所沢高校の730日 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
僕は、所校(とここう、所沢高校の略称)の卒業生である。 85年卒だから、この問題が起こった時にはすでに社会人だった。当時は入ってくる情報も良く分からず、なんだか大変なことに巻き込まれているな、と思っていた。君が代・日の丸の問題になっていたし、果ては政党がらみの暗躍まで伝えられ、何が本当か分からなかった。 そんな中、大学の同期で作っていたメーリングリストに、「卒業生としてどう思うか」というメールが流れてきた。僕を所校の卒業生と知っていたからだ。 確か、僕はこんな内容で答えた。 「所校は、昔から生徒の自主性が重んじられ、自治がしっかりしていた。その一つとして、埼玉県の公立校では当時としては珍しい、制服なしの自由な服装を勝ち取っていた。 だから、このような生徒と校長の対立があっても特に驚かない」 これに、質問した友人からの返答が、 「制服なしなんて、うちの高校も一緒だよ。珍しくもない。」 だった。 意図を伝えるのは難しいと思った。 そして、つい最近この本の存在を知った。 図書館で見つけたのだが、購入して手元に置いた。 ここには、所校の伝統である生徒の自治がそのままの姿で存在している。これは間違いない。 生徒会とは全く関係のない、一生徒であったが、生徒会活動の活発さや生徒総会の白熱した議論などは、何となく覚えている。 この問題をややこしくしたのは、「君が代・日の丸」が絡んでしまったこと。やっていたことは、生徒が決めたことを学校に認めてもらうということだけ。ある意味、伝統に苦しめられたと言えなくもない。でも、ここで交わされた議論には、いろんな面で意味があるし、外からとやかく言われるものではない。 そういった自分たちの考えをしっかり持って、支えていくという伝統は、引き継がれているのだというのが単純にうれしかった。なんだか、罪が晴れていくような感覚。 最後に。この本の中心となった淡路さんは、2年生で生徒会長になった。ここに気付いた人はいるだろうか。普通は、3年生の中から立候補者を募るのではないか。(他校は知らないが。)この辺も、所校の自由な校風を良く表していると思う。
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「日の丸・君が代」を掲げなかった埼玉県所沢高校の生徒会の人々が書いた本。「日の丸・君が代」に対する、生徒らの生の声や考えは興味深かったと思う。
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