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密室の鎮魂歌 の商品レビュー

3.4

12件のお客様レビュー

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2020/12/02

第14回鮎川哲也賞受賞作。先日読んだ神津慶次朗さんの「鬼に捧げる夜想曲」とのダブル受賞。 小説の完成度としてはこちらの方が格段に高い。さすがその後もコンスタントに作品を出している岸田さんだ。 麻子が友人由加を連れていった友人麗子の個展で、彼女の作品「汝、レクイエムを聴け」を見る...

第14回鮎川哲也賞受賞作。先日読んだ神津慶次朗さんの「鬼に捧げる夜想曲」とのダブル受賞。 小説の完成度としてはこちらの方が格段に高い。さすがその後もコンスタントに作品を出している岸田さんだ。 麻子が友人由加を連れていった友人麗子の個展で、彼女の作品「汝、レクイエムを聴け」を見るなり取り乱した。五年前に密室状態の家から失踪した夫の行方を麗子が知っているはず、その証拠が例の絵にあると言うのだ。しかし麗子は由加ともその夫とも面識はない。そしてその後、由加の夫が失踪した家で殺人事件が起きて…。 失踪した密室、殺人が起きた密室、そしてまた密室という密室祭。 いずれの密室も図解付きだし、どのパターンで来るのかとワクワクしながら読んだのだが、正直こっちは肩透かし。 しかし主人公麻子の、片や彼女の高校時代の友人グループ、片や大学時代の友人グループという、麻子以外は接点のない人々が次々と襲われていく展開は一体どんな秘密が隠されているのかと興味津々だった。実は麻子が…だったりして。いやそんな単純なことはないかなどと思いつつ読んだが、結果的にはやはり麻子は重要パーソンだったのようだ。 主人公麻子がリストラされて生活もプライドもボロボロな商業デザイナーであるのに対し、麗子は自信家の芸術家だしもう一人の友人一条は芸術家は諦めたが料理人として店を繁盛させている。由加は意識的なのか無意識なのか人を振り回し依存してくる。麗子の子供である双子の息子と娘は対照的ながらこれまた扱いが難しい。 麻子が強烈な脇役たちに埋もれそうでいて、彼らに頼られたり心を開かれたりしているところは彼女の人間性を表していてホッとする。その割に家族との関係は希薄なのが気になるが。 ミステリーとしては密室は置いておいても、その他の部分だけでも面白かった。刺青についてはそこまでする?江戸時代じゃあるまいし…と懐疑的なのだが、まあ多少のやり過ぎも良し。しかし最後の二時間サスペンス或いは昼メロのようなドタバタはちょっと興ざめ。結果、犯人の底の浅さを露呈したのだからこれはこれで正解なのか。

Posted byブクログ

2020/02/05

おどろおどろしい装丁のわりには、読みやすく、どちらかというと軽い感じがした。 密室のトリックを読み慣れていないせいか、謎解きのところは、文章を読んでも状況があまり理解できないところもあった。あ、でも電話の着信の謎はなるほどと思ったけど。 ラストはドタバタで騒々しい。女3人集まると...

おどろおどろしい装丁のわりには、読みやすく、どちらかというと軽い感じがした。 密室のトリックを読み慣れていないせいか、謎解きのところは、文章を読んでも状況があまり理解できないところもあった。あ、でも電話の着信の謎はなるほどと思ったけど。 ラストはドタバタで騒々しい。女3人集まると姦しいって言うし。

Posted byブクログ

2012/06/22

 密室に密室。合間に見取り図が出てきくるので、これに引っ張られてワクワクしながら読みました。  主人公とその友人二人の関係性も面白かった。  主人公はこの二人に振り回されるうちに次々と事件に巻き込まれていきますが、その様子がとてもいい人。主人公の夢がかなって幸せになってほしいと思...

 密室に密室。合間に見取り図が出てきくるので、これに引っ張られてワクワクしながら読みました。  主人公とその友人二人の関係性も面白かった。  主人公はこの二人に振り回されるうちに次々と事件に巻き込まれていきますが、その様子がとてもいい人。主人公の夢がかなって幸せになってほしいと思いました。  

Posted byブクログ

2012/05/26

由加の悲鳴に始まり,殺人事件が連続して発生するが,麗子の絵の謎が明かされて解決に至るストーリーだ.一条哲の存在が物語全体のキーポイントだ.これ以上書くと謎解きになるので,ここで終り.

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2012/12/17

図書館より 絵の展覧会で突然倒れた女性。その女性の話によると一枚の絵が密室から忽然と消えた夫の刺青と全く同じだと語る。そして次々と密室殺人事件が起きていくというミステリー。 次々と起こる密室での事件を描きたかった、というよりも火サス的な人間関係や歪んだ愛情なんかを描いたサスペン...

図書館より 絵の展覧会で突然倒れた女性。その女性の話によると一枚の絵が密室から忽然と消えた夫の刺青と全く同じだと語る。そして次々と密室殺人事件が起きていくというミステリー。 次々と起こる密室での事件を描きたかった、というよりも火サス的な人間関係や歪んだ愛情なんかを描いたサスペンスを描きたかったのかな、と読み終えてまず思いました。 だからと言って話が安っぽいわけではなく、主人公の女性らしい心理描写や、その友人たちの女性の描写が巧く下手なサスペンスドラマよりもよっぽど出来上がっているなと感じます。 京都の地名や沿線がポンポンと書かれているのも地元民としてはうれしいところ。京都人なら各京都の描写だけでも読んでいて思わずにやついてしまうのではないでしょうか。 導入部と次々起こる密室事件で本格ミステリ好きとしてはかなりハードルを上げてしまったのですが、そのためか密室の謎やラストの手記は少し迫力不足に感じてしまいました。そこがよかったらもっと評価は高かったかなあ。 第14回鮎川哲也賞

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2012/03/01

まずジャケット怖すぎるでしょ。 密室トリックネタはレベルが高くないと楽しめないが、 その点は悪くなかったと思う。 女性の視点で描かれてる感じが楽しめる。

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2011/06/08

表紙の絵的に怖いだろうな…と心して読んだんですが、そうでもなく、すらっと読みやすいミステリーだと感じました。 主人公の麻美と雪乃ちゃんのコンビが好きでした。麻美いいヤツすぎるよ! その他の登場人物はねぇ…歪んでるなぁという感じ、特に由加と麗子。ここまで来るといっそ気持ちいいけどね...

表紙の絵的に怖いだろうな…と心して読んだんですが、そうでもなく、すらっと読みやすいミステリーだと感じました。 主人公の麻美と雪乃ちゃんのコンビが好きでした。麻美いいヤツすぎるよ! その他の登場人物はねぇ…歪んでるなぁという感じ、特に由加と麗子。ここまで来るといっそ気持ちいいけどね。あ、一条も憎めないけど狂ってる。 麗子に対する言葉で「自分こそが被害者だと思い込んでいる人間ほど、人を傷つけている自覚がない」と言うセリフがあって、重要な部分ではないけど印象に残った。 密室のトリックなどはたいしたことないが、最後全てがわかるとスッキリするし読後感は悪くないと思います。

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2010/09/30

女流作家・新城麗子の個展会場で一枚の絵を見た篠原由加が悲鳴をあげた。 由加が言うには、5年前に失踪した夫の居場所を麗子が知っているにちがいない、というのだ。 しかし麗子とその男には接点はない。 そして5年後の今、再びその現場だった家で事件が起きる。 今度は密室殺人事件。それを皮切...

女流作家・新城麗子の個展会場で一枚の絵を見た篠原由加が悲鳴をあげた。 由加が言うには、5年前に失踪した夫の居場所を麗子が知っているにちがいない、というのだ。 しかし麗子とその男には接点はない。 そして5年後の今、再びその現場だった家で事件が起きる。 今度は密室殺人事件。それを皮切りに密室殺人が続いて起こる。 『汝、レクイエムを聴け』というその絵に隠された驚くべき真実とは!? 岸田るり子さんのデビュー作にして第14回鮎川哲也賞受賞作。 早速借りてきました。 はじめの密室については盲点をつかれて、「おお!」と思わされましたが、それ以外はちょっとムリムリ感を感じてしまいました。 そして暗いです。どの登場人物もなにかしら問題を抱えていて、感じの悪い人ばかりでした。 しかしそれがこの物語には合っていて、全体的に端正な雰囲気を醸し出していました。 無理にトリックを詰め込まなくても、面白いミステリを書いてもらえそうな気がしますが。 次回作が早くも楽しみです。好きな女流ミステリ作家ができてうれしいな♪

Posted byブクログ

2009/12/30

鮎川賞受賞作。 個人的には「密室」にそれほどときめかなかったものの(笑)、これは面白かった。やはり「絵画の謎」が秀逸だなあ。特に「旗」の部分。「まさか……そんなオチじゃないよなあ?」と思いつつ読んでいてそれが的中してしまったのだけど、それでも妙に衝撃的だったし。あの図案の意味もな...

鮎川賞受賞作。 個人的には「密室」にそれほどときめかなかったものの(笑)、これは面白かった。やはり「絵画の謎」が秀逸だなあ。特に「旗」の部分。「まさか……そんなオチじゃないよなあ?」と思いつつ読んでいてそれが的中してしまったのだけど、それでも妙に衝撃的だったし。あの図案の意味もなかなかにショックだあ。見返してみると、伏線はあったんだよねえ。 あと、個人的には「狂気の愛」テーマがなんともいえないなあ。好みのツボにかなりはまっていたかも。

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2009/10/04

初めての岸田るり子作品。 女流作家の視点で描かれる推理小説はやはり面白い。 密室をテーマに起こる奇妙な殺人事件。 もっと真之介君の最後を追って欲しかったが、いいところがいいところで切れてしまい、 余韻に浸るまもなく終わった感じなのが残念だった。 もっと、こうこみ上げるものが欲し...

初めての岸田るり子作品。 女流作家の視点で描かれる推理小説はやはり面白い。 密室をテーマに起こる奇妙な殺人事件。 もっと真之介君の最後を追って欲しかったが、いいところがいいところで切れてしまい、 余韻に浸るまもなく終わった感じなのが残念だった。 もっと、こうこみ上げるものが欲しかったが他の作品に期待しようと思う。

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