源氏物語(三) の商品レビュー
第3巻 常夏、篝火、野分、行幸、藤袴、真木柱、梅枝、藤裏葉、若菜 上、若菜 下 付録 大島本『源氏物語』(飛鳥井雅康等筆)の本文の様態(柳井滋 室伏信助) 解説 若菜の巻の冒頭部について(柳井滋) 歌と別れと(藤井貞和) さすらう女君の物語(鈴木日出男)
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谷崎潤一郎の新々訳とあわせて読んだ。桐壺から読み進み、少しずつ少しずつ積み重ねられてきた話が、葵の巻で大きく動く。 最初から順を追って読んだのは、今回が初めて。ここまで読んだ限りでは、光源氏は主人公というよりは、むしろ狂言回し的存在で、源氏の周辺の女たちが興味深い。描かれ方の濃淡...
谷崎潤一郎の新々訳とあわせて読んだ。桐壺から読み進み、少しずつ少しずつ積み重ねられてきた話が、葵の巻で大きく動く。 最初から順を追って読んだのは、今回が初めて。ここまで読んだ限りでは、光源氏は主人公というよりは、むしろ狂言回し的存在で、源氏の周辺の女たちが興味深い。描かれ方の濃淡はあるが、境遇も年齢もさまざまな女性が描かれる。物語に直接登場する場面は少なくても折々物語のなかで反響するように回想される。 今回読んでいちばん印象に残ったのは六条の御息所。断片的に読んでいたときの印象は夕顔の巻に登場するおどろおどろしい生霊としての御息所だった。しかし、葵の巻まで読み進むと御息所のこれまでの人生、ひととなり、生霊となってしまっていることに気づいたときの内面の苦悩が読み取れ、この六条の御息所という人物が出てくることで、この物語がリアリティのある、ぴりっとしまったものになっている気がした。こんなにおもしろいとは思っていなかった。
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