心を鍛える禅のことば100 の商品レビュー
武田鏡村『禅のことば100』(三修社、2003)を読む。 歴史宗教研究家を名乗り多数の仏教本、武将本を手掛ける著者による禅語解説集。「一期一会」「唯我独尊」などの広く知られるものから公案系のものまで幅広く採録されています。 書名と著者の経歴があやしいのですが、ポイントは内容で...
武田鏡村『禅のことば100』(三修社、2003)を読む。 歴史宗教研究家を名乗り多数の仏教本、武将本を手掛ける著者による禅語解説集。「一期一会」「唯我独尊」などの広く知られるものから公案系のものまで幅広く採録されています。 書名と著者の経歴があやしいのですが、ポイントは内容です。 網羅的に見るには十分、とはいえあっさり風味なのでもっと読みたい場合には講談社学術文庫などで各宗派のものを読むのがよさそうです。 【本文より】 ◯(薩摩の”人斬り半次郎”桐野利明が京都相国寺の独園承珠を訪ねて) 「三千世界の鴉を殺し、主と朝寝がしてみたい」 と当時、流行っていた歌をもって自分の心境を示しました。この世のすべての煩わしいものを殺して、誰にも邪魔されずに馴染んだ女とゆっくり朝寝してみたい、というものです。これに対して独園は、 「桐野さん、そんなことでは天下は取れぬ。わしなら、こう詠む」 といって、 「三千世界の鴉とともに、主と朝寝がしてみたい」 桐野のように鴉が邪魔だといって、殺してはいけません。邪魔なものでも殺さずに活かして、共に生きることです。
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