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ぼくらの最終戦争 の商品レビュー

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2014/02/18

シリーズ第2弾。本書は、「もう古くなった今までの若者像」がテーマとなっていて、当時の大事件である阪神淡路大震災とオウム真理教事件を皮切りに、従来の若者像がいまや無効になってしまったことが語られます。 オウム真理教のような宗教に引かれる若者たちは、「あの人の言うことは絶対正しい」...

シリーズ第2弾。本書は、「もう古くなった今までの若者像」がテーマとなっていて、当時の大事件である阪神淡路大震災とオウム真理教事件を皮切りに、従来の若者像がいまや無効になってしまったことが語られます。 オウム真理教のような宗教に引かれる若者たちは、「あの人の言うことは絶対正しい」として「批判」というものを放棄してしまったのだと著者は論じています。なお、そうした主張がなされているのが、『貧乏は正しい』というタイトルの本の中だということにも留意しておくべきなのでしょう。著者は、言わなければならないことは言わなければならないのに、大人が責任を放棄したから、自分がこの本の中で言わなければならないのだと、なかばキレかけで語っています。ここには、責任を放棄した大人たちのもとでどうしていいのか分からなくなっている「若者」への同情と並んで、責任を放棄した大人たちの予備軍である「若者」への叱咤も込められているように思います。 次になぜか、ジム・キャリー論へと話は移ります。従来の「お笑い」は、世間に適合できない落ちこぼれが「笑ってもらう」という構造になっていました。しかしジム・キャリーは、過剰を創造へと作り変える天才だったと著者は見ています。そしてこの話が、ふたたび「若者」論へと接続されます。つまり、従来の若者像は、貧乏であるがゆえに世間に対して反抗するというものだったのに対して、そうした若者像はもはや通用しないと著者は主張するのです。バブル以降の豊かさの中で育った「若者」は「王子さま」だと氏は言い、過剰な可能性だけをもてあまして現実には貧乏な若者たちが、未来を切り開いていくためにはどうすればよいのかを語っています。

Posted byブクログ