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ピノチェト将軍の信じがたく終わりなき裁判 の商品レビュー

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2017/05/19
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選挙で共産主義となったチリのアジェンデ政権を、軍事クーデーターで倒したピノチェト。彼はそのまま大統領になり独裁者としてチリを支配した。 強制収容所がつくられ、多くの民衆が大した罪もなく、あるいは無罪なのに殺された。ピノチェトがロンドンで治療のため入院した1990年代、突如、在任中 スペイン人を殺したかどて逮捕される。 地球の裏側のもう死んだひとを、罪を犯した国ではない国で逮捕できるのか。他国の前大統領を別の国がさばけるのか? ピノチェトは横暴に人を殺したのに、ピノチェトを裁くには横暴にできたい。ゆっくり法に照らして法を解釈して、相手側の主張もきいた上で、裁判は進む。その裁判を見守る著者の複雑な気持ち、期待、懸念が、文学的な作品として結晶化したのが本作である。どのような状況でも希望をすてないことの大切さを皮肉にもピノチェトの悪行から学ぶという複雑な構造。読むのが少しつらかったが、心動かされました。 こんな話でも、文学的愉悦があることは新発見。

Posted byブクログ