11枚のとらんぷ の商品レビュー
著者の長編第一作。見…
著者の長編第一作。見立て殺人や作中作などのアイデア盛りだくさんの内容でありながら、きちんとした解決をつける。
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泡坂妻夫氏の代表長編…
泡坂妻夫氏の代表長編の一つ。解決シーンは見事の一言。傑作です。
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奇術ショウの仕掛けか…
奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、マンションの自室で撲殺死体となって発見される。しかも死体の周囲には、奇術小説集『11枚のとらんぷ』で使われている小道具が、壊されて散乱していた・・・。奇術師でもある泡坂妻夫の長篇第1弾。感想・・・キャラクターがみんな魅力的で良く...
奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、マンションの自室で撲殺死体となって発見される。しかも死体の周囲には、奇術小説集『11枚のとらんぷ』で使われている小道具が、壊されて散乱していた・・・。奇術師でもある泡坂妻夫の長篇第1弾。感想・・・キャラクターがみんな魅力的で良く、会話が楽しい。あと、途中で奇術小説集『11枚のとらんぷ』が短編集のようになって出てくるのも変わっており、これまたこの作品のヒントがうまくちりばめられていて、大変お洒落な作品だな・・・と思いました。
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今でも傑作といわれ続…
今でも傑作といわれ続けている作品。この本を読んで不満を出す人はまず、いないでしょう。
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「泡坂妻夫」のミステリ作品『11枚のとらんぷ(英題:The Eleven Playing-Cards)』を読みました。 「泡坂妻夫」作品は約3年前に読んだ『花嫁のさけび』以来なので久しぶりですね。 -----story------------- 奇術ショウの仕掛けから出てくる...
「泡坂妻夫」のミステリ作品『11枚のとらんぷ(英題:The Eleven Playing-Cards)』を読みました。 「泡坂妻夫」作品は約3年前に読んだ『花嫁のさけび』以来なので久しぶりですね。 -----story------------- 奇術ショウの仕掛けから出てくるはずの女性が姿を消し、マンションの自室で撲殺死体となって発見される。 しかも死体の周囲には、奇術小説集『11枚のとらんぷ』で使われている小道具が、壊されて散乱していた。 この本の著者「鹿川」は、自著を手掛かりにして真相を追うが…。 奇術師としても高名な著者が、華麗なる手捌きのトリックで観客=読者を魅了する「泡坂」ミステリの長編第1弾。 ----------------------- 先日読了した「乾くるみ」の『蒼林堂古書店へようこそ』で紹介されていたし、「文藝春秋」が編集した『東西ミステリーベスト100』の日本編で38位にランクインしていた作品です。 ■Ⅰ部 11の奇術 ・1 奇跡――マジキ クラブ ・2 バレエ――サンジョー バレエ グループ ・3 人形劇――模型舞台+サンジョー バレエ グループ ■Ⅱ部 『11枚のとらんぷ』 ・内贈(つまにおくる) ・凡例 ・第一話 新会員のために ・第二話 青いダイヤ ・第三話 予言する電報 ・第四話 九官鳥の透視術 ・第五話 赤い電話機 ・第六話 砂と磁石 ・第七話 バラのタンゴ ・第八話 見えないサイン ・第九話 パイン氏の奇術 ・第十話 レコードの中の預言者 ・第十一話 闇の中のカード ■Ⅲ部 11番目のトリック ・4 蚤の市――三階ロビー ・5 コンテスト――ニュー メラル劇場 ・6 クロースアップ マジックショウ――Ⅱ会議室 ・7 奇術講義室――Σ会議室 ・8 ディナー――展望レストラン ・9 マジキ クラブ控室――浮舟の間 ・10 ビッグ ショウ――ユーディット劇場 ・11 お別れパーティ――鳳輦(ほうれん)の間 ■解説 依井貴裕 真敷市立公民館の創立20年を記念して開かれたアマチュアの奇術クラブ「マジキクラブ」のよる奇術ショウ… プログラム終盤の“袋の中の美女”という演目の直前、袋から出てくるはずの「水田志摩子」が姿を消した、、、 失踪する直前、彼女は「私の人生でも最も大切なドラマが起こりかかっている」という言葉を遺していた… その後、「志摩子」は自室で屍体となって発見され、現場はガス栓が僅かに開けられておりガスが充満し、その周囲には奇術小説集『11枚のとらんぷ』で使われている小道具が毀された状態で残されていた。 『11枚のとらんぷ』の著者で、同じ奇術クラブに属する「鹿川」は、自著を手掛かりにして真相を追う… 「志摩子」はショウの最中に殺害されたことが判明、「マジキクラブ」の面々はショウに参加していたことからアリバイがあると思われたが、、、 アリバイを崩しと、ガスが充満していたことの謎を解くことが真相究明のポイントでしたね… 『Ⅱ部 『11枚のとらんぷ』』は、「鹿川」の著した奇術短篇集で、作中作という構成になっていますが、そこに伏線が張り巡らされており、事件解決のヒントになっていましたね。 無嗅覚性とはね… 最後のどんでん返しで、殺害を計画した人物と被害者の立場が入れ替わるのも面白かった、、、 奇術本としても愉しめる展開になっていましたが… 私のように奇術に興味がない読者にとっては、ちょっと、くどい印象が残りますね。 以下は、主な登場人物です。 「鹿川舜平」 「11枚のトランプ」の著者 「斎藤橙蓮(さいとう とうれん)」 磐若寺(ばんじゃくじ)の住職 「大谷南山」 人形劇団模型舞台の団長 「飯塚晴江」 婦人服店のデザイナー 「飯塚路朗」 晴江の夫 「五十島貞勝」 SIオーディオ社長 「品川橋夫」 真敷市警察病院の外科医 「マイケル シュゲット[酒月亭(しゅげつてい)マイケル]」 地質学者 「牧桂子」 商社勤めの若い女性 「松尾章一郎」 証券会社社員 「水田志摩子」 元童謡歌手 「和久A(わく はじめ)」 化粧品会社社員 「和久美智子」 Aの妻 以上マジキ クラブの会員 「玉置正久」 NAMC会員 「ジャグ大石」 プロの奇術師 「速足三郎」 バーテン 「フランソワ ランスロット」 フランス人の奇術師 「力見刑事」 真敷市警察署の刑事
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古い作品だが非常に読みやすい。作中にショートショート作品を入れ、それを本編のトリックに使うという仕掛けは斬新で素晴らしい。ただ、全体として意外性がなかった。フーダニットではなく、ハウダニットの作品だとは思うが、「へ〜なるほど」といった感想しか浮かばず、爽快な読後感というわけではな...
古い作品だが非常に読みやすい。作中にショートショート作品を入れ、それを本編のトリックに使うという仕掛けは斬新で素晴らしい。ただ、全体として意外性がなかった。フーダニットではなく、ハウダニットの作品だとは思うが、「へ〜なるほど」といった感想しか浮かばず、爽快な読後感というわけではなかった。
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初の泡坂妻夫。噂に違わないおもしろさ。 近年はマジックの種あかしがテレビや書籍で頻繁におこなわれるが、書かれた当時はどうやら違っていたらしい。作中作の短編集にかかれていることが事件解明の重要な手がかりになっているのが好みだった。
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最後の推理を披露する場面を読むと、緻密でミステリとして完成度が高いなと感じた。 ストーリーとしては二転三転したり、スリリングな部分がなく、淡々としていると感じた。そのため、長編小説として読んでいるのが少し辛かった。 最近はキャラクターが立っている本ばかり読んでいたからそう感じ...
最後の推理を披露する場面を読むと、緻密でミステリとして完成度が高いなと感じた。 ストーリーとしては二転三転したり、スリリングな部分がなく、淡々としていると感じた。そのため、長編小説として読んでいるのが少し辛かった。 最近はキャラクターが立っている本ばかり読んでいたからそう感じるだけかもしれないが。 長編の小説の中に短編の小説が入っている構成になっていて、追想五断章を思いだした。 短編小説部は、短いがミステリとして成り立っていて、読んでいて苦でなく、面白かった。
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マジックショーの途中で姿を消した女性が、自宅で殺害された。遺体の周りには、『11枚のとらんぷ』に出てくる奇術の道具になぞらえたものが落ちていた。マジックショーに出ていたメンバーには、鉄壁のアリバイがあって…。 初めて読む作家さんだった。たぶん、かなり古い話だと思う。だけど、そ...
マジックショーの途中で姿を消した女性が、自宅で殺害された。遺体の周りには、『11枚のとらんぷ』に出てくる奇術の道具になぞらえたものが落ちていた。マジックショーに出ていたメンバーには、鉄壁のアリバイがあって…。 初めて読む作家さんだった。たぶん、かなり古い話だと思う。だけど、その古さはあまりかんじられなかったなぁ。 話の構成としては、Ⅰ部からⅢ部までの構成。読んでる最中は、Ⅱ部もいいから早く犯人教えてくれよーとか思っていた。Ⅲ部になったら、なんか話がちがくない?とか思ってた。だけど、どんどん読んでいくうちに当たり前だけど、全てはフラグだったのね!となる。前のところに一度戻って読み返す→あ!確かに!となるを何度か繰り返した。 マジックショーってテレビでも最近見なくなった気がする。なんとなく、マジックショーを見に来ていたガキンチョたちや三角のおばあさんと同じ気持ちになってしまうだろうなぁ。 2017.8.15 読了
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島田氏の作品で当時の本格ミステリに目覚めた私は早速彼の推薦する新進の新本格ミステリ作家の綾辻氏、法月氏、我孫子氏、歌野氏の諸作に手を伸ばしたのは先に述べたとおりだが、その延長線上で各所ガイドブック等で調べていくと、東京創元社も同様のムーヴメントを起こしている事実に行き当たった。当...
島田氏の作品で当時の本格ミステリに目覚めた私は早速彼の推薦する新進の新本格ミステリ作家の綾辻氏、法月氏、我孫子氏、歌野氏の諸作に手を伸ばしたのは先に述べたとおりだが、その延長線上で各所ガイドブック等で調べていくと、東京創元社も同様のムーヴメントを起こしている事実に行き当たった。当時同社が独自に編纂した『鮎川哲也と十三の謎』という叢書は、全く未知の作家の本格作品を続々と発表しており、しかもそれが世のミステリシーンに好評をもって迎えられているらしい。その筆頭は有栖川有栖氏、北村薫氏であったわけだが、この二者に興味を持たないはずがなく、私の次のターゲットはまもなく東京創元社のミステリ作家達に決まった。確かその頃はまだ乱歩や横溝正史、小酒井不木など、戦前戦後の推理作家の全集として気味の悪い人形の絵が描かれた分厚い文庫が刊行されたばかりで、今では創元推理文庫の棚にずらりと並んだベージュの背表紙の日本人作家の文庫はさほどではなかった。そしてそこに着目した私は有栖川氏と北村氏両氏の文庫版を探したのだが、全くなく失望してしまう。今では改善されてはいるが、東京創元社の単行本作品が文庫落ちするスパンは他社が3~4年であるのに対し、非常に長く、また作品によってまちまちであった。確か私が当時のミステリシーンに着目した当時は既に『~十三の謎』が刊行されてから6年くらいは経っていたと思うが、その時点でもまだ両氏の文庫作品は出ていなかった。で、その数少ない創元推理文庫の日本人作家の諸作で目に付いたのが泡坂氏の『11枚のとらんぷ』だった。当時既に泡坂氏はミステリ作家として名を馳せており、ミステリ初心者の私にとっては雲の上のような存在であり、多分かなり作品もあるだろうから、ということで敬遠していたのだが、日本の本格ミステリに飢えていた私はそこで線を引く事になる。せめて創元社で刊行される泡坂氏の作品だけでも読んでいこうかと。その栄えある第1作が本作であった。 とかなり前置きが長くなったが、本作はまず街の文化会館で行われるマジックショーの風景が描かれる。地元のマジック同好会による公演の模様は自身マジシャンである泡坂氏の独壇場とも云える臨場感があり、一気に物語世界に引き込まれた。そうこうしているうちに殺人が起き、ミステリの定石に倣えばそこから警察の介入、現場検証、容疑者への事情聴取となるわけだが、本書ではなんとそこから『11枚のとらんぷ』と名づけられたショートショート集へと移る。つまり本書は『11枚のとらんぷ』という長編の中に作中人物が自主出版した『11枚のとらんぷ』という題名のショートショート集が織り込まれている作中作ミステリなのだ。そしてその内容も1編1編マジックに纏わる謎とオチがきちんと付けられたれっきとしたショートミステリになっているのも素晴らしい。今思えば、この中の作品は北村薫氏に先駆けること何年も前の日常の謎系ミステリではないだろうか。 そのショートショート集が終ると解決編に移るわけだが、世間の評判ではこの解決編で明かされる真相があまりよろしくない。特に本作の主眼となっている、被害者の女性の死体の周辺に置かれたアイテム類がそれぞれショートショート集『11枚のとらんぷ』で取り上げられたマジックの小道具であること自体が容疑者を限定してしまうことにこだわる声が多いようだ。さらに動機が弱い、という声もあった。 しかし私の中では本書は燦然と煌いている。これはミステリに、小説に何を求めるかという個人個人の趣向によると思う。ミステリならば驚愕のトリック、美しさを感じるまでのロジックの妙が占めるウェートが高いだろう。小説ならば魅力ある登場人物、涙を誘うストーリー、芳醇な物語世界、その類いであろう。しかし私はこれに作家の遊び心を付け加えたい。作品としての出来を損なってでも、誰もが考えなかった工夫や趣向が凝らしている作品に私はこの上ない魅力を感じるのである。その先駆者こそがこの泡坂氏である。その後私が出逢った『しあわせの書』、『喜劇悲奇劇』、『生者と死者』といった作品は彼だけしか成し得ない作品だった。作品の出来云々よりもこういう稚気を私は買う。改めてその死が惜しまれる。 で、本作を読み終わった後、開巻前の打算的な考えは消し飛んでしまう。その日から私の泡坂全作品捜索の旅が始まったのだった。
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