アレキサンドリア の商品レビュー
約二千年前の古代アレキサンドリアと現代のエピソードが、ベンシラの知恵の書の示唆に富んだ内容に即するように意味深く語られる二重仕立てのショートストーリーになっている。 古代ユダヤ人の知識やギリシア語の知識、曽野綾子という人は本当に凄い。そして深い。何方かも書いておられたが、こういう...
約二千年前の古代アレキサンドリアと現代のエピソードが、ベンシラの知恵の書の示唆に富んだ内容に即するように意味深く語られる二重仕立てのショートストーリーになっている。 古代ユダヤ人の知識やギリシア語の知識、曽野綾子という人は本当に凄い。そして深い。何方かも書いておられたが、こういうのを書かせたら曽野綾子さんは天下一品である。 それにしても、ベンシラの知恵が深過ぎて殆ど理解できないで終わった感がある。うーん…
Posted by
『古書の来歴』を読んでいて、この本を思い出した。 舞台はふたつ。 題名にもなっている紀元前1世紀のアレキサンドリアと現代の日本。 アレキサンドリアの主人公は聖書に『シラ書』として収められている『ヨシュアの智慧』の作者の孫。 彼は偉大な祖父が記した書物をヘブライ語からギリシャ語訳...
『古書の来歴』を読んでいて、この本を思い出した。 舞台はふたつ。 題名にもなっている紀元前1世紀のアレキサンドリアと現代の日本。 アレキサンドリアの主人公は聖書に『シラ書』として収められている『ヨシュアの智慧』の作者の孫。 彼は偉大な祖父が記した書物をヘブライ語からギリシャ語訳していくことを己に課しており、日々祖父の教えを他言語へと移し変えている。 ナツメヤシの木の下に机を出し、日々祖父の言葉を綴る。 そのシーンがハガターを書き上げる主人公の一人の姿に重なった。 ただ霞を食べている仙人な訳でもないので理解のない家族との葛藤や日々のごたごたに巻き込まれ嘆息し、かつ喜びながら日々は続く。筆先は祖父の記憶をなぞる。 彼の筆先が過去を想うとき、舞台は2000年の時空を超え、気が付くと日々に喜びを嘆きを抱えた日本へと移動している。 日本側の主人公は毎回異なる人物が登場するが、みなそれぞれが抱える悩みや喜びは2000年前と変わらないことを教えてくれる。
Posted by
曽野綾子さんの小説。アラブのことに関しての小説やエッセイはこの人に限る。女性ならではの感性で言葉を操っておられる。ユダヤ人ベン・シラという紀元前の知恵者の書物を訳すその孫息子の手記とともに、日本の暮らしを綴っている小説。いつの時代も変わらぬものは人間という印象を強くした。
Posted by
- 1