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2010/06/06

眠りの中で、この身もろとも、わたしは最初の夢に入り込んでいた。不安と苦痛のあまり、夢の中で寝返るをうったところ、夢はとぎれたが、眠りはさめなかった。 やれやれ、心は生き物でも、頭は石ってわけですか。幸運の獲物だとおっしゃる、あなたは高んでしょうとも!でも私の不運はゆらいでいる不...

眠りの中で、この身もろとも、わたしは最初の夢に入り込んでいた。不安と苦痛のあまり、夢の中で寝返るをうったところ、夢はとぎれたが、眠りはさめなかった。 やれやれ、心は生き物でも、頭は石ってわけですか。幸運の獲物だとおっしゃる、あなたは高んでしょうとも!でも私の不運はゆらいでいる不運でして、細い先っぽの上でゆらいでいる。うっかり触れると問いただす人の上に落っこちますよ。 不満だからといって泣いていいわけじゃない。不満のタネだったらこの世にごまんとあるじゃないか!いまもあるし、これからもそうだ。変わるかもしれないと思うのが、ぼくのせいぜいの譲歩ってものだろうね。

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2009/10/04

邦題はいわゆる「万里の長城」。カフカは二種のノートを使い分けていて、片方は大学ノートで長篇用、でもう片方は八つ折の小型ノートで短篇用としてたそうで、これはその八つ折ノートの前半部分から16篇を集めたもの。読んでいて思ったのは、この人は生粋の小説家である、ということ。読んでいて、カ...

邦題はいわゆる「万里の長城」。カフカは二種のノートを使い分けていて、片方は大学ノートで長篇用、でもう片方は八つ折の小型ノートで短篇用としてたそうで、これはその八つ折ノートの前半部分から16篇を集めたもの。読んでいて思ったのは、この人は生粋の小説家である、ということ。読んでいて、カフカって人はなんて文章がうまいんだ、と思わされる。いとも容易に整然とした文章を紡いでいるような印象を読んでいて受ける。そして、その描いている一つ一つの情景、物語が、どれも飛び抜けている。あと、宮沢賢治と似たような印象を受けるのは、カフカも宮沢賢治も死後に世に認められたからだろうか。いや、それだけではない気がする。まだ明確にはわからないけれど。何にしても、この人は本当に書くことが好きな人だったのだと思う。(07/1/15)

Posted byブクログ