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完本 池波正太郎大成(4) の商品レビュー

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2011/07/16

鬼平犯科帳① 文春文庫なら6冊分の鬼平犯科帳が収録されている。こんな分厚く高い本はやはり図書館か豪邸に住むファンしか買えないかも。 いや~、堪能しました。鬼平、さすがです。鬼平が火盗改め長官に就任した文庫なら1では盗賊中心の話が多かったがだんだんに長谷川平蔵という男の魅力に見せら...

鬼平犯科帳① 文春文庫なら6冊分の鬼平犯科帳が収録されている。こんな分厚く高い本はやはり図書館か豪邸に住むファンしか買えないかも。 いや~、堪能しました。鬼平、さすがです。鬼平が火盗改め長官に就任した文庫なら1では盗賊中心の話が多かったがだんだんに長谷川平蔵という男の魅力に見せられる。時に厳しく情け容赦なく、時にはくだけて優しく、盗賊がその過去のしがらみを捨て平蔵のために働きたいと思うようになっていくのがわかるような気もする。清濁合わせその上広い包容力と決断力、鍛え抜かれた剣の腕。 実在の長谷川平蔵は42歳で火盗に就任して一度退任、その後また長官に就くがその生涯は50くらいで終わっている。本編収録の「むかしの男」では48歳、作者がそろそろこの連載の終盤と考えていたことがわかる。だがあまりの人気にその後も書き続けることになる。その人間関係も緻密で池波正太郎の著作ノートにはいったいどれだけの人間の名前が書かれていたのだろうと前回読んだ文庫の解説で植草甚一が言っていたように「鬼平ノート」を作ってみた。盗賊の親分子分の関係、同心たち、密偵や平蔵が行きつけの店、メモし出したらきりがない。これが結構楽しいのだがきりがない。そこここで出てくる甘いお菓子、団子や煎餅に至るまで書き留めたくなる。 鬼平ファンの中にはその物語の中で鬼平が歩いた道を歩くというのもあるそうだが、浅草、深川、上野などその経路まで書きとめたらどんなものになるだろうと思ったりする。でもこれ以上時間がない。これはもっと年をとってから改めて読み直し、この人物中心の鬼平ノート」をさらにバージョンアップしようと思う。老後の楽しみがまた出来た。

Posted byブクログ