古代史の謎はどこまで解けたのか の商品レビュー
歴史が好きだ。何故なら過ぎ去った過去を今その目で見れる事はなく、映像や音声など記録が残っているならまだしも、遡れば遡る程に、それは大きな謎に包まれていく。ちょっと前の映像や音声があろうと、そこに記録されている以外の事はやはり謎めいている。基本的に歴史好きは、事実はどうあれ残された...
歴史が好きだ。何故なら過ぎ去った過去を今その目で見れる事はなく、映像や音声など記録が残っているならまだしも、遡れば遡る程に、それは大きな謎に包まれていく。ちょっと前の映像や音声があろうと、そこに記録されている以外の事はやはり謎めいている。基本的に歴史好きは、事実はどうあれ残されたヒントからその時代の人物や暮らしをパズルのように組み立てて想像を膨らます所に面白みを感じる人が多いだろう。私もその1人だ。今を生きると言う事は、少し前の時間(過ぎ去った今に比べたらそれは全て過去=歴史)に生きていた、歴史に生きたことになる。今は永遠に止める事はできず進み続け、100年も1000年も経てば、その頃の人々から、自分も歴史に生きた人物の1人として眺められるかもしれない。勿論主役ではなく脇役、いやエキストラぐらいにしかならないかもしれなくても。 歴史は過去に遡る程に、残された記憶も記録も減っていくだろうから、謎めいた領域も当たり前のように無限大に広がっていく。歴史家は残されたヒントを繋ぎ合わせたり、他の人の予想を立証してみたり、ありとあらゆる手段で謎を解き明かそうとする。が、しかし正解は結局のところ誰にも解らないから、一番有力な説を歴史として現代人が認定しているだけだ。古代史ともなると、既に何層も埃を土を被り地中深くに埋まってしまう。何層にもわたる地層は時に地震や建設工事の基礎工事で地上に現れ、再び太陽と人の目を浴びる。もしかしたら当時の人々や動物たちも、いま私が考えるような、いつか何千年後に地上で見つかり、歴史になると考えていたかもしれない。 本書は古代史が現在の最新技術等によってどこまで解き明かされたか、その解明の技術と、現時点での正解に近い説に辿り着くまでの道筋を明らかにしてくれる。勿論、前述したように絶対的な正解など無いから、あくまで現時点での答えだ。注目すべきはそうした遺跡と呼ばれる過去の都市や生活跡が、高速道路や鉄道建設、宅地整備などをきっかけに見つかり、経済が停滞するとその動きも鈍ると言う事だ。またそれらの保存についても、国と地域住民には温度差があったり、それによって保管状態に差が出てしまう。歴史を未来に向かって残せるかは、人々の意識次第だ。なんだか非常にもったいない話だと思う。だが昔と違って、科学技術も進歩して調査や年代の特定、復旧技術も発達している。最終的にはもう、ドラえもんのタイムマシーンが出来るかもしれない。人々の飽くなき探究心が科学を発展させ、時間が経てば経つほど古い真実に辿り着ける可能性があると言う事が解る。本書でよく取り上げられるC14法(炭素14法)は「放射性炭素年代測定は、生物由来の炭素系物質が存在した客観的な年代を推定のための方法」と言う事だが、正直仕組みはよく解らない。間違いなく真実の特定に近づいている事は、本書を読み進めればよく解る。 あと何100年か経ったら、今よりも解る事は増えるだろうが、その時人々は何を想うだろうか。解けない謎が解き明かされる驚きか、歴史家は存在意義を失った喪失感か、パズルが解けたような達成感か。その時の人々の気持ちを推測するのも、過去に遡りながら未来を予測する、歴史の楽しみ方かもしれない。 因みに私が生まれ育った場所は国内でも有数の古墳が多い地域だったから、家の近所にも小さな古墳があった。特に立ち入りも自由?だったので中を見に行ったら、穴の中に缶やら瓶やらが散らばっていて、驚いたことを覚えている。再開発が進んで街の風景もずいぶん変わってしまったが、子供の頃のあの風景どうなったであろうか。私にとっての幼い記憶、これも私にとっての歴史である。
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古代史とあるが、戦後の遺跡発掘の成果から見た日本史の知見がまとめられている。古代史だけではなく信長・秀吉の大阪城周辺の発掘、汐留駅遺構の発掘まで網羅されている。 網羅的である分各トピックスの突っ込みは少々物足りない。 ただ、北海道や沖縄・南西諸島の発掘結果など今まであまり知られて...
古代史とあるが、戦後の遺跡発掘の成果から見た日本史の知見がまとめられている。古代史だけではなく信長・秀吉の大阪城周辺の発掘、汐留駅遺構の発掘まで網羅されている。 網羅的である分各トピックスの突っ込みは少々物足りない。 ただ、北海道や沖縄・南西諸島の発掘結果など今まであまり知られていなかった地方の発掘結果などにも言及されていて参考になるところも多い。
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歴史としての古代史かと思ったら、考古学としての古代史の本でした。 ジャンル違いで期待はずれ・・・ が、それでも得られるものは何かないかと(私にとっては)つまらない話を必死に読んでいたら、ありました 遺跡の中には先住民(日本人)と、大陸からやってきた外国人が争うことなく同じ...
歴史としての古代史かと思ったら、考古学としての古代史の本でした。 ジャンル違いで期待はずれ・・・ が、それでも得られるものは何かないかと(私にとっては)つまらない話を必死に読んでいたら、ありました 遺跡の中には先住民(日本人)と、大陸からやってきた外国人が争うことなく同じ集落のなかで暮らしていた痕跡があったとの記述!! まさに徐福の世界です。 支配されずに共存していた証拠が、考古学的にも証明されていたなんて知らなかった。 ロマンですね~ 妄想してワクワクしました。。
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古代史を復習するのにはもってこい。 ついでに大学の史学部に進路が決定している高校生には読んでおいてもらいたいなあ
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