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今にして安藤昌益 の商品レビュー

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2021/07/09

安藤昌益の思想をユートピア思想とみなす従来の解釈を批判し、テクストにもとづいて昌益の思想の真意を明らかにしようと試みている本です。 昌益は「法世」を批判し、「直耕」にもとづく「自然世」を理想的な社会としてえがき出しました。こうした昌益の思想にかんして、丸山眞男以来、理想的な社会...

安藤昌益の思想をユートピア思想とみなす従来の解釈を批判し、テクストにもとづいて昌益の思想の真意を明らかにしようと試みている本です。 昌益は「法世」を批判し、「直耕」にもとづく「自然世」を理想的な社会としてえがき出しました。こうした昌益の思想にかんして、丸山眞男以来、理想的な社会を実現するための方法をもっていないという批判がくり返しなされてきました。しかし著者は、そうした解釈は昌益のテクストの正しい理解に根ざしたものではないと考えています。他方、寺尾五郎はこうした昌益解釈から距離をとっていましたが、著者はその解釈が昌益そのひとから離れて、寺尾自身の政治的な立場が投影されていると著者は論難しています。 著者によれば、昌益の「自然世」は、「法世」の批判を通して形成されたものであり、そのことを理解する「正人」によってその実現への道筋が開かれることになります。 本書は先行研究の批判が中心となっており、著者自身の昌益解釈はあまり明瞭に語られているようには思えませんでした。

Posted byブクログ