いとしいたべもの の商品レビュー
食べ物のエッセイ。 食べ物から過去がよみがえってきた。 とても懐かしく、ほのぼのとした気分になった。 文・画に癒やされました。
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昭和の食卓や食べ物を通した家族の風景を 優しく描いている。 私は遅い子供で、祖母も長命だったので、味の文化としては 昭和から平成にかけての味を大事に頂いてきた人間と 思っている。 だからどの食べ物にまつわるお話も、 「ああ、わかるわ。」 と思うことばかりなのだ。 カップ麺などはおとなになった今でも殆ど食べないし インスタント麺も口にしないで生きてきてしまった。 他の方にお話すると、驚かれるが。 それ以外、特にオムライスのお話などはよく分かる。 母も祖母も手際よく作ってくれたっけなと懐かしい。 カステラも木箱に入ったものを、お菓子のお皿に移し 祖父と一緒にお紅茶を淹れてゆっくり頂く。 お到来物のカステラは、大人になればコーヒーとも よく合う事がわかる。コーヒー党の祖父なのに 子供の私に合わせてお紅茶を飲んでくれていたのだと 気がつくこの頃だ。 金で縁取られたカップのハンドル。 すりガラスから入るミルク色の光。 そんなことまで思い出す。 たねやの水羊羹は、母とこっそり女同士の相談事を しながら食べた。悩みも一瞬忘れる味だった。 ブルドックソースは今でもキッチンにある。 バーモントカレーもお馴染みだ。 ごはんですよは、ちょっと甘いかなと思うけど あのロゴとアニメのCMは知っている。 舟和の芋ようかんは今の住まいに移って 近くにお店があって頂いた。 優しい、ひといきつくような味で、ほうじ茶と頂くのが好きだ。 どういうわけだか和服を着たくなったりもする。 わかばのたい焼きは、高校三年の夏。 そばにあった予備校のお昼休み。 英語の長文が苦手で、半べそで解きながら食べた。 茄子は好物。ごま油で軽く炒め、甘辛く煮る。 焼き茄子もいい。しょうがとお醤油、かつぶしを ほんのちょっぴり。 初めて茄子のお味噌汁を作ったら 茄子が浮かぶことも知らず、ものすごく大きな鍋に 作って、当時の許婚者に笑われて。 何も知らないお嬢さん育ちだった自分がおかしい。 ポテトサラダのサンドイッチは実家を出て お手伝いに来て下さる方から美味しいと教わった。 崎陽軒のシウマイの味は、二度目に結婚したいと 思った人から、美味しいからとごちそうしてもらった。 陶器のお醤油差しは、行儀よく食器棚にあるはずだ。 メロンパンは、パン屋さんで母が、たまにはあなたが 食べたことがないのにしましょうと選んでくれた。 この世にこんなおいしいパンがあるの!と 子供の私は感動した。 一緒に買ったクロワッサンやプリオシュも、 マリー・アントワネットのエピソードと一緒に聞きながら お紅茶と一緒に頂いた。 森下さんと私は、世代的にはかなり違うのに 何故この本が愛おしいのか。 少しずつ家庭によって違うのだけれど 慎ましく、食事と家族を大事にしてきた歴史や 口にしてきたものの共通点が私達を結んでいる。 恐らく多くの読者の方も、自分なりの味や、記憶の風景を 呼び起こされておられるのではないか。 苦しい熱の日のおかゆ。 ゆきひらで作ってもらったおうどん。 幸福・口福。 ああ、本当に。 私達は、愛されていたのだ。
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同じような世代かなと思ったらもうちょっと上だった。私の世代が無意識でやってたことを、意識してやれる世代かな。 食べ物は大きく変化しなかったのか、ほぼ一緒だった。 たべものは、思い出とともにある。母親のおかゆはやっぱり最高においしかったかも。
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著者の森下典子さんの、食べ物への愛情と記憶。先入観のない子供の五感で食べたくさやの美味しさや、母が作るオムレツの特別感、国産松茸の食感と香り、他の追随を許さないサッポロ一番みそラーメン・・・。食べ物が出てくる小説やエッセイが好きでこれまでに何冊も読んだけれど、これは私の中でベスト...
著者の森下典子さんの、食べ物への愛情と記憶。先入観のない子供の五感で食べたくさやの美味しさや、母が作るオムレツの特別感、国産松茸の食感と香り、他の追随を許さないサッポロ一番みそラーメン・・・。食べ物が出てくる小説やエッセイが好きでこれまでに何冊も読んだけれど、これは私の中でベストかもしれない。食べ物を文章で美味しく表現する人は、男性では小泉武夫氏、女性ではこの森下典子氏が両雄かと。 著者は私より10歳も年上なのに食べ物の記憶と感動がほぼ一致する(それはきっと、私が文化的に都会より10年遅れたど田舎に住んでいたからかもしれない)。読むと、その食べ物の色、感触、香り、味が生々しく思い浮かべられ、ニヤニヤしたあと腹が鳴る。 添えられたご本人のイラストもいい。 図書館で借りたのだけど、買っちゃおうかなぁ、この本。
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ついニンマリしてしまうので、電車やバスの中で読むのはオススメしません(笑) サッポロ一番みそラーメンから、くさや、マツタケまで。豊かになり始めた時代の日本の美味しいものが、それぞれにまつわる思い出とほんわかした挿絵とともに語られれ、どのページも「あるある」と楽しくなる。自分の記憶の奥まった部分が刺激され、そういえば同じような思い出がふんわりと残っていたことに気づく。 読後、ちょうど届いていたお中元のパンフレットでたねやの水羊羹を見つけてしまい、気になって仕方がない。自宅用に送ろうか、それとも先様にも? さてさて、今夜はオムライスとポテトサラダでも作ろうか。
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文庫のランキングに入っていたので、読んでみました。 「わかるわかる」とさらさら楽しく読めました。絵もいいです。イラストレーターの方が書いていると思っていたのに、ご本人が書かれているということで驚きました。
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いわゆるグルメな食べ物記ではなく、昭和の子ども時代、心をときめかせた食べ物にまつわるエッセイ。同世代ではないが、ひどく共感。固有名詞であげられているので食べたくなること必至。イラストもレトロな感じで文章を引き立てている。
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味噌ラーメンや、カステラや、江戸むらさき等々、著者の心に残る食べ物にまつわる思い出を、ほんわか温まる著者自身の手描きのイラストとともに綴ったエッセイ集。文章もほこほこと美味しかったです。
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食べ物への想いや、それにまつわる思い出を綴ったエッセイ んもぉ〜〜〜読んでて、ヨダレが!!ヨダレがぁ!!! 音と匂いが目の前に浮かぶくらい、文のリズム感も絶妙で。コレ、夜中に読んではいけません!!Σ( ̄艸 ̄) 一緒に描かれてるイラストも本当に素敵でした。どのお話も、読んで...
食べ物への想いや、それにまつわる思い出を綴ったエッセイ んもぉ〜〜〜読んでて、ヨダレが!!ヨダレがぁ!!! 音と匂いが目の前に浮かぶくらい、文のリズム感も絶妙で。コレ、夜中に読んではいけません!!Σ( ̄艸 ̄) 一緒に描かれてるイラストも本当に素敵でした。どのお話も、読んでいて幸せな気持ちになります(*v.v) くさやとか、カレーパンとか、シウマイ弁当とか..奥が深いなぁww どん兵衛の味わい方が同じで、「あの楽しみをわかってる人がいた!!」と、感動してしまった。 装丁も素敵で、お気に入りの1冊になりました☆ さあてオムライス食べよ〜と♪
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本のセンスがとても良かった。 絵もとても素敵。 たべものが大好きな私が、こんな風に感じてた人が他にも居た事に喜びをかんじた。 もしや皆感じているのか。 なんだか心強く嬉しくなった。 久しぶりに食べてみたくなった、サッポロ一番、カステラ、舟和の芋羊羹 食べてみたくなった、たねやの本...
本のセンスがとても良かった。 絵もとても素敵。 たべものが大好きな私が、こんな風に感じてた人が他にも居た事に喜びをかんじた。 もしや皆感じているのか。 なんだか心強く嬉しくなった。 久しぶりに食べてみたくなった、サッポロ一番、カステラ、舟和の芋羊羹 食べてみたくなった、たねやの本生水羊羹、鶴屋吉信の栗まろ
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