日本語の語源の謎 の商品レビュー
日本語に関する本はたくさんあるが、今回紹介する本は異色です。その理由は、日本語と英語、ドイツ語、ロシア語に見られる、同一語源と思われる言葉を比較して列挙したものだから。専門の学者なら「言語学村」から異端児扱いされるのでやりたがらない分野だけに、こういう見方もできるのかと思った。...
日本語に関する本はたくさんあるが、今回紹介する本は異色です。その理由は、日本語と英語、ドイツ語、ロシア語に見られる、同一語源と思われる言葉を比較して列挙したものだから。専門の学者なら「言語学村」から異端児扱いされるのでやりたがらない分野だけに、こういう見方もできるのかと思った。 著者がこの本で強調していることは、日本語は孤立語でなく、「日本語族がいかにヨーロッパに広く言葉の源を残してきた人たちであるかに気が付いた」とあるように、どこかに日本語は関連しているのではないかと言うことだ。 それにあとがき著者曰く、日本語がアルタイ語族の中の1つと言う考え方はヨーロッパの学者が唱えたものであり、日本の学者が翻訳してきたとある。その壁を破りたい身も込めて研究をして今回の本を書いた意気込みが伝わってくる。 例えば、汁に関して、ロシア語ではスリーチ(слить)を対比している。英語のジュースと日本語の什(じゅう)を対比させている。掬うに関して、東北方言のスクウッペ、スクウべと英語のスクープ(scoop) を対比させている。叩くを意味する「ブツ」が、英語ではビーツ(beat)、ドイツ語ではブツ(Butz)、ロシア語ではビーチ(бить)になるとしている。 この他にもいろいろな例を挙げているが、数例ぐらいならこじつけやオヤジギャグだと思うが、著者にはたくさん例が並んでいるとどういう経緯でこうなったのか気になる。後はどれだけ古代の日本で、外国との交易、人的交流があったかを物語る資料があれば、話が早いのだろうが、何しろ言葉だけにどうやってできたのか不明のものだってある。著者の考えが一般的になるのは現状では難しいと言わざるを得ない。それでも、このような考え方もあるということで読むのであれば、面白い。
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