深き心の底より の商品レビュー
小川洋子のエッセイ集…
小川洋子のエッセイ集。著者のことに興味がある人は読んで損はありません。
文庫OFF
烏兎の庭 第六部 10.4.20 http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto06/doc/OY.html
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
小川洋子の小説を読んで感じる退廃的な雰囲気や、死生、儚さ、透明さ、実体の無さは金光教の教会も関係しているのかもしれないと思った。うまく説明できない不思議な造りの建物のなかで作者は家族や信者にかこまれて育った。その記憶自体が架空の話のよう。
Posted by
小説のネタバレをされたようなエッセイがいくつもみられ、なんとういうかがっかりした。やはり小川さんは物語が素晴らしい。金光教については興味深い。ずいぶん人間くさい宗教だ。 3つ、いいエッセイがあった ・人間の哀しさ:筍を売るおじいさんが自転車をうまく漕げないはなし ・アンネの命を...
小説のネタバレをされたようなエッセイがいくつもみられ、なんとういうかがっかりした。やはり小川さんは物語が素晴らしい。金光教については興味深い。ずいぶん人間くさい宗教だ。 3つ、いいエッセイがあった ・人間の哀しさ:筍を売るおじいさんが自転車をうまく漕げないはなし ・アンネの命を救うことはできませんでした ・一人で眠る贅沢
Posted by
小説以外の小川洋子の本の中では一番かな。 静けさの中に死の気配が漂うこの作家の特徴がよく出ている。 あとこの作家にとっては金光教は重要なファクターであることは当然ながら、周りの人達の愛に取り囲まれて育ったんだなと改めて感じます。それ故の上品さなのかな? こう書くと上品でない当方の...
小説以外の小川洋子の本の中では一番かな。 静けさの中に死の気配が漂うこの作家の特徴がよく出ている。 あとこの作家にとっては金光教は重要なファクターであることは当然ながら、周りの人達の愛に取り囲まれて育ったんだなと改めて感じます。それ故の上品さなのかな? こう書くと上品でない当方の周りはタチが悪かった感ありですが、そんなことはありませんので悪しからず。まぁ作家としての天賦の才に恵まれ、それを自ら花開かせたということですかな。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
描く世界を幻想文学と評される小川洋子さんの初期エッセイ集。自身の思い出と小説との関連性、小説に対する姿勢への考え、アンネ・フランクの日記を通して見た死生観への思い、家族の存在、旅行と自身と小説の相互影響、金光教と自分――合計六章五十四篇である。数行を一日一日積み上げていく彼女のスタイルと同様に、このエッセイも一歩一歩今日を積み重ねてきたものとなっている。 さまざまな彼女の過去・当時の現在含め多くが語られているのだけれども、小川さんが言うとおり、「思い出」から彼女の小説が紡がれているのだと感じられる。 たとえば、大原美術館や赤ん坊の底に漂う得体のしれない深い悲しみの予感、チェンバロ工房に洋裁する母、瀬戸内海とプラハの街。きっと、すでに彼女の著作を読んで来た方ならピンと来るだろうし、これから読むという方は将来ピンと来る時が必ずある。また、読む予定がないとしても、小川さん特有の思い出との接し方・捉え方を知ることが出来て、他人の思考の端を覗いたような気分になれるだろう。 たくさんあるなかで、印象的だった話がある。もちろん、どれも小川さん独特の歯触りがある話なのだが。 彼女が『少しでも油断すると、ああなるな』と感じた、ごみ屋敷の兄弟である。身体が不自由になった兄を医者にも診せず看病する弟。そこに愛情があったのかはわたしには分からない。ただ、たしかに自分も『ああなるかもしれないな』とドキッとさせられた。 ここで、「自分は有り得ない」という人もいるだろう。事実、そちらの方が多数派である。 ただ、わたしは兄のためを思ってか思っておらずか分からないものの、自分の信じることを誠実に貫いて、その上で、兄の身代わりに重くなったゴミ袋に潰されるのも悪くないと考えている。
Posted by
小川洋子は岡山県出身で、現在も岡山県在住の作家で、だから今回初めて岡山県に行くにあたりこの本とともに旅をしているのですが、ああここで読んで良かったなあ、と思う。国文学読書の良きところのひとつとして、作家とその作品世界を構成する自然環境にわりに触れやすいというのがある、旅をするたび...
小川洋子は岡山県出身で、現在も岡山県在住の作家で、だから今回初めて岡山県に行くにあたりこの本とともに旅をしているのですが、ああここで読んで良かったなあ、と思う。国文学読書の良きところのひとつとして、作家とその作品世界を構成する自然環境にわりに触れやすいというのがある、旅をするたびそう思います。 内容としては、まず、アンネの日記とかオースターとか柴田元幸とか柳田邦男とかエリ・ヴィーゼルとか村上春樹、小川洋子にとって重要な本がわたしにとってのそれと本当に被っていて、自分の構成要素に対して小川洋子がどれだけ影響してきたか、思い知らされた気分。わたしは小川洋子の文学をとても好きだったから、このひとのこと、このひとの作品世界をより理解したい、と願うのですが、それはそのまま自分について想いを巡らすことにも通じる。文学研究の基本が長らく作家研究だったのは、読者としてのあり方の基本がここにあるからではないか。 で、このひとの作品世界を理解するうえで、瀬戸内海の穏やかな海を見てきたこと、ここで描かれている食べ物についての文章(小川洋子の大きな特徴である、食べ物描写を想うと重要)を読むこと、アンネとホロコーストのこと、それらはとても大切な要素だと、わたしはおもう。さらに金光教については、エッセイで書かれているのは初めてではないでしょうか、小川洋子にとって宗教が重要なものなのだとわたしは知らなかった。金光教が小川洋子の作品世界にどう影響しているのか、このひとが神について文学についてどう考えているのか、自分なりに探っていければと思いました。いずれにせよ小川洋子は小説を書くことを、言葉を、物語の持つ力を、本当に大切にしている作家であることは間違いない。金光教ってあまり耳慣れない宗教ですけど、まあ小川洋子が言うならまともなものなんだろうな、とおもうし。 わたしが小川洋子の文学において特筆すべきと考えているのはいろいろあるんですが、基本的に世界の隅っこにあるようなものへの視点と、それを描くうえでベースとなるのが怒りではないところ。エッセイを読んでいても、なんだかこのひとは本当に怒りから遠いところにあるなあ、とおもった。瀬戸内海みたいに静かで、ゆるやか。それにとても魅力を感じます。
Posted by
22/11/10 75 小説を発表するようになって10年が過ぎ、少しずつ考えが変わってきた。特別なことなど何も無いのではないか。生涯に一冊の本さえ読まない人でも、一行の手紙さえ書かない人でも、誰でも胸の内に物語りを抱えているのかもしれない。
Posted by
小川さんと河合隼雄さんの対談集が非常におもしろかったので、小川さんの小説以外の作品を読んでみようと思って手に取ったのだが、期待はずれだった。 いかにも 「片手間に書いた新聞コラムです」 というかんじの読みごたえのない思い出話ばかり。同じ思い出話にしても、ポール・オースターの 「ト...
小川さんと河合隼雄さんの対談集が非常におもしろかったので、小川さんの小説以外の作品を読んでみようと思って手に取ったのだが、期待はずれだった。 いかにも 「片手間に書いた新聞コラムです」 というかんじの読みごたえのない思い出話ばかり。同じ思い出話にしても、ポール・オースターの 「トゥルー・ストーリーズ」 におさめられたエッセイのおもしろさ、完成度と比較して、あまりにも、あまりにも見劣りする。小川さんはエッセイではなく小説の人なんだなあと思った。それでも、第 3 章 「死は生の隣にある」 にまとめられていたアンネ・フランク関連のコラムは、著者の思い入れが強いせいもあってそれなりに良い。
Posted by
日々の一欠片からの雑記は面白い。 電車で隣り合わせたその人はどんなこと考えてるんやろ。 それを垣間見ている感じがする。 アンネの日記、また読もうっと。
Posted by
- 1
- 2