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極東綺譚(1) の商品レビュー

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2009/10/04

『ALCBANE』で初めて知った作家だけどこの衣谷遊、ただ絵が上手いだけの作家ではなかった。いや『ALCBANE』の段階ですでに上手いだけじゃないのはわかっていたけど、まさかこれほどとは。ごめんなさい衣谷先生。 劇画的なデッサンの確かさはもちろんとして、マンガの表現技法を駆使して...

『ALCBANE』で初めて知った作家だけどこの衣谷遊、ただ絵が上手いだけの作家ではなかった。いや『ALCBANE』の段階ですでに上手いだけじゃないのはわかっていたけど、まさかこれほどとは。ごめんなさい衣谷先生。 劇画的なデッサンの確かさはもちろんとして、マンガの表現技法を駆使して夢とも現ともつかない奇妙な世界を縦横無尽に表現している。時にそれはまさしく夢の中であり、かと思えば現実の中でも悪い夢のような異様な出来事が平気で起こり、その境界がかぎりなく曖昧になっていく。この奇怪な感覚が実に気持ちいい。 ストーリーは国生み神話から「環日本海水棲文化」なる説まで持ち出す、いわゆるトンデモ伝奇で諸星大二郎の系譜と言えるけど、作者独自の味があって魅力的。 明治時代というエキゾチックな舞台装置や作者のイマジネーションが暴走せんばかりの異形の描写、気の利いた言葉遊びが趣を添えている。 反面説明不足というか読者がみんなある程度知識があるという前提で描かれていて不親切なきらいもあるけれど、まあこの手のトンデモネタとはそもそもそうしたものでもあろう。 それにしても全3巻と聞いているけどこの話、ここまで広げた風呂敷がちゃんとたたまるんだろうか(訳:打ち切りエンドじゃあるまいな)。そこだけちょっと不安な気にはなる。

Posted byブクログ