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2011/12/12

 2003年。女性写真家が35歳になった小学校時代の同級生の写真を撮るためにあちこち回るという話。退屈な日常を送る彼らと、ニューヨークへ行っちゃうアーティストとしての自分の苦悩をクロスオーバーさせたりなんかしているのだけれども、この小学校というのがなんと福島県で、同級生を訪ねる先...

 2003年。女性写真家が35歳になった小学校時代の同級生の写真を撮るためにあちこち回るという話。退屈な日常を送る彼らと、ニューヨークへ行っちゃうアーティストとしての自分の苦悩をクロスオーバーさせたりなんかしているのだけれども、この小学校というのがなんと福島県で、同級生を訪ねる先には宮城県気仙沼という地名も出てくる。  しかし、問題は文章である。方言を交えた会話なども数多く出てくるのだが、内省的な部分はどうも妙に気取った感じで、それでいて何を言っているのかよくわからない。しかも英語文法的に言うところの「時制」の表現が滅茶苦茶だ。過去の思い出話をしているのに、なぜか主体の行動が現在進行形で書かれているのがとても気になった。「これも文体」、「これも個性」と呼ぶこともできるのかも知れないが、単なる無知なのではないか。  なんとなく、こう書きたいという意識はわかる。彼女自身は映画の回想シーンのように、そのカットの中では物語が動いているので、ついそのように書きたくなるのだろう。しかしこれは日本語の文章としては間違っているとは言わないけれども、かなり特殊なスタイルだと指摘せざるを得ない。  また、「あと5分もすれば漆喰の闇の中へと電車ごと進んでいくだろう」という文章があった。これは恐らく、「漆喰」ではなく「漆黒」の誤用だろう。変換ミスというより、きちんと調べずにうろ覚えのイメージだけで仕事をしているのではないか。そしてこの間違いに気付かない校正のレベルというのも問題だ。  それでも、これは続編が必要な本だろうと思う。そして余計なことだが、それはとても売れる本になるのではないかという気がする。

Posted byブクログ