トーマスのもくば の商品レビュー
役所での手続きも、今日で一区切りつき、ようやく図書館本を借りて読むことができる時間を作れるようになりました。 小風さちさんは福音館書店の雑誌「母の友」の創刊編集長である、松居直さんの娘さんにあたり、彼女がどのような絵本を作られているのか気になり借りてみたのが、この作品(1...
役所での手続きも、今日で一区切りつき、ようやく図書館本を借りて読むことができる時間を作れるようになりました。 小風さちさんは福音館書店の雑誌「母の友」の創刊編集長である、松居直さんの娘さんにあたり、彼女がどのような絵本を作られているのか気になり借りてみたのが、この作品(1994年)。 読んでみると、元気な男の子トーマスが幼稚園にある木馬をいつも独り占めしていて、他の子どもがお願いしても乗せてくれないといった始まりには、その後のトーマス自身に訪れた、ある変化も含めて、よくある教訓もののお話かと思ったものの、途中から何やら不思議な展開を見せる点に、小風さんならではの面白味があるように感じられた。 それは単純にトーマス自身に変化が訪れた時点で終わるのではなく、その後もそのままお話が継続していく点にあり、最初こそバチが当たったかのような逆転劇を見せるけれども、一方的にトーマスが嫌われる訳ではなく、寧ろ、それはそれで役に立ったり喜ばれたりしている点に、あれ、これはこれで良かったのかなと思ってしまうところを、実際にこうはなりたくないなと改めて思わせてくれたのが、長新太さんのシュールな絵である。 その長さんの描くトーマスは、人としてのバランスを大きく崩したような、その特徴を極端なまでに滑稽に際立たせることで、最初こそ笑っていられるものの、その後のまるで人としての面影を無くしてしまったかのような動き方を見ていると、もし実際に自分がそんな姿になってしまうとしたら、それだけは絶対に嫌だなと本能的に納得してしまうような、そんな感覚こそが、もう木馬を独り占めするのはやめようといった改心の気持ちへと駆り立てるのかというと、実はそうした思いを彼の口からはっきりと述べさせていないところに、おそらく元から教訓ものとして書く意図が、小風さんには無かった根拠があるのではないかと思う。 それでは、ただ単に面白いだけの作品なのかというと、そういう訳でもないことは終盤の展開によく表れており、確かに独り占めするのは、皆と同じ時間を共有する幼稚園に於いて多少問題があるのかもしれないが、だからといって、トーマス自身にある子どもらしさというのは、少しも損なわれてはおらず、それが最も如実に表れたのが、彼にとって一番大切な絆とは何だろうかということなのだと思うと共に、彼にとって一番失いたくないものは果たして何だろうかということを知ることで、独り占めする一面だけではない、トーマス自身の愛らしさを知ることができたことから、要は子どもの中にはいろんな一面があるんですよということを、小風さんは伝えたかったのではないかと私には思われて、内容的には長さんのフニャフニャした絵も加わって捻りの効いた絵本ではあるものの、後からジワジワくるというか、肝心なのは木馬自身ではないところにあることを教えてくれる点に、本書最大の持ち味があるのだろう。
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木馬がだいすきでひとりじめして乗りまくってたら 馬顔になっちゃったトーマス少年の話 こわいなー
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大豆田先生の講演会で紹介された本。図書館で借りて読みました。 木馬に乗って遊ぶのが好きなトーマス。みんなが貸して欲しいと頼んでも聞かないが為に、馬の子になってしまいます。そんな彼に、訪れる2回のピンチ。一度目は、お昼ごはんの時間。そして、二度目は、幼稚園の帰りの時間。だって、お馬...
大豆田先生の講演会で紹介された本。図書館で借りて読みました。 木馬に乗って遊ぶのが好きなトーマス。みんなが貸して欲しいと頼んでも聞かないが為に、馬の子になってしまいます。そんな彼に、訪れる2回のピンチ。一度目は、お昼ごはんの時間。そして、二度目は、幼稚園の帰りの時間。だって、お馬の子のご飯は、用意されているかしら?お迎えのお母さんは、お馬の子が誰だかわかるかしら?でも、どちらも、とびきり素敵な大人の言葉が、トーマスを優しく包みます。 娘は、その場面が大好きです。友達に木馬を貸してあげない場面や、暴れまわる場面のほうが、ずっとずっと面白いと思うのに。不思議。優しい大人達の言葉が、娘のことも、優しく包んでくれているいのかな。聞いている娘の、安心しきったような顔が印象的。 娘さん、絵本を持ってくるときに、必ず、「トーマス、今日も、馬になっちゃうかな?」と聞いてくるのが、また可愛い。「なっちゃうんじゃなぁいー」そう言いながら、二人で、くすくすと笑いあいます。この「くすくす」が、やめられなくて・・・・。母、わざわざ、本を開く手を一旦休めて、言わせてから読み始めます。絵本を読んでいる時も好きだけれど、こういう、絵本を通じてのやりとりの時間が、一番好き。(3歳)
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