居場所が与えられたような感じ。 また、今まで知的障害者の方や精神疾患を持ってらっしゃる方なども、自分がずっと感じていた違和感と同じものを感じているということがわかったのも良かった。 存在は知っていても深く関わる機会もなく強い問題意識を持つことも無かったが、これを読んでそういった人たちへも共感出来るようになった。 特に慢性疾患についての論考には共感できることが多く、ためになった。 大学進学の時に病気と向き合わないといけない、と強く感じたのもおそらく自分なりのmourning workだったのだろう。 何かしらの病や障害を持ってらっしゃる方でもしこのレビューを読んで共感できたなら、心当たりがあるなら、是非読んで欲しい一冊。
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