ドイツ史10講 の商品レビュー
ドイツがいつからあるのかよく知らないことに気がついて、とりあえず通史を読んでみようと思い手に取った本。第一次世界大戦以降はある程度知っているがそれ以前となるとゲルマン民族大移動とかまで遡ってしまう。そういう状態からすると大まかな流れが分かって良かった。
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ドイツ旅行にあたり、ドイツ史を概観したいと思い読んだ本。ある程度世界史・ヨーロッパ史を知っている前提で書かれた内容であり、個人的な目的からは少し外れた。ただ、古代ローマ時代から東西ローマ、フランク王国、神聖ローマ帝国、プロイセンによるドイツ統一、第一次大戦、第二次大戦、とヨーロッ...
ドイツ旅行にあたり、ドイツ史を概観したいと思い読んだ本。ある程度世界史・ヨーロッパ史を知っている前提で書かれた内容であり、個人的な目的からは少し外れた。ただ、古代ローマ時代から東西ローマ、フランク王国、神聖ローマ帝国、プロイセンによるドイツ統一、第一次大戦、第二次大戦、とヨーロッパの中のドイツが時代を追って描かれており、世界史の知識がほとんどない状態で読んでも大枠は掴めた。岩波新書らしいアカデミックな文体に久々に触れ、楽しく読めた。
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英仏は国家統一を進め、教会所領に国王が課税権を持った。ローマ教皇は英仏に手を出せない。一方、神聖ローマは世俗領邦は半独立、国内の教会も半独立。国内がばらばらで介入がしやすいため、ローマ教皇はドイツの教会を通じて金を吸い上げていた。ドイツは「ローマの雌牛めうし」。教皇レオ10は、サ...
英仏は国家統一を進め、教会所領に国王が課税権を持った。ローマ教皇は英仏に手を出せない。一方、神聖ローマは世俗領邦は半独立、国内の教会も半独立。国内がばらばらで介入がしやすいため、ローマ教皇はドイツの教会を通じて金を吸い上げていた。ドイツは「ローマの雌牛めうし」。教皇レオ10は、サン=ピエトロ大聖堂の修繕費を賄うため、ドイツ人に贖宥状を売って金を儲けた。いい加減にしろ、ということでルターの95か条(1517)。 大衆動員をしたナチス。大衆民主主義の苦い経験。西ドイツは徹底した議会中心の間接民主にした。ワイマール時代に小党が乱立して政権不安に陥ったので、得票率が5%未満の政党に議席を与えないことにした。 ヴィリー・ブラント(西ドイツ首相1969-1974)。ドイツ社会民主党(SPD)。オーデル川・ナイセ川より東をポーランドの領土と認める(1970)。ノーベル平和賞(1971)。東ドイツを主権国家として承認(1972)。しかし、秘書ギュンター・ギヨームが東ドイツのスパイだと判明、辞任(1974)。社会主義インターナショナル議長(1976-1992)。 ※神聖ローマ。現ドイツ、現イタリアの北側、ブルグント(仏の南東)などを含む。当時「ドイツ人」という意識はない。 ※聖職者の任命権は教皇にある。英仏(1107)。独ヴォルムス(1122)。 ※シュタウフェン家フリードリヒ2。ナポリ大学設立(1224)。
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本書は現在のドイツに相当する地域の歴史を10章立てで概説している本です。著者も後書きで述べているように、著者が恣意的に重要と思われるイベントを中心にピックアップし、それに対して過去の先達の見解もふまえながら自分の見解を披露しつつ、歴史の前後関係を説明しています。このアプローチは良...
本書は現在のドイツに相当する地域の歴史を10章立てで概説している本です。著者も後書きで述べているように、著者が恣意的に重要と思われるイベントを中心にピックアップし、それに対して過去の先達の見解もふまえながら自分の見解を披露しつつ、歴史の前後関係を説明しています。このアプローチは良かった。特に著者も強調されているように、ヨーロッパの中のドイツという視点が一貫して取られているので、なぜその当時(例えば)神聖ローマ帝国がこういう行動に出たのか、ビスマルクはドイツ統一ができたのか、という点について、簡単ではありますが、初心者にも納得がいくように説明されています。 とかく歴史の本は浅く広く書くと、初心者には全然分からないものになってしまいがちなのですが、本書はその罠に陥らないよう、かなり注意深く書かれた本という印象を受けました。また著者自身の意見が前面に出すぎるのも初心者には良くないと思いますが、そのバランスもいいです。私は本書を読んで、興味がわいたので、早速個別の時代を詳述している別の本を買いました。ドイツ史を勉強しようというきっかけには最適ではないでしょうか。
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連邦制国家という特性がドイツ史に強い影響を与えてるのがおもしろかった フランス史と同じく、ドイツ戦後史にも明るくなかったので興味深かった やっぱりヒトラーの存在が現在のドイツ国民の中でどう意味付けされてるのか気になる
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神聖ローマ帝国やらプロイセンやら、それがどうしてドイツになるの?と、ずっと思っていたので(^^)読んでみた。 20世紀ヒトラーの侵攻が今のプーチンに重なって胸がざわつく。当時ナチスドイツのポーランド・チェコ併合を認めたことが第二次大戦につながったとことをみるとウクライナ侵攻は認め...
神聖ローマ帝国やらプロイセンやら、それがどうしてドイツになるの?と、ずっと思っていたので(^^)読んでみた。 20世紀ヒトラーの侵攻が今のプーチンに重なって胸がざわつく。当時ナチスドイツのポーランド・チェコ併合を認めたことが第二次大戦につながったとことをみるとウクライナ侵攻は認められない。それにしても「人類の進歩」は簡単じゃない・・
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あとがきで著者が述べているように、この分量でドイツの歴史を語るのは無理がある。駆け足で飛ばしていくところが多いので、ある程度歴史を知った上で読んだ方が良いと思う。個人的には、ナポレオンの時のライン同盟やその後の各国の改革など、プロイセンによる統一前までの流れが掴めて良かった。議会...
あとがきで著者が述べているように、この分量でドイツの歴史を語るのは無理がある。駆け足で飛ばしていくところが多いので、ある程度歴史を知った上で読んだ方が良いと思う。個人的には、ナポレオンの時のライン同盟やその後の各国の改革など、プロイセンによる統一前までの流れが掴めて良かった。議会重視と権威主義の揺れ動き、上からの改革と下からの改革、ドイツの民主主義はこういった活動の賜物なんだと改めて認識した。
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「ドイツ史10講」坂井榮八郎著、岩波新書、2003.02.20 232p ¥777 C0222 (2021.11.03読了)(2007.05.04購入) 【目次】 第1講 ローマ・ゲルマンの世界からフランク帝国へ 第2講 神聖ローマ帝国とヨーロッパ 第3講 カール四世と中世後期...
「ドイツ史10講」坂井榮八郎著、岩波新書、2003.02.20 232p ¥777 C0222 (2021.11.03読了)(2007.05.04購入) 【目次】 第1講 ローマ・ゲルマンの世界からフランク帝国へ 第2講 神聖ローマ帝国とヨーロッパ 第3講 カール四世と中世後期のドイツ 第4講 宗教改革時代のドイツとヨーロッパ 第5講 絶対主義の歴史的役割 第6講 ドイツ統一への道 第7講 ドイツ帝国の光と影 第8講 第一次世界大戦とワイマル共和国 第9講 ナチス・ドイツと第二次世界大戦 第10講 分割ドイツから統一ドイツへ あとがき ☆関連図書(既読) 「物語 ドイツの歴史」阿部謹也著、中公新書、1998.05.25 「ヒトラーの抬頭」山口定著、朝日文庫、1991.07.01☆関連図書(既読) 「わが闘争(上)」ヒトラー著・平野一郎訳、角川文庫、1973.10.20 「わが闘争(下)」ヒトラー著・平野一郎訳、角川文庫、1973.10.20 「白バラは散らず」インゲ・ショル著・内垣啓一訳、未来社、1964.10.30 「荒れ野の40年」ヴァイツゼッカー著・永井清彦訳、岩波ブックレット、1986.02.20 「ナチス裁判」野村二郎著、講談社現代新書、1993.01.20 「ドイツ人のこころ」高橋義人著、岩波新書、1993.01.20 「脱原発を決めたドイツの挑戦」熊谷徹著、角川SSC新書、2012.07.25 「ぼくのドイツ文学講義」池内紀著、岩波新書、1996.01.22 (「BOOK」データベースより)amazon ゲルマン世界、神聖ローマ帝国、宗教改革、絶対主義、二回の世界大戦…二千数百年の激動の歩みを、一講ずつ、要点を明確にして、通史的に叙述。中世的世界、大学や官僚と近代化の役割など重要なテーマに着目しつつ、つねに「ヨーロッパの中のドイツ」という視点から描き、冷戦後の統一ドイツの位置にも新たな光を当てる。
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新書の良さを生かした見取り図的解説。 現代ドイツの問題は長い歴史、特に18世紀以降の経過を理解しないといけないと諭された感あり。まぁどこの場所でも近現代史の理解は必須なんでしょう。前にも書きましたが、近現代史をベースに学校教育の歴史教科を再構築する(らしい?)という方針には基本同...
新書の良さを生かした見取り図的解説。 現代ドイツの問題は長い歴史、特に18世紀以降の経過を理解しないといけないと諭された感あり。まぁどこの場所でも近現代史の理解は必須なんでしょう。前にも書きましたが、近現代史をベースに学校教育の歴史教科を再構築する(らしい?)という方針には基本同意です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
期待通りの岩波新書的な出来具合。最高に読みやすく最高に面白い。 フランク帝国は教会=国家、という仕組みであり、民衆は帝国を教会と理解していた、という分析は専門家間では一般的なのだろうが、自分には目新しいものだった。その後は教会↔国家の対立という構造へと徐々に変わっていくが、最初から対立していたわけではない・・・という。中世ドイツは、教会↔国家という2つの中心を持つの楕円形で理解すべし、らしい。 神聖ローマ帝国時代の解説では、控えめではあったけど、オーストリアやプロイセン以外の領邦についても触れられていたのが良かった。教科書はこういう部分を端折るので、いつも全体像が見えづらくて困っていたから、ありがたい。 近代では、ビスマルク政治を端的かつ鋭くとらえていて、目からウロコだった。天性の外交家は、バランスオブパワーでアクター間の動きを捉え、包囲網的な安定を形成しようとする。これを国内で行うと、「いじめ」構造とでもいうべき排撃的な戦略になる(キリスト教勢力、社会主義者勢力などに対して)。ということらしい。 近代以降のドイツ政治は、調整型といわれることが多い気がするが、そのことも分析されていて、興味深かった。旧領邦が持つ議席配分や、議会と行政府の対立と調整などなど。ただ、利益政治的な側面はあまり語られていなかったかもしれない。 グダグダ述べてきてしまったが、再読すべき名著でした。
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