琉球の風(一) の商品レビュー
『令和元年、首里城焼失』
首里城が焼失。 この悲しみは、敗戦国となった後の本朝と、日本国民が忘れることのできない受難。 いと恥づかしくBOOK ON。
クラシカルなMK
薩摩による琉球侵攻前…
薩摩による琉球侵攻前夜の政争を描く。琉球と薩摩の単純な関係ではなく、徳川幕府や明などの周辺諸国の思惑をも多角的に検証している
文庫OFF
古本で購入。全3巻。 本棚整理にあわせて再読。 万暦34年・慶長11年(1606)、明からの冊封使を迎える琉球。 大明帝国の緩やかな支配機構に組み込まれ平和な日々を送る琉球ではあったが、島津による侵略の風聞は頻々と聞こえてきていた。 抵抗か、屈服か。琉球・島津・徳川、それぞれの...
古本で購入。全3巻。 本棚整理にあわせて再読。 万暦34年・慶長11年(1606)、明からの冊封使を迎える琉球。 大明帝国の緩やかな支配機構に組み込まれ平和な日々を送る琉球ではあったが、島津による侵略の風聞は頻々と聞こえてきていた。 抵抗か、屈服か。琉球・島津・徳川、それぞれの思惑を孕みながら南海に嵐が迫る― と書いてみるといかにも壮大なスケールの歴史ドラマが繰り広げられそうだが、「陳舜臣作品だからそれほどの大波乱はないんだろうな」と思わせるあたり、皮肉でも何でもなくもはや作家の人徳である。 そして案の定ない。 琉球の運命を大きく変えることになる島津の侵略。 ただこの物語の中での主眼はそれではなく、そこを画期として琉球の人々がどのように「これからの琉球」を考えて行動していくか、というところにある。 確かに大河ドラマ向きな内容かもしれない。まぁこのボリュームを半年でやるのは駆け足だと思うけど… すらすら読めて結構おもしろいのだが、気になる点もいくつか。 たとえば主人公である啓泰の弟の啓山は何事にも「つまらん」と冷笑する斜に構えた男だが、島津との戦で一変、得意とする芸事を興隆させることにより琉球の未来に貢献しようとする。 ただこの成長が描かれず、兄目線で「弟も変わった」というようなモノローグがあるだけでピンと来ない。 たとえば啓泰が想いを寄せる従姉妹の阿紀。 一時の淡い逢瀬があるなどそれはそれで物語になりそうなのだけど、特に何もなく結婚。 序盤の伏線(振り)はなんだったのか… …いくつか読んできたけど、ひょっとして陳舜臣って人間を描くのがあまりうまくないのでは? あとこれは作者の責任じゃないけど、尾崎秀樹による解説がやっつけすぎてひどい。 ほぼ粗筋が書いてあるだけ。 いろいろ書いたけど、17世紀初頭の東アジアを琉球を軸に見られる作品として貴重&おもしろい。 普段あまり触れない感じの歴史小説が読みたくなったらどうぞ。
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琉球王朝を舞台に、薩摩藩に侵略・翻弄され、属国的立場になって行く状況を、明朝の関係、江戸幕府との関係、そして倭寇を中心とした海賊たちとの関係を交えながら、当時の東アジア地域的、今風にいえばグローバル的視点をもって壮大なスケールで描かれた歴史小説。 特別に面白くてどんどん頁が進む...
琉球王朝を舞台に、薩摩藩に侵略・翻弄され、属国的立場になって行く状況を、明朝の関係、江戸幕府との関係、そして倭寇を中心とした海賊たちとの関係を交えながら、当時の東アジア地域的、今風にいえばグローバル的視点をもって壮大なスケールで描かれた歴史小説。 特別に面白くてどんどん頁が進むという感じにはならなかったが、先島諸島滞在中に読んだこともあって、上中下の3巻を一気に読みました。 沖縄史に馴染みのないまま、通読するのはちょっと辛いという方は、事前に「本音で語る沖縄史(仲村清司著)」などの著作を事前に読んでおくと面白いと思います。
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中国・明からの冊封使を迎えて琉球はわきかえっていた。時は紀元十七世紀初頭、明では万暦三十四年、日本では慶長十一年のことである。一見華やかな冊封の儀式だが、実はその裏で、琉球は大和と明の間で苦しい立場に置かれていたのである―沖縄、江戸、京都、薩摩、北京に展開する歴史ロマン。
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