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死紋様 の商品レビュー

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2023/08/30

表題作と『盗死者』の二編を収録。表題『死紋様』は昭和53年『オール読物』に二回にわたって掲載、『盗死者』は54年にこれも同誌に二回に分けて掲載された。いずれも警察小説であるが、作者らしいアクの強さが他作品ほど感じられない。文庫化が角川ではなく文春なのは掲載誌が文藝春秋発行だからで...

表題作と『盗死者』の二編を収録。表題『死紋様』は昭和53年『オール読物』に二回にわたって掲載、『盗死者』は54年にこれも同誌に二回に分けて掲載された。いずれも警察小説であるが、作者らしいアクの強さが他作品ほど感じられない。文庫化が角川ではなく文春なのは掲載誌が文藝春秋発行だからであろう。刑事がほんのわずかな細い糸から、犯人に少しずつたどりついていく地道な捜査の過程をともに描いている。 ある日、銀行の振込手続きの裏をかいた巧妙な売掛金詐欺が発生する。手がかりがなく捜査は難航。別件で少年が深夜に死体を山に埋めている場面を目撃したことから、殺人事件が露見する。殺された女の身元が分からずにいたが、偶然死体の顔写真を雑誌でみたのが先の詐欺によって職を失ったOLで、写真の女が詐欺犯であることを思い出す。これでふたつの事件がつながり、警察は総力を上げて捜査に臨むが・・・。 『死紋様』の題名は足跡から判明した犯人の靴底の特徴を象徴したものと思われる。捜査は何度も袋小路に突き当たり本部解散の危機に陥るが、その度に新たな着想によって打開。だが真相を指し示す道筋は混乱を極め、実に複雑な展開を見せていく。

Posted byブクログ