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流れの可視化入門 の商品レビュー

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2019/09/07

空気や流れの可視化に個人的な興味があり、読みまくっていた。層流と乱流を見分けたオズボーン・レイノルズ、超音速を可視化したエルンスト・マッハ、境界層を考え出したプラントル、カルマン渦、どれも衝撃だった。 物体の受ける力、球のまわりの流れ、マグナス効果、流れの表し方を研究するにつれ...

空気や流れの可視化に個人的な興味があり、読みまくっていた。層流と乱流を見分けたオズボーン・レイノルズ、超音速を可視化したエルンスト・マッハ、境界層を考え出したプラントル、カルマン渦、どれも衝撃だった。 物体の受ける力、球のまわりの流れ、マグナス効果、流れの表し方を研究するにつれて、スポーツにおける動力学や流体力学へと没入していく。原子までのミクロのレベルでの応用例を考えると、結局は、芸術や哲学にたどり着いていくのが面白かった。火焔土器、ゴヤの名画、尾形光琳、そして万能の天才レオナルド・ダビンチ。この本は、物理屋にとっては名著であり、すべては流れの中にある。熱力学や量子力学も含め、粒子と波動をどのように包括的に捉えていくのか、それに対する哲学的な解釈はとても面白いのだ。AIや「頭のいい生き方」を定義しようとするいまの日本人には、こうした本を書いたり、理解できる人はいなくなるだろう。基礎研究を疎かにして国の経済発展などあり得ないのに。

Posted byブクログ