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極東綺譚(2) の商品レビュー

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2009/10/04

あいも変わらず衒学的というかもっともらしいトンデモ民俗学が、物凄い筆致で有無を言うひまもなく納得させられてしまう。 こんなに徹底的にリアルな異形で画面を埋め尽くされたら、もうそういうものがあるんだと納得するしかなくなるよ! 今回は現実に姿を現した異界の描写が中心なので、前巻で多用...

あいも変わらず衒学的というかもっともらしいトンデモ民俗学が、物凄い筆致で有無を言うひまもなく納得させられてしまう。 こんなに徹底的にリアルな異形で画面を埋め尽くされたら、もうそういうものがあるんだと納得するしかなくなるよ! 今回は現実に姿を現した異界の描写が中心なので、前巻で多用された非現実的な描写が少なくなっているのはちょっと残念。それでも巻末、活動写真館でのあれよあれよの急展開にはビックリさせられたけど。 思えばかつて滅んだ異形の種族を復活させんとする幾太郎は、そう考えるとまるで陳腐な悪役だが、その彼の築いた王国が〈人工生態系〉というとんだケレン味。 加えて「山の中の塩」の意味、明治政府の塩専売化の陰謀史観というこれまたもっともらしいギミックが物語を補強し、同時に「そういう事か!」という頭脳遊技的なドラマを付け加える。 最後にはこれまで小出しにされた伏線(とすら気付かなかった上手い伏線)が機能し、大スペクタクルの果てに得意の言葉遊びで綺麗に締める、とまあ見事な構成。 もういっそここで終わってもいいんじゃない? という気もしないではなかったが、そうすると暮緒が立派な押し掛け女房属性を発揮する間がなくなってしまって重大な機会の損失である。まあこのマンガで一番の萌えキャラは暮緒よりも眼帯巨乳様よりも、われらが美形肉体派インテリ九鬼銃造ではあるのだけど。

Posted byブクログ