新・山の本おすすめ50選 の商品レビュー
ブックガイドは、本のあらすじを追っただけの薄っぺらな内容になりがちだが、本書は単なるベストセラーのそれではない。 日々変化していく山の世界を取り巻く幅広いジャンルを、豊かな鑑識眼と好奇心で論評している。著者の長い登山経験と、新しいものを貪欲に取り入れていこうとする姿勢が、選書に現...
ブックガイドは、本のあらすじを追っただけの薄っぺらな内容になりがちだが、本書は単なるベストセラーのそれではない。 日々変化していく山の世界を取り巻く幅広いジャンルを、豊かな鑑識眼と好奇心で論評している。著者の長い登山経験と、新しいものを貪欲に取り入れていこうとする姿勢が、選書に現れており好感が持てる。 山岳雑誌『岳人』に連載された書評から、最近十年間の新刊書を中心に紹介しているが、現在でも書店の棚で入手可能なロングセラーが多く、その意味では新鮮味や意外性に欠ける。地方の小さな出版社から出ている本にも良書が多く、山の本好きにとってはぜひ取り上げて欲しかったところだ。 評された五十冊の本には、登攀記、探検記、伝記、評論、小説、民俗学、自然科学と多岐にわたっている。中でも、『生と死の分岐点』『決定版雪崩学』のような最先端の技術書も含まれており、著者が紹介することにより、多くの登山者に対して、新しい知識を吸収することへの啓蒙と、学習の機会を投じることになるであろう影響を意識した、グローバルな視点も読み取れる。 「ぼくには、判断できないが」という表記が随所に出てくるのが少々気になるが、著者の主観に同調、疑問をもつためにも、紹介された本を実際に読んでみることが肝要である。
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本格山岳図書の傑作の条件は、 題材にとった登山そのものが内容であること 著者の登山観がしっかりしていること、 それが第三者にきちんと伝わるように表現さらていること だという。 登山の中で生と死の狭間でみる景色こそ本格登山図書の醍醐味だと思う。 本書は第1章で本格山岳小説を、...
本格山岳図書の傑作の条件は、 題材にとった登山そのものが内容であること 著者の登山観がしっかりしていること、 それが第三者にきちんと伝わるように表現さらていること だという。 登山の中で生と死の狭間でみる景色こそ本格登山図書の醍醐味だと思う。 本書は第1章で本格山岳小説を、2章では山に限らず辺境への旅の本を、第3章では山岳論や山岳文学を挙げている。 第1章は迫真の山岳文学が多いが、2章以降はロッククライミングや自転車での世界旅行など幅広い。 ライトな読者も割と楽しめる。
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