ドイツを変えた68年運動 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
大学講義の参考文献に挙がっていたので、当たってみた。 学生運動に関わっていた人々の多くが、「体制側」に入っているところは、日本の運動と似ているはず。本書を読んで、日本の学生運動史を全くというほど知らないことに危機感を抱いた。
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ドイツの学生運動・新左翼にテーマを絞った本。ドイツ赤軍(極左)から極右に転向した、ホルスト・マーラー氏の今後の活動が気になるところです。
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菅元総理をはじめ,日本の政治家に学生運動出身者は多いらしいが,外国のことはほとんど知らなかった。ドイツで90年代半ば以降躍進し,一時連立政権にも参加した「緑の党」。その母体は学生運動らしい。 1968年は世界的に学生運動が激化した年だった。以前,日本の新左翼について読み漁って...
菅元総理をはじめ,日本の政治家に学生運動出身者は多いらしいが,外国のことはほとんど知らなかった。ドイツで90年代半ば以降躍進し,一時連立政権にも参加した「緑の党」。その母体は学生運動らしい。 1968年は世界的に学生運動が激化した年だった。以前,日本の新左翼について読み漁って,いろいろ思うところがあったが,ドイツの学生運動は,ナチスの犯罪について親の世代を糾弾することから始まったそうだ。 初めは大学で,60年代後半からは個々の家庭内でも,ナチスを止められなかった親たちを批判する学生。彼らは権威主義的教育を否定し,政治闘争のための共同体「コミューン」をつくるなどして,権力を挑発する活動を行なう。 ほかにも,共同託児所をカンパで運営するなどの活動も。男性活動家も保育,料理,掃除に参加したというから,これってイクメンのはしりかな?しつけを重視する「ブルジョア的教育」を否定,壁への落書や火遊びを許すなど自由に遊ばせたそうだが,子供の「主体性」を重視しすぎるのって微妙だね…。そのわりに,政治教育を注入したり,反戦デモへの参加も押しつけたりしてるし。左翼思想ってよくわからん。でも時代の空気がそんなんだったのかな。 ともあれ,こうした運動が最も盛り上がったのが68年。最大の課題だった非常事態法阻止が失敗に終ると,68年運動は分裂・解体へ向かう。一部は過激化して暴力主義へ走って自滅したり(赤軍派),一部は試行錯誤を重ねて様々な「新しい社会運動」を掲げて運動の継続を目指したりした。反原発・環境保護・平和・フェミニズムなど。 そして80年代以降,「68年世代」は政党組織「緑の党」を結成,議会活動を通して反核・男女同権・エコ・市民参加といった「緑のテーマ」の国民への浸透を模索する。そして時代の流れによる権威主義の衰退も手伝って,彼らの価値観は次第に定着してゆく。 緑の党は,結成当初こそ急進性が見られたものの,80年代後半には中心勢力が現実派へと移り,既成政党化が進展していく。東ドイツの活動家との連帯も試みられ,ある程度の影響を与えあった。社会主義体制の東ドイツに好意的でドイツ統一に否定的だったため,東西統一後は勢いを失う。 さらに90年代を通じて,緑の党の独自性はどんどん失われてしまう。かつて専売特許だった「緑のテーマ」が一般化し,政敵にも広く受け入れられるようになったため。それでも98年には初めてドイツ社会民主党 (SPD) との連立政権(赤緑連合)に加わる。 政権の座についてから,「68年運動」に関する論争が高まる。どんな貢献があったのか,負の側面は。これはなかなかうらやましい。日本ではあれほど盛り上がった新左翼運動が,その功罪についてきちんと議論され,総括されていないような気がする。
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ドイツにおける「68年世代」と呼ばれる人たちの学生運動の流れ。 「こういうことがありました」という以上のものではない。 私には彼らや彼らが闘おうとしたものについての知識がないから、これだけを見るとどうにも机上の理想論しかもたないくせにエネルギーは有り余るから暴動を起こす馬鹿な若...
ドイツにおける「68年世代」と呼ばれる人たちの学生運動の流れ。 「こういうことがありました」という以上のものではない。 私には彼らや彼らが闘おうとしたものについての知識がないから、これだけを見るとどうにも机上の理想論しかもたないくせにエネルギーは有り余るから暴動を起こす馬鹿な若者のよくある話に見えてしまう。 西ドイツがメインだからなおさら切羽詰った人とは違う「学生運動」に見える。 「68年」にテーマをしぼった本だから仕方ないけど、もうちょっと上や下の世代についても書いて欲しかった。 あと東を研究した人にしては東を軽視しすぎじゃないかな。
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