江戸の暗黒街 の商品レビュー
お主も悪よのう、のさらにカッコ良いバージョンである。小物がいて、もうちっと上のランクがいて、でもって最後にはさらに上の大物が全てを掻っ攫っていくわけで、ありがちな展開ながらも上手く持っていくので、結局は楽しんでしまうのよなぁ。 そして下々の人々には助けが入るでもなく、あっさりと潰...
お主も悪よのう、のさらにカッコ良いバージョンである。小物がいて、もうちっと上のランクがいて、でもって最後にはさらに上の大物が全てを掻っ攫っていくわけで、ありがちな展開ながらも上手く持っていくので、結局は楽しんでしまうのよなぁ。 そして下々の人々には助けが入るでもなく、あっさりと潰されていくのがまた世の無常というか。うーん、でも好きよこれは。
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池波正太郎らしい、キリッとした小説。短編なので読みやすく、前後の話がつながっているので飽きない。江戸の暗黒街、つまりヤクザや殺し屋、歓楽街の仕切り屋などが出てくるものだが、複雑なカラクリや、凄腕の殺し屋同士の対決などがあるわけでもなく、欲望のままに淡々と殺したり、逃げたりする。ド...
池波正太郎らしい、キリッとした小説。短編なので読みやすく、前後の話がつながっているので飽きない。江戸の暗黒街、つまりヤクザや殺し屋、歓楽街の仕切り屋などが出てくるものだが、複雑なカラクリや、凄腕の殺し屋同士の対決などがあるわけでもなく、欲望のままに淡々と殺したり、逃げたりする。ドラマになるような話ではないぶん、特別な感情や大きな感動も湧かないが、実際にもこうだったのだろうと思わせる。悪いやつ、アホなやつ、悪いやつに騙され不幸になる人はいつの世にもいるものだ。
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金を積まれれば殺しを厭わない暗黒街の男達。この短編集に共通しているのが、人の思いのすれ違い、勘違いが生み出す悲劇だった。嫌な主人を殺してくれた殺し屋への思いは通じず、朋輩が犠牲になってしまう「おみよは見た」は、その象徴だろう。料理屋の主人に納まっている五十男が、妻の依頼した殺し屋...
金を積まれれば殺しを厭わない暗黒街の男達。この短編集に共通しているのが、人の思いのすれ違い、勘違いが生み出す悲劇だった。嫌な主人を殺してくれた殺し屋への思いは通じず、朋輩が犠牲になってしまう「おみよは見た」は、その象徴だろう。料理屋の主人に納まっている五十男が、妻の依頼した殺し屋に命を狙われるのだが、その五十男は元盗賊で、さらに遡れば上役を斬って出奔した敵持ちの武士だったという「罪」が、なかなかに面白かった。香具師の元締・羽沢の嘉兵衛の「影」がそこここに見られ、鬼平や仕掛人・梅安を懐かしく思った。
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以前、角川文庫版を読んだので、久しぶりに再読。69年版の鬼平テレビシリーズの原作を複数収録。「縄張り」はドラマでも絶品でした。
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「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」でお馴染みの池波正太郎の時代短編小説。 池波作品で、度々登場する江戸暗黒街の顔・羽沢の嘉兵衛も出てきます。 静かな中に、色香と、血と、陰謀、裏切り、嫉妬が絶妙なバランスで描かれてます。 おみよは見た だれも知らない 白痴 男の...
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」でお馴染みの池波正太郎の時代短編小説。 池波作品で、度々登場する江戸暗黒街の顔・羽沢の嘉兵衛も出てきます。 静かな中に、色香と、血と、陰謀、裏切り、嫉妬が絶妙なバランスで描かれてます。 おみよは見た だれも知らない 白痴 男の毒 女毒 殺 縄張り 罪 の全8編。 昭和40年代の作品とは思えないほど、古さを感じさせない内容です。
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藤枝梅安の先駆をなす8つの短編だそうだ。テンポ良くストーリーが展開、一気に読み切る勢いがある。2017.7.28
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日本橋と名の付く所に住んでいるせいか、正月になると池波正太郎が読みたくなる。NHKの大河ドラマに合わせて「真田太平記」に手を出そうかと思ったけれど、あの量だと正月どころか数ヶ月の話になってしまうので、選んだのは新潮文庫「江戸の暗黒街」。 殺しの話ばかりですが、そこには様々な理由や...
日本橋と名の付く所に住んでいるせいか、正月になると池波正太郎が読みたくなる。NHKの大河ドラマに合わせて「真田太平記」に手を出そうかと思ったけれど、あの量だと正月どころか数ヶ月の話になってしまうので、選んだのは新潮文庫「江戸の暗黒街」。 殺しの話ばかりですが、そこには様々な理由や運命があって、表があって裏があって…。このところのニュースのような考えのない殺人はどこにも出てきません。テロも含め、なんだか世の中難しい方向へ向かっているような気がして仕方がありません。
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香具師の元締・羽沢の嘉兵衛ら江戸の街の闇をまとめる男、女を描き、彼らの人生をとおして当時の世相等を語る。「仕掛人・藤枝梅安」の先駆となる短編集。
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本書収録の話は、 「おみよは見た」、「だれも知らない」、「白痴」、「男の毒」、「女毒」、「殺」、「縄張り」、「罪」の八篇。 どの作品も「まぁ、そうなるよねぇ」と思ってしまう。登場人物は皆どこかに影を背負っているような、帯びているようなものばかりだから、残念ながら人並みの幸せという...
本書収録の話は、 「おみよは見た」、「だれも知らない」、「白痴」、「男の毒」、「女毒」、「殺」、「縄張り」、「罪」の八篇。 どの作品も「まぁ、そうなるよねぇ」と思ってしまう。登場人物は皆どこかに影を背負っているような、帯びているようなものばかりだから、残念ながら人並みの幸せというのはほんの一瞬しか得られていないように思える。金と肉欲どちらかにどっぷり浸かっている。そもそもそんなことを思っていない生活をしていても、何かがきっかけでその味、快楽を知ってしまうとなかなか自制心が効かなくなる。 読んでいて、なんとなく結末が読めてしまうのだが、それでもなぜか最後まで読んでしまうのはなぜだろうか。不思議だ。 巻末の解説は作家の南原幹雄氏。 池波作品が受けた影響を、映画よりも、池波の師匠である長谷川伸にあるのではないか、と説く。
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前に読んだ夜明けの星にも出た 羽衣の嘉平門だかが、江戸の闇を しきる一人のようで、おそらく池波 先生の作品にはチラチラ出る事を予感 やっぱり、救われない話が多いかな?
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