父の暦(文庫版) の商品レビュー
重いテーマを漫画で表現するのが、秀逸。テンポの良い所とゆっくり時間が流れる所が、小気味良し。起伏の少ない大人の物語を綴ってある。だから貴重。面白い
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父が死んで、初めてその思いを知る。私自身にとっても身につまされる話だった。物語の「私」は、父母が離婚したことが父のせいだとわだかまりを持ち、だんだんと疎遠になっていく。故郷に帰らない年月が過ぎた時に、父が亡くなる。通夜の席に出かけた「私」は、父が多くの人に慕われていたことに驚き、...
父が死んで、初めてその思いを知る。私自身にとっても身につまされる話だった。物語の「私」は、父母が離婚したことが父のせいだとわだかまりを持ち、だんだんと疎遠になっていく。故郷に帰らない年月が過ぎた時に、父が亡くなる。通夜の席に出かけた「私」は、父が多くの人に慕われていたことに驚き、そして父がどれほど自分のことを思っていてくれたかを知り、涙する。細かく描き込まれた絵がリアリティーを支え、淡々とした語りが思いの深さを伝える。構成も、通夜の夜と翌日の2日間の物語に過去を織り込み、鮮やかだ。
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数年前に故郷に戻ってくるまでは主人公と同じでほったらかしだったので(飼い犬のこともシンクロ…)、大変胸がつまる想い。親孝行せねば!
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これはズシンとくる物語だった。 話の中で流れている時間は、父のお通夜とお葬式の、たった2日間なのに、父との思い出が走馬灯のように駆け巡り、振り返る構成になっている。 家族だから、分かり合えないこともある。 読んだ人の心に、問いかけてくる。 『家族』重いテーマだ。
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『坊っちゃん』の時代シリーズの谷口ジロー作品。『闇の国々』の著者、ブノワ・ペータースが触れていたこともあり、読んでみた。 父の死をきっかけに、故郷・鳥取に久しぶりに帰ることになった「私」。 なぜ長い年月、過去に蓋をするようにして生きてきたのか。 実家に向かう「私」の胸に、忘れて...
『坊っちゃん』の時代シリーズの谷口ジロー作品。『闇の国々』の著者、ブノワ・ペータースが触れていたこともあり、読んでみた。 父の死をきっかけに、故郷・鳥取に久しぶりに帰ることになった「私」。 なぜ長い年月、過去に蓋をするようにして生きてきたのか。 実家に向かう「私」の胸に、忘れていた想い出が徐々に浮かび上がってくる。 そして故郷で知る、語られなかった父の想い。 家族の物語であり、父や母、姉と私の行き違いが丁寧に描き出されている。 母の兄である大介おじさん、父の後妻の静子さんの飾らぬ存在感が印象に残る。 当時の鳥取を生き生きと描く、繊細な絵が味わい深い。文庫で買ってしまったが、どうせなら大きい版で読みたかった。 主人公のように十数年帰らないというほどではないけれども、私も故郷とあまり近しくない。 いつの日か、私の心の中にももっと親しい存在として郷里が帰ってくることがあるだろうか。そのときには、この作品を思い出すだろうか。 *作中、3頭の犬が出てくる。故郷で主人公が飼っていた2頭の犬がしみじみとかわいくて、しみじみと悲しい。著者は犬をよく知っている。 『犬を飼う』という作品もあるようだが、読みたいような、ちょっと躊躇われるような。「飼う」ということの最後に来るのは、「先立たれる」ということだから。 *鳥取大火、YASHICA製カメラ、映画(『二十四の瞳』、『山椒太夫』)など、ちりばめられたディテールもすばらしい。
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