神々の山嶺(下) の商品レビュー
真面目で真摯で熱くて、もう先生の心からの思い入れがひしひし伝わってくるのだけれど、一つ気が付いてしまった。 夢枕獏に一番望んでいた、愛してやまなかったのは、その悪ノリにあったのだ。本作は乗ってはいるのは分かるのだが、悪く乗ってはいない。子供のように、おバカのように、嬉々として筆を...
真面目で真摯で熱くて、もう先生の心からの思い入れがひしひし伝わってくるのだけれど、一つ気が付いてしまった。 夢枕獏に一番望んでいた、愛してやまなかったのは、その悪ノリにあったのだ。本作は乗ってはいるのは分かるのだが、悪く乗ってはいない。子供のように、おバカのように、嬉々として筆をグングン運ばせる。そうした小説を夢枕獏に望んでいる。 もちろん面白い小説なのだし、人物も魅力的だが、かゆいところには届かなかった。
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熱い血が滾る濃厚な男汁たっぷり。山と人に魅せられ、とり憑かれた者たちの"生"への粗い息遣い、匂い立つ体臭。登頂での極限状態の描写は圧巻。己の命を賭した人生ドラマ、いやいや人間ストーリー♪。
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あとがきにもあるように、この物語は落ちを考えてから書かれたようである、そのためノンフィクションだが沢木耕太郎のやはり無酸素登山の山野井夫婦を描いた「凍」のような驚きの読後感はなく、小説の作りもの感は否めなかった。面白くなかったわけではないが、最後の落ちはちょっと白々しく予定調和感...
あとがきにもあるように、この物語は落ちを考えてから書かれたようである、そのためノンフィクションだが沢木耕太郎のやはり無酸素登山の山野井夫婦を描いた「凍」のような驚きの読後感はなく、小説の作りもの感は否めなかった。面白くなかったわけではないが、最後の落ちはちょっと白々しく予定調和感がある。これまで陰陽師ぐらいしか読んだことがなかった作家であるが、それにも似てちょっと軽いかな。
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いったいどんな精神状態であれば、新緑を"心に痛い"と感じるのだろうか? 読了した今でも、山に登る人間たちの気持ちは理解できないし、自分は下界で生きていきたいと思うが、非常に心のどこかを刺激される物語であった。 『何かを目指して全てをそこに捧げる』これに魅かれて...
いったいどんな精神状態であれば、新緑を"心に痛い"と感じるのだろうか? 読了した今でも、山に登る人間たちの気持ちは理解できないし、自分は下界で生きていきたいと思うが、非常に心のどこかを刺激される物語であった。 『何かを目指して全てをそこに捧げる』これに魅かれているのではないかと思うが、なかなかそういうものが見つかりにく世の中に暮らしているからだろうか。
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上はなかなか読み進まなかったけど、下は一気だった。用具の名前とかよくわからなかったけど、一緒にエベレスト登ってるかんじ。迫力あった。これを岡田くんがするのか。
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心に残る言葉がいくつかあった。ひとつに、山で滑落事故があると「山を甘くみた」と他人が簡単に言ってしまうということ。その人物を知らずにやすやすと言うな、羽生の事を知らずにそのような事が言えるか。 たかだか60年前までは未知の場所であったエベレスト。有名人がカメラマンとともに登頂す...
心に残る言葉がいくつかあった。ひとつに、山で滑落事故があると「山を甘くみた」と他人が簡単に言ってしまうということ。その人物を知らずにやすやすと言うな、羽生の事を知らずにそのような事が言えるか。 たかだか60年前までは未知の場所であったエベレスト。有名人がカメラマンとともに登頂するのがいいのか、約1tもの荷物を運んで山に入るのがいいのか。それが登山と言えるのか。
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再読。 最近、節約も兼ねて、以前読んで感動した小説を読み返しています。 この作品も私のオールタイムベストの一冊。 前人未踏の岩壁に挑み続ける男の物語です。エベレストの初登頂をめぐるミステリーの要素があるにはありますが、とにかく主人公の羽生丈二の人物造詣というか生き様が凄過ぎて、物...
再読。 最近、節約も兼ねて、以前読んで感動した小説を読み返しています。 この作品も私のオールタイムベストの一冊。 前人未踏の岩壁に挑み続ける男の物語です。エベレストの初登頂をめぐるミステリーの要素があるにはありますが、とにかく主人公の羽生丈二の人物造詣というか生き様が凄過ぎて、物語に引き込まれます。 ひたすらに山に登る、ただそれだけの話しをここまで重厚な物語に仕上げた作者の力量に脱帽。 傑作です。
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最後のシーンに静かに感動する。どんな人生を選ぼうと、向き合うのは自らの生だと教えてくれる。登場人物たちはそれがたまたま山で極限の中で一歩を踏み出し続けただけ。エベレストの冬季南西壁無酸素の登頂の大変さは想像できないけれど、そこに潜むロマンや物語性は十分に味わえた。
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これまで読んだ山岳小説の中でもこれはピカイチ。おもしろかったー 手に汗にぎるシーンはもちろん、氷山のなかでしん、とする場面もその場にいるかのような臨場感。 また、高山病にかかりながら考える、死と生についても、ぐっとくるものがある。 ストーリーは深町というカメラマンがエベレスト初登...
これまで読んだ山岳小説の中でもこれはピカイチ。おもしろかったー 手に汗にぎるシーンはもちろん、氷山のなかでしん、とする場面もその場にいるかのような臨場感。 また、高山病にかかりながら考える、死と生についても、ぐっとくるものがある。 ストーリーは深町というカメラマンがエベレスト初登頂をしたのか謎となっているマロニーのカメラを発見したところから。 その後辿りついた伝説のクライマー羽生という男は、前人未踏のエベレスト南面壁冬期美酸素単独登頂を目指していたー その姿を見届けたい、と深町は跡を追う。 山へ登るのは、山があるからではなく、おれがここにいるからだ。やるだけやったと思いたくて、数グラムでも荷を軽くする。生きてゆくということは、何かしらを引きずっていくことなのだ。など、名言も盛りだくさん。
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一気に読了。 エヴェレスト南西壁無酸素単独登頂を狙う羽生。ついていく深町。 高度が人体に及ぼす影響がこれまでとは思わなかった。止めることも休むことも死につながる、進むか戻るしかない登山。なぜのぼるか、なぜ生きるか考えながら登る深町。生活や家庭を捨てて夢を我儘に純粋に執拗に追いかけ...
一気に読了。 エヴェレスト南西壁無酸素単独登頂を狙う羽生。ついていく深町。 高度が人体に及ぼす影響がこれまでとは思わなかった。止めることも休むことも死につながる、進むか戻るしかない登山。なぜのぼるか、なぜ生きるか考えながら登る深町。生活や家庭を捨てて夢を我儘に純粋に執拗に追いかける羽生に自分は何歳までだったら憧れただろうか?今の自分には全てを理解はできない。ただ、うらやましいと思う。カッコ良いと思う。 少しずつ紐解かれていく謎、過去。 深町が彼に首飾りを返せた事、生活していくことに迷いが見えなくなったこと、羽生は深町を助ける事が出来て彼の岸に対する後悔がもしかすると少しでも救われたのかも…万々歳ではないけれどそれぞれの思いに区切りが付けられたように思えたのは自分の勝手な希望か。
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