完全現代語訳 樋口一葉日記 の商品レビュー
樋口一葉のドキュメンタリーを観た時、彼女の日記がたくさん引用されていた。日記なのに、すっと背筋が伸びた美しい文章だった。
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樋口一葉という作家は、小説だけだったら、ここまで高く評価されただろうか、ということがよく言われます。作品の総数よりも、分量が多い、一葉の日記は、妹くにはもちろん、馬場孤蝶や斉藤緑雨らの尽力によって、紆余曲折を経てようやく、一葉の死後からにしたら、実に15年の歳月の後、全集に組み込...
樋口一葉という作家は、小説だけだったら、ここまで高く評価されただろうか、ということがよく言われます。作品の総数よりも、分量が多い、一葉の日記は、妹くにはもちろん、馬場孤蝶や斉藤緑雨らの尽力によって、紆余曲折を経てようやく、一葉の死後からにしたら、実に15年の歳月の後、全集に組み込まれて刊行されました。 その日記の全部を完全に口語訳で訳したのが本書。一葉の生きた明治という時代が浮き彫りにされると同時に、その時代を懸命に生きる一葉が鮮やかに浮かび上がり、一葉の真実の内面が吐露された、長大な作品でもあります。事実をありのまま記してはいない、と指摘もされていますし、抜け落ちたか、故意に掲載されていない部分があるのではないかとも言われています。そういう意味でも、一葉の日記は奥が深い。しかし、一葉の真実の声は、ほぼ全編に渡って貫かれていると感じました。一葉の日記は、今の時代、まともに読めなくなってきているだけに、この完全版のしかも、口語訳が読めるなんて、本当に貴重な本です。彼女の存在がより身近に感じられること間違いなしの作品です。
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