司法占領 の商品レビュー
この本が書かれたのは2002年。 登場人物のロースクールの学生が25歳前後で、 大河内教授が「ロースクールが出来たのが2004年、そうちょうど君たちが生まれたころかな」という台詞から、2030年ごろの設定と思われる。 司法「改革」の問題点が描かれてあり、興味深く読めた。
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【粗筋・概要】 今から約20年後の東京。内藤宏樹は、ロースクールを優秀な成績で卒業し、ビック7とよばれるアメリカの法律事務所のひとつであるP&Cの東京支社に弁護士として就職する。内藤が最初に任された仕事は、英文契約書の翻訳であった。翻訳作業中に、内藤は日本の企業同士の契約書が英語で書かれ、準拠法がNY州法であることに気付く。それに対して疑問を抱いた内藤は、日本人でありながらP&Cのパートナー弁護士である高島に、その疑問をぶつけると、驚くべく事実を知らされる。現役の弁護士が近い将来の日本の司法のあり方を描いた近未来小説。 【感想】 英米法の授業で抜粋を読まされ、お世話になった教授が最終講義で紹介していたので、読んでみることにした。 内部推薦でしか入学できない法科大学院、大学院を卒業すればいくら成績が良くなくても弁護士になれる司法試験制度、弁護士の就職難、訴訟の迅速化を優先し実体的正義をおろそかにする裁判所、事件屋の跋扈、第二公用語としての英語、アメリカの巨大法律事務所による寡占など荒唐無稽と言い捨てることができないと思った。実際にこうなる蓋然性は少ないだろうけれど、法科大学院で勉強し法律家を目指す私としては、読んでいて良い気分ではなかった。 主人公である内藤自身の物語としては、ハッピーエンドである。たとえ内藤が巨大法律事務所に闘いを挑み、それに勝利しようとも、そんなのは一個人の問題である。上記の惨憺たる日本の司法の実態はなんら変化はなく、希望はない。そのため、読んでいる間も読後もすっきりしない。現代の法曹界に警鐘を鳴らすために書かれた小説であろうが、法律家を目指す私にとっては暗くなるだけで得るものはなかった。 2008年4月12日鑑賞。
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時は2020年。一連の司法改革により、日本の司法がアメリカに半ば乗っ取られてしまったという設定の小説。妙にリアルに思えて恐ろしかった…。
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ここに描かれている世界が、僕には絶対にないとは言い切れないと思えるのが少し怖いですね。小説としては少し盛り上がりに欠ける感があるが、十分に面白いとは思います。
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