司馬遼太郎対話選集(8) の商品レビュー
司馬遼先生は亡くなる数年前から、避けていたテレビ対談に言い遺すかのように連続出演してバブル崩壊の愚かさ、日本人の水準低下を嘆いた(腑抜けになり中国韓国と喧嘩できないとは言わなかったが)。 宗教学者・山折哲雄との対談は'95年5月阪神大震災、オウム真理教事件のさなか。「幸...
司馬遼先生は亡くなる数年前から、避けていたテレビ対談に言い遺すかのように連続出演してバブル崩壊の愚かさ、日本人の水準低下を嘆いた(腑抜けになり中国韓国と喧嘩できないとは言わなかったが)。 宗教学者・山折哲雄との対談は'95年5月阪神大震災、オウム真理教事件のさなか。「幸福な学問(天文学など善良な対象を扱う)と地獄の学問(地震とか予測できない災が対象)に分けられる」というが、宗教学はもちろん《人間の不条理》で後者。軍事も。ヤーヴェは悪魔的存在。ところが、明治維新で国家のアイデンテティの為、天皇と神道が一神教化 井上ひさし氏との対談では日本の発展は止まった、これからは停滞の時代だと言っている。 停滞で済めば良いが、治安が悪くなり人情血縁の情が薄くなり被介護者が増えて人的資源が技術開発に向かわず技術水準が保てなくなる悪循環というのが目に見えていますからねえ。落ちる前に考えないと。やはり食料危機は今世紀中には来ると思います。高齢化社会で知恵を活かしあらゆる分野で《高度化》するしかないでしょうが。日本がCDの最大市場になったように“閑暇を有意義に換えるものにはカネを払う”感性を大事にしたい。
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宗教にとどまらず、歴史と人物、その中で今への影響を読み解く。 もう少し深く勉強したい。 ○伊藤博文は、欧州諸国の基礎にキリスト教があることを学び、日本には宗教にその力はなく、天皇にあるとした。 ○足利尊氏になりたくない朱子学の卸問屋・水戸藩出身の徳川慶喜が、無血革命の最大の原...
宗教にとどまらず、歴史と人物、その中で今への影響を読み解く。 もう少し深く勉強したい。 ○伊藤博文は、欧州諸国の基礎にキリスト教があることを学び、日本には宗教にその力はなく、天皇にあるとした。 ○足利尊氏になりたくない朱子学の卸問屋・水戸藩出身の徳川慶喜が、無血革命の最大の原因 ○法人としての長州藩 ○日本列島の地理的環境が生み出した天然の無常、寺田虎彦 ○台風に対抗する人間的契機に日本人の風土を見る、和辻哲郎 ○「南無阿弥陀仏」で最後の一瞬には救われるかもしれないが、それまでは、はからいの中であがく ○清沢満之、鈴木大拙 ○困ったときに、憲法を調べてみようという発想になるか。 ○官庁に伍して政策を展開する新聞社がある明治という時代 ○石橋湛山 ○ドイツと日本の戦後賠償金の払い方の違い、行動原理の根本の違い ○理想が好きなのであればもう少ししっかり理想をつくる ○宗教というのはその土地においては本質的にものすごく土俗的なもの。ところが、よそに伝わるときには、土俗的要素が洗い流されて、洗練され、抽象化され、純化される。 ○空海が持っていた体験、能力 ・ずば抜けたものを、本来持たざる環境、立場で持つことを効果 ○宇宙で肉体的に得られる認識の大きさ ○日本でいちばん日本らしく、自由な場所だった新宿 ・ミナミと違う青天井がある ○万葉の時代に後世を見る渡来人・山上憶良 ○島国出身者は政府の役人になることにこだわらない ○思想的な広さが国際化の一つのモデルとなりうる万葉集 ○日本史にいちばん大きな影響をもたらしたのは鎌倉幕府であり、北条政子
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今だからこそ、この本を読んでよかったと思う。 中には、原子力発電の問題・日本人の英語力・今後韓国とどう付き合っていくのかという事。まさにリアルタイムな話題が随所にちりばめられていた。しかし、インタビュー中の司馬さんのそれぞれに対する豊富な知識と補足説明で読みやすい。 とりわけ、...
今だからこそ、この本を読んでよかったと思う。 中には、原子力発電の問題・日本人の英語力・今後韓国とどう付き合っていくのかという事。まさにリアルタイムな話題が随所にちりばめられていた。しかし、インタビュー中の司馬さんのそれぞれに対する豊富な知識と補足説明で読みやすい。 とりわけ、私は山折さんと司馬さんの宗教対話が面白かった。 実際に、私がカナダ留学をしていた折ルームメイトの韓国人と宗教上のトラブルがあったからだ。 日本人は、全体的に無神論であるけれど自国の宗教に無関心ではいけないと改めて考え直した。 インタビュー形式でまとめてあったのも良かった。 また、インタビュー相手には宮崎駿さんもいて驚いた。
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司馬遼太郎と数々のビッグネームによる対談および鼎談。さすがに司馬遼太郎の歴史的知識は抜けており、知らないことがどんどんと出てくる。井上ひさしとの対談、立花隆との対談が特に面白かった。知的な刺激を受ける。
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日本と世界の宗教を文化的、歴史的な背景の中で、日本人とは何かという関心もからめて語る対談集。私自身がそのような視点から宗教を捉えることに関心が深いので興味が尽きなかった。司馬は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの宗教を「飼いならし宗教」と呼ぶ。その社会や国家内の人々を手なずけ...
日本と世界の宗教を文化的、歴史的な背景の中で、日本人とは何かという関心もからめて語る対談集。私自身がそのような視点から宗教を捉えることに関心が深いので興味が尽きなかった。司馬は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教などの宗教を「飼いならし宗教」と呼ぶ。その社会や国家内の人々を手なずけ統制するための宗教ということだ。それに対して、日本はそのような強力な飼いならしの手段が必要なかったので、宗教も美的な荘厳さや加持祈祷的な機能をもった。この指摘は面白い。
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