日本SFの大逆襲! の商品レビュー
鏡明という(私が知らない)方の編集で、日本のSFが18編集まった。鏡京太郎なら知っているんだけれどなぁ・・・・。 オープニングの読者へってところで編者が、「これが、日本のSFである。」と結んでいる。「最強の日本SFを揃えたかった」「心が震えてくる」とも書いている。ここだけで...
鏡明という(私が知らない)方の編集で、日本のSFが18編集まった。鏡京太郎なら知っているんだけれどなぁ・・・・。 オープニングの読者へってところで編者が、「これが、日本のSFである。」と結んでいる。「最強の日本SFを揃えたかった」「心が震えてくる」とも書いている。ここだけで感動するではないか。その想いを受け止めよう。心して読むことにしよう。堀晃作品だけが目当てだった本作だが、全部心して読むことにしよう。 トップバッターは「渇いた犬の街(山田正紀)」。脳とか死後の世界だとかいった興味深いテーマだ。昭和の香りがする懐かしいタッチの作品だと思う。続いて「ぬかるんでから(佐藤哲也)」。期待したんだけれど、照会文にあるファンタジーというよりはちょっとオカルト。陰陽師タッチの「露と答へて(夢枕獏)」が続き、これまたオカルトタッチの「都市盗掘団(筒井康隆)」から、スラップスティック風の「テクストの地政学(柾悟郎)」と流れる。いずれも流し読み程度。 ようやく目的の「虚空の噴水(堀晃)」にたどり着いたが、切れ味が悪い。世界は非常に良いのだが、トリニティのラストのようであり、そうでないようであり・・・。 そこから怒涛の流し読みモードに突入。「まん丸で四角いもの(岡崎弘明)」「モナリザの爆発(荒俣宏)」「ホテルさくらのみや(北野勇作)」「モンナリイザ略奪(佐藤亜紀)」「ELECTRIC BIRD LAND(大友克洋)」「蛸の街(かんべむさし)」と完膚なきまでの面白くない物語が続く。 少し驚きを感じたのが「水域(椎名誠)」。魚舟・獣舟ワールドでたいへん興味深い。ここで気分を少し上むかせて挑んだのが「ボール箱(半村良)」。超駄作にあえなく完敗。 「マジックムーン(川又千秋)」「絶唱の瞬間(梶尾真治)」「蝉時雨(横田順彌)」と読み飛ばして、「科学と虚構(小松左京)」「日本SFの歩み(森下一仁)」のエッセイで終わる。 SFってなんだろう。その解釈によって異なるんだろうけれど、私の場合は「未来」や「時間」や「宇宙」や「異星人」がキーワードになる。その意味では今回は失敗だったな。鏡さんごめんね。
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