古墳殺人事件 の商品レビュー

島田一男(著者)

坂口安吾に酷評された…

[文庫ＯＦＦ]

坂口安吾に酷評されたという表題作「古墳殺人事件」も、たしかに会話に違和感があるが本格ミステリとしては傑作に入ると思う。

島田一男氏の傑作長編…

[文庫ＯＦＦ]

島田一男氏の傑作長編を二編収録。どちらも本格ミステリとして十分に楽しめる域に達しています。

2011/12/14

以前に評論かなにかで、この作家さんも初期には本格推理モノを書いていた的な記事を読んで、気になっていたのですがようやく入手。
一言。「いやー。面白かった！」

表題作の「古墳殺人事件」、「錦絵殺人事件」の二作が収録されていますが、両作とも衒学趣味に溢れつつ、意味ありげな屋敷、いわく付きの一族、殺人の予告状、そして豪快なトリックとお腹いっぱいです。
ヴァン・ダイン風と評されているのも納得。ヴァン・ダインの場合、ヴァンスが披露する衒学ネタ部分を読み飛ばしても、ミステリの話として通じちゃう冗長な部分がある印象ですが、こちらはきちんと本筋のネタに絡ませていて、読んでて楽しい楽しい。
「古墳殺人事件」の船を模したお屋敷も、「錦絵殺人事件」の天守閣を模したお屋敷も、こだわり描写満載でお屋敷好きにはワクワクです。
時代設定的に古くなってしまっているため、一部描写のイメージがつきにくい部分はありますが、雰囲気、トリック共に今の読者も充分楽しめる良作でした。

2010/10/25

『古墳殺人事件』
古墳の中で発見された曽根博士。曽根博士の同窓生・津田皓三、同じく同窓生で検事の小原喬二との捜査。古墳の中の男女の足跡。曽根博士の一族である酒匂家。キリストの絵画の「茨の冠」に押されたピンの謎。事件の直後になった六点鐘の秘密。

『錦絵殺人事件』
雨に降られ津田皓三、小原喬二が逃げ込んだ鬼頭竹彦邸。失踪している竹彦。竹彦の遺言書公開の夜に殺害された白川弁護士。立ち往生していた被害者。源義経を愛する竹彦。義経の悲劇に見立てられる殺人事件。竹彦の妻・寿子の死。風呂場で刺殺された被害者。屋敷の地下にかくされた秘密。

『贋作Ｍ・ルブラン　ルパン就縛』
女優に逮捕されると宣言したルパン。舞台上にあらわれ女優に逮捕されたルパン。ガニマール警部との対決。

　２０１０年１０月２５日読了